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スポーツ業界のビジネスと聞いてどんなイメージをするだろうか?
試合への集客や物販などは容易に想像できるかもしれないが、もちろん今やそれだけではない。他のビジネスと同じく、その集客や情報発信につながる細部に至るまでもWebを駆使することが重要なファクターとなってきている。
株式会社プラスクラスは昨今インターネットの利用がスマホにシフトしつつあることを受け、スポーツ業界のインターネット体験が快適なモノであるかを調査するために、現在のスポーツ業界のウェブサイト状況、特にサイトの表示速度における現状を把握するため調査を実施した。今回は、その結果を紹介する。
ウェブサイトの表示速度の遅さが課題
今回は、2017年6月末にローンチされたGoogleの新解析ツール「Test My Site」を用いて、各スポーツのプロチーム公式サイトの表示速度を調査/比較した。
(対象:野球/セパ両リーグ、サッカー/J1、J2、バスケ/B1、B2、バレー/Vリーグ 計:104チーム)
以下、その結果である。
- スポーツ業界全体で3秒を切るサイトはナシ
Googleによる調査では「ロードに3秒以上かかると53%のユーザーが離脱する」ことが明らかになっている。しかしながら、現在各メジャースポーツのプロチーム公式サイトを調査してみると、表示速度について意識を高めていかなくてはならない現状がわかった。 - バスケ業界のウェブサイトが特に遅い
全体的にスピードの遅さが見られる中でも、Bリーグのウェブサイトの表示速度の遅さが顕著だった。リーグ全体で遅くなっているのは、各チームのウェブサイトがBリーグで指定された同一のCMSで構成されていることに起因すると考えられるとしている。また、サーバー環境なども同一のものであると予想されるため、開発言語の関係などで通信の遅延が生まれている可能性が考えられるという。実際に各サイトを調査したところ、圧縮されていない画像ファイルのアップロードなども散見され、高画質な写真が多いスポーツならではの理由が、表示速度に影響を与えているとも考えられるとしている。 - 解決のためにはAMPなど新技術が今後期待できる
そして、これらの現状を解決するため、プラスクラスでは新たにサイト表示速度の改善コンサルティングを開始し、中でもAMPの導入に注力していく方針だ。
問題を解決する新技術AMPとは
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、Googleも推奨しているWeb表示速度の最適化を図った取り組みである。
この技術は、ウェブページのHTMLをあらかじめGoogleあるいはTwitter側でキャッシュすることで、読み込む分の時間を大幅に削減する仕組みとなっている。
このため、モバイル端末でウェブページを高速表示できるのが特徴だ。また、オープンソースとして公開されているというメリットもある。
現在のスポーツビジネスの新しい動き
PwCコンサルティング合同会社の「PwC スポーツ産業調査 2017-破壊的変化の大波にさらされるスポーツ産業」によると、スポーツ業界は今後3~5年にわたって平均6.4%の成長率が予測されているという。中でもサッカー、オンラインでプロスポーツの勝敗を競うeスポーツ、バスケットボールは、成長分野として期待されている。
そして、このような背景から新しいビジネスが次々と登場している。楽天は、NBAの試合をインターネットで視聴できる購読型サービス「NBA LEAGUE PASS」を国内の楽天会員に限定して提供開始した。
また、ニュージーランドの「DROPIT」というスタートアップは、スポーツ観戦中の「スキマ時間」を活用し、60秒間のライブオークションを開催するという斬新なアイデアでビジネス展開している。
さらに、「ドローンレース」も注目を集めている。これはフランスのラジコンコミュニティがYouTubeにアップロードした動画が話題となり、それがきっかけで徐々に世界中でユーザー数を増やしていったといわれている。
一方、アスリート側も新たな動きを見せている。元浦和レッズの鈴木啓太氏と元陸上日本代表の為末大氏は、現役引退後に新たなビジネスを立ち上げている。為末氏は新豊洲に「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」をオープンした。ここにはラボが併設されており、たった3分で義足の修理・調整ができるという。
鈴木氏は、引退直前にAub株式会社を立ち上げ、腸内細菌の研究結果を商品やサービスに応用するビジネスを展開している。
これらは、アスリートが引退後に異分野とビジネス連携するという新しいモデルケースだ。
ネット環境の快適さが左右するこれからのスポーツ業界
このようにスポーツ産業は大きな変革の時期を迎えている。そして、このような変化に対応するには、冒頭でも述べたようにウェブサイトの重要性はますます高まるだろう。
すでに現在では誰もが情報の受信者と発信者のどちらの立場にもある。しかし、とかく人はサイトの表示速度が遅いとイライラしがちである。
インターネット環境の快適さがこれらからのスポーツビジネスを大きく左右する要因になるといっても過言ではないだろう。
img: @press