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人口の大きさは、そのままマーケットの大きさに直結するということは中国・インド・東南アジア・ムスリム圏などを見ているとわかる。ゆえに隣国であり、世界最大の人口を持つ中国のマーケットにおいてビジネスチャンスを獲得しようと考えている人も多いことだろう。
このような中、JC Connect株式会社(JCC)は、2017年12月1日より越境EC構築システム「ShopCN(ショップシーエヌ)」を新たに海外配送のサポートに対応したサービスへリニューアルした。
10億の中国人ユーザーをターゲットに商品を販売
ShopCNは、中国インターネットサービス大手テンセント(騰訊控股有限公司)が運営する「WeChat(ウィーチャット)/微信」の企業公式アカウント内に越境ECサイトの構築ができる。このため、最大約10億もの中国人ユーザーをターゲットに商品を販売することが可能となる日本企業向けのサービスだ。
JCCは、海外配送・転送サービスを提供する株式会社BENLYと業務提携することにより、WeChat公式広告サービスによる集客から販売および決済、海外配送までをワンストップでサービス提供する。
日本企業は今までの国内配送フローでそのまま海外へ商品を送ることができ、海外配送時のさまざまな手間を省くことが可能となる。
ShopCNから注文が入った際、受注データ(CSVにて管理可能)と共に商品を、BENLYの国内倉庫に発送するだけで、国外の購入者へ商品が届くシステムとなっている。また、カスタマーサポートとしてネイティブスタッフによる対応も可能となる。
低コストや「WeChat Pay」で円建て決済が可能などのメリットが
同社では、ShopCN導入のメリットとして以下を挙げている。
- 出店時に高額な保証金は一切かからない
- 出店費用が低コスト
- 最大約10億もの「WeChat(ウィーチャット)/微信」ユーザーへアプローチ
- 「WeChat Pay(微信支付)」で円建て決済が可能
このように、中国人消費者向けに商品を販売したい日本企業は、低コストで越境ECサイトを運営することが可能となり、高額な保証料や売上ロイヤリティーなどもない。
また「WeChat Pay(微信支付)」での支払いにより中国人消費者がスムーズに買い物できるほか、円建てでの決済により、日本円での入金が可能となる。
越境ECで日本の魅力を中国の消費者に
中国をターゲットにした日本企業の越境ECは今回のケースだけではない。代表的なところでは、Inagora(インアゴーラ)株式会社は、「100年100社プロジェクト」を2017年12月28日より開始している。
Inagoraは、日本商品特化型越境ECプラットフォームの「豌豆(ワンドウ)プラットフォーム」を運営する企業。その「豌豆(ワンドウ)」が、約100年以上の歴史を持つ日本企業100社を集め、商品を中国消費者向けに販売するのが 「100年100社プロジェクト」である。
「100年100社プロジェクト」では、日本の商品の奥深い魅力を伝える新しい取り組みとして、中国消費者の新しいニーズに応える。約100年以上の歴史を持つ日本の老舗企業を集め、各社の歴史や概要、モノづくりにかける思いなどを中国消費者により丁寧に紹介した上で販売するという。
越境ECは中国人観光客による“爆買い”をリプレイスするか。「豌豆公主(ワンドウ)」が「100年100社プロジェクト」開始
ECにとどまらないテンセントの事業展開
一方、WeChat/微信を運営するテンセントは「スマートシティー」「トランスポート」「ヘルスケア」分野にまで事業範囲を広げている。テンセントは独自の自動運転技術を開発しているほか、電気自動車(EV)や空飛ぶタクシーなどへの投資を加速させている。
また、海外市場の開拓にも力を入れている。2017年12月には主力のスマホ向けオンラインゲーム「王者栄耀」の米国配信を開始した。このゲームは、中国国内で登録ユーザー数が2億人以上、1日あたりのアクティブユーザー数が5,400万人以上ともいわれている。
米国配信に先立って、台湾、タイ、ベトナムで海外版の配信が開始されている。さらには、フランス、イタリア、スペイン、ドイツなど欧州でも配信が検討されているという
企業側、消費者ともに享受できるシステムの構築を
JTB総合研究所の推計によると、2017年10月の訪日外客数は前年同月比31.1%増の66万3,800人であった (出典:「インバウンド 訪日外国人動向」)。
2年後の2020年には東京オリンピックが控えており、この数字はますます増加すると思われる。
これまでは、日本企業の中国への越境EC進出は中国人消費者の「爆買い」を狙ったビジネススタイルが多かったが、今後は今回のようなさまざまなメリットを企業側、消費者ともに享受できるシステムの構築が成功のカギを握るだろう。