訪日外国人観光客は年々増加の一途を辿り、その背景を受けて近年ではインバウンドの重要性が話題になることが多い。

トリップアドバイザーやInstagramの広がりにより、観光地と呼ばれる地域だけではなく、今では日本中のどこでもが観光資源であり、インバウンドの需要を掘り起こそうとさまざまなサービスが立ち上がっている。

このようなニーズに対応し、AIを活用したソリューション・サービスの開発および運営提供するDeaps Technologies株式会社は、地域や事業者のWEBサイトのアクセス情報に、サービス導入拠点を中心とした周辺観光情報を追加、表示することで、来訪者の満足度を向上させる、次世代スマートマップ「chizco(チズコ)」を開発し、提供開始した。

AIを活用したスマート観光マップchizco

chizcoはPCやスマホを活用したスマート観光マップだ。
機能は、以下の通り。

  • 観光の拠点を中心としたマップ内で、近い順におすすめのスポットを表示。
  • 利用者のニーズに合わせて、ジャンルを設定・並び替えることができる。
  • AIを活用した高精度な機械翻訳を活用し、英語・中国語・韓国語に対応(対応言語は順次拡大予定)。
  • あらゆるデバイスに対応し、スマホ版では、導入拠点から近い距離にいる場合、時間帯に合わせおすすめジャンルを紹介。
  • 導入拠点から表示させたいジャンルを設定すると、ソースコードを自動生成。WEBサイトに貼り付けるだけで運用開始が可能。また、QRコードでの用意も可能。
  • AIによる高度な分析から、売上アップにつながるオプション機能を用意している。(応相談)

たとえば、知りたい周辺情報のジャンルを選択してみると、観光地やグルメといった定番スポットから、ガイドブックに載っていない穴場スポットまで、近い順にみつけて訪れることができる。

また、ローカルガイドアプリ「Deaps」でのユーザー投稿により、 実際に観光客が訪れたおすすめスポットが随時追加されているという。 おすすめしたい観光情報がまだ登録されていなければ、ホームページを改修することなく、 自身で投稿・chizcoに反映することもできる。

Deapsはおすすめスポットやプランを、誰でも自由に投稿、閲覧、リアクションができる観光SNS。SNSの中で行き交う情報を、AIが利用者の趣味嗜好を分析し、情報を個別最適化して届けるシステムだ。

観光客のリピート率向上につなげたい

観光客のニーズの多様化やインバウンドの増加により、さまざまな観光スポットやニューツーリズムが生まれ、次々とブームの波が押し寄せている。

観光地はそのブームを一時的なもので終わらせず、その場所を「何度も訪れたくなる」魅力を伝え、観光客のリピート率の向上につなげる必要がある。

chizcoはそのニーズに対し、自治体や宿泊施設など、観光の拠点となるWEBアクセス情報に、各拠点を中心とした周辺情報を追加することで、拠点周辺の魅力を伝え、訪れる人の滞在価値を高めることを目的に開発された。

このような背景から同社では、利用場所によって想定顧客を分けている。

たとえば、観光案内所での利用については、

  • 自分たちの知られざる魅力を届けたい
  • インバウンド対応をもっとスムーズにしたい
  • まちの滞在時間と満足度をもっと高めたい
  • まちの魅力を体験してもらい、リピーターになってもらいたい

という事業者。

宿泊施設での利用については、

  • 周辺の魅力を紹介して宿泊滞在時間を伸ばしたい、単価を上げたい
  • インバウンド対応をもっとスムーズにしてオペレーションコストを下げたい
  • まちの魅力を体験してもらい、リピーターになってもらいたい

という事業者。

交通会社での利用については、

  • 駅やバス停の周辺スポットを発信したい
  • ユーザーの移動導線を伸ばしたい

というそれぞれの事業者に向けている。

アリペイとのコラボによる訪日中国人向けサービスも

訪日外人客として最も注目されているのが、中国人である。彼らの訪日人数は増加一途をたどっており、さらに「爆買い」してくれるため日本での「消費」に大いに期待が持てるからだ。

これを受け、訪日中国人の日本国内での消費を促進するための新しい取り組みも既に登場している。

中国のモバイル決済「アリペイ(支付宝)」を日本で提供する株式会社ユニヴァ・ペイキャスト(UPC)と、データ分析技術を使ったサービスを展開する株式会社神戸デジタル・ラボ(KDL)とは、アリペイの決済情報とSNSやWi-Fiの利用データを活用した、訪日中国人の観光動向に関するデータ分析の取り組みを開始する。

アリペイは、中国モバイルペイメント業界で約54%のシェア(2017年第一四半期・Ant Financial発表)を占める世界最大の第三者決済だ。タオバオをはじめとしたネットショップサイトで利用される。中国向けの越境ECに欠かせない決済手段だ。

利用者はアリペイに会員登録し、商用サイトの支払画面からログインするか、モバイルアプリでQRコードを読み込んで支払い手続きをする。

2018年1月時点で5億2,000万人以上の本人認証済みアクティブユーザーを抱え、世界中に450以上の金融機関パートナーがいる。

日本では、2015年以来インバウンド施策として多くの店舗に導入されており、現在の導入店舗数は4万店に達するという。

現時点で中国の消費者に最も親しまれていると言えるモバイルペイメントアプリであり、中国からのインバウンド客の獲得には欠かせない決済手段だ。

AIの進化による多言語対応が最大のポイント

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2017年累計の訪日客による1人当たり旅行支出は前年比1.3%減の15万3,921円となったものの、旅行消費総額は2016年比17.8%増の4兆4161億円と過去最高を記録した。

訪日外国人は、中国、台湾、韓国、米国、東南アジア、欧州などその国籍は多岐にわたっている。これら諸外国人のニーズに対応するにはやはり、その国の言語でサービスする必要がある。

その意味では、Chizcoの最大のポイントは英語・中国語・韓国語に対応していることだろう。しかも、対応言語は今後も順次拡大していくという。

こういったサービスが実現できるのはやはりAIの進化あってのこと。はたして、chizcoはどこまでインバウンドの掘り起こし拡大に寄与できるのか、期待したい。

img; Alipay , PR TIMES