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「体が資本」、昔からよく聞く言葉だが、これはビジネスにおいてももちろん当てはまる言葉だ。近年では従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その改善を実践していくことで従業員の健康増進を実現し、生産性を向上させる「健康経営」という言葉を聞くことも多くなってきた。
一方、AIの進化はとどまるところを知らない。現在では、さまざまな分野でAIが導入されているが、この健康管理にもAIが導入される。
アイ・タップ株式会社は、健康経営を導入・推進する企業・自治体向けの支援サービスとして「Aiglea.move(アイグレア・ドット・ムーブ)」を提供すると発表した。
このサービスは、オフィス環境で気軽にできるエクササイズやストレッチの動画をラインナップしており、継続利用することで症状や実施状況をAIが学習し、気になる症状の改善により適したエクササイズの提案を行うという。
9割近くの企業が「従業員の関心・取組み意欲の向上」が課題
従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する健康経営は、昨今、国の政策の後押しもあり、導入企業数は加速度的に増えている。
従業員などへの健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、業績向上へと繋がる事例も増加している。
一方で、すでに「健康経営」に取組んでいる企業への調査(日本経済団体連合会 2015 「健康経営への取組み状況」より)によると、健康経営を行うにあたっての課題として9割近くの企業が「従業員の関心・取組み意欲の向上」を課題として挙げている。
チームで健康維持・増進活動することで継続を狙う
Aiglea.moveは、個人単位での活動ではなく、部門や課などのチーム単位で健康維持・増進活動を実施、記録する。
チームという概念を導入することにより、協力、競争、連帯責任が発生するため、一人ではつい離脱してしまいがちな健康維持・増進活動を継続しやすくするのが狙いだ。
デスクワークを主とするビジネスパーソンを対象に、就業時間中にリフレッシュや血流促進を促すエクササイズを実施。事前に気になる部位や自覚症状を登録しておくことで、症状に効果のあるとされるエクササイズをAIがレコメンドする。
部署単位で集合して一緒にやることで、エクササイズでの健康維持・増進に加えて部署単位でのコミュニケーションを図るスタイルでの実施もできる。
加えて、エクササイズ動画の同時再生機能もあるので、それぞれのデスクで実施することも可能だ。
部署単位で達成率の確認もできるので、達成率やランキングに応じてインセンティブを設定することで、チームでの協力関係・連帯責任が生まれ、離脱防止に繋がる。
主な機能は以下の通り。
- プロのトレーナー監修のエクササイズをラインナップ
肩こり、腰痛、むくみ、目の疲れなど、デスクワーカーがなりがちな症状に効果のあるエクササイズをラインナップ。また、オフィスで気軽に実施しやすいように5分前後のプログラムとなっている。 - 日々のコンディションを記録
エクササイズと合わせて日々のコンディションを手間なく確認記録。これにより日々の自身のコンディションの把握だけでなく、普段とコンディションが異なる時にはあらかじめ登録していた連絡先に状況を伝えることも可能となり、変調の早期発見にも繋がる。 - ダッシュボード機能で部署や従業員の状況を可視化
実施回数、達成率などのエクササイズの実施状況や従業員の方のコンディションをダッシュボード機能で確認できるので、個人だけでなく部署単位での状況を把握できる。 - チームで実施するので継続しやすい
部署ごとの達成率をランキング形式で把握でき、インセンティブ施策とつなげることで、モチベーションアップや継続意向を喚起することが可能。
健康管理にも求められる柔軟性。さまざまなスタイルのサービスが
ミレニアル世代が職場へ出始めている現在では、オフィスでの健康管理にも柔軟性が求められている。そして、これに対応したさまざまなサービスが登場している。
フリーランスの働き方と健康を応援する新サービス「Work & Wellnessサービス」は、八ヶ岳の麓にあるコワーキングスペース/シェアオフィス施設 富士見 森のオフィスと、長野県茅野市で予防医学による健康づくりをサポートするライフクリニック蓼科(たてしな)」が運営している。
同サービスでは、スペース利用者を対象にライフクリニック蓼科の院長が森のオフィスに定期的に回診し、利用者が健康の疑問や悩みを相談することができる。
年間会員向けの特典として、ライフクリニック蓼科での人間ドック割引利用が可能だ。なお、外部利用者向けの体験コースも用意されている。
また、社員が抱える健康問題解決に焦点を当てたサービスが、株式会社バックテックより提供されている。「ポケットセラピスト」というサービスは、国家資格を保有する専門家と二人三脚で腰痛などの痛みを改善までサポートするものだ。
一方、「食」にフォーカスしたサービスも登場している。「ポップアップ社食」と呼ばれるこれらのサービスは、社員食堂のない中小企業などを対象に、必要なときだけ調理スタッフが来社し、いつものオフィス風景を社食に変えてくれるのだ。
家事代行サービスを提供する株式会社CaSyは、2017年9月法人向けに料理代行サービス「出張型社員食堂」を開始した。
同サービスでは、中小企業やスタートアップなどを対象に、家事代行スタッフがポップアップで社食を提供する。キッチンがないオフィスでも、空いたスペースに簡易コンロを並べ、即席キッチンを用意。準備から片付けまでに要する時間はおよそ3時間ほどだという。
また、株式会社おかんでは、企業に冷蔵庫や専用ボックスを設置し、健康的な総菜やスープ等を常備するサービス「オフィスおかん」を展開している。
「さばの味噌煮」「ひじき煮」「玄米ごはん」といった食事を、1品100円からいつでも購入できるという。
同社は企業の仕事と食事のバランス=“ワーク・フード・バランス”の改善を推進するため、2014年から法人向けサービスを開始している。
さらに、料理をつくる人と食べる人が集まる交流コミュニティサイトまで登場している。「KitchHike」がスタートした「オフィスKitchHike」は、オフィスでの手作り料理を通して会社の交流を活性化させようという発想から生み出された。
同サービスは、COOKと呼ばれる登録スタッフが中心となり、調理や片付けを従業員が手伝う形式で、ワークショップ的要素が強い。
ランチを一緒に作ったり食べたりと、業務外の時間を共に過ごすことにより、デスク上で「孤食」していたスタッフへのケアや、従業員間の結束の高まりなども期待できるという。
AIが改革する企業の「健康経営」
近年、国や各企業が「働き方改革」の名の下に、その改革を推し進めようとしている。しかし、いくら労働環境や業務フローが改善されても、体が健康でなければ意味がない。
このため、冒頭でも述べたが、働き手の健康管理は、企業にとって最も重要な課題と言っても過言ではなく、企業は「健康経営」を重視している。
AIによって健康管理がどのようにイノベーションされるのか、今後の展開に期待したい。