Web業界を中心として、その働き方の多様化はどんどん広がってきている。以前AMPでも海上で旅をしながら働くという働き方を紹介した。

どこでもオフィスになる時代?「海上」で旅しながら働くワークスタイルの出現

そして日本でも政府主導で働き方改革が推進されている。しかし声高に叫ばれてはいるが、実際のところその働き方はどれほど改革されているのだろうか?

今回、就職・転職のための企業リサーチサイト「Vorkers」を運営する株式会社ヴォーカーズは、「2017年 働き方改革成功企業ランキング」を発表した。

改革成功のトップはApple Japan

その結果は、1位がApple Japan合同会社、2位はマクロミル、3位はネオキャリアとなった。
以下にランキングを示す。

2017年 働き方改革成功企業ランキング
1.Apple Japan合同会社
2.株式会社マクロミル
3.株式会社ネオキャリア
4.株式会社LITALICO
5.スターバックス コーヒー ジャパン株式会社
6.ディップ株式会社
7.大日本住友製薬株式会社
8.株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
9.シスコシステムズ合同会社
10.豊田通商株式会社
11.花王株式会社
12.日本ユニシス株式会社
13.有限責任あずさ監査法人
14.株式会社公文教育研究会
15.株式会社アサツー ディ・ケイ
16.アメリカンファミリー生命保険会社
17.日本ヒューレット・パッカード株式会社
18.株式会社埼玉りそな銀行
19.東京海上日動火災保険株式会社
20.株式会社マクニカ
21.株式会社電通デジタル
22.日本ビジネスシステムズ株式会社
23.株式会社ABC Cooking Studio
24.関西電力株式会社
25.株式会社野村総合研究所
26.株式会社リクルートライフスタイル
27.クラブツーリズム株式会社
28.伊藤忠商事株式会社
29.株式会社セールスフォース・ドットコム
30.富士ゼロックス東京株式会社

ランキング1位となったAppleの働き方改革とは

働きやすさアップ企業の1位のApple Japanについて、Vorkersのクチコミから評価アップしたポイントを探った。

その結果、在宅勤務によるカスタマーサポート、通称AHA(At Home Advisor)社員の投稿が増えていることがわかった。

AHAは完全在宅勤務でありながらApple社員としての福利厚生も整う新しい職種で、クチコミによると「業務時間外にはネットワークには接続が許されない」など、ワークライフバランスの良さが魅力として多く挙げられている。

その一方でマネージャーとしてのキャリアパスや評価も明確で、働きがいもあることがクチコミからうかがえる。

「働き方改革」で大きく変わるワークライフバランス

今回は、平均残業時間や有休消化率も集計指標に組み込んだ。その結果、ランクインしたほぼ全ての企業で昨年よりも残業時間が削減され、加えて多くの企業で有休消化率も上昇していた。

ワークライフバランスのクチコミには、「働き方改革」というワードが多く見られ、政府の方針や昨今の長時間労働問題によって、全社的な改革を推進したことが読みとれる。特に残業が常態化していた企業においては、PCの強制シャットダウンといった「本気」の施策によるテコ入れが見られた。裏を返せば、そのくらい本気を出さないと改革できない、とも言えるとしている。

以下で各社のクチコミをご紹介する。

「21時にPCがシャットダウンする仕組みになり、昔に比べると業務改善されている。」(営業、女性、ネオキャリア)

「ワークライフバランス促進は経営陣から末端まで浸透していると思う。」(営業、男性、豊田通商)

「ここ1、2年でサービス残業、過残業に対する全社的な監視が行われ、プライベートな時間を確保しやすくなっている。」(SE、男性、日本ユニシス)

「21時以降はパソコンを使用することが出来ないので、ワークライフバランスは取れる。」(主査、男性、有限責任あずさ監査法人)

「週1の早帰りDAYは管理職がきちんと帰るようにしているため帰りやすい雰囲気。また有給取得もしやすい(ただ、これは部署間での差が激しい)。」(企業営業、女性、東京海上日動火災保険)

「今は19時20時にはほとんど退社しているホワイト企業になりました。」(プレイングマネジャー、女性、リクルートライフスタイル)

「水曜日ノー残業デー実施、毎日20時パソコン強制シャットダウン導入以降はやっとまともな会社になった感じ。プライベートな時間もしっかり確保できる。」(企画、男性、クラブツーリズム)

上記のように、ある程度「強制的に仕事をさせない時間を作り出す」といった形が、今回のランキングでは上位にきている理由となっていそうだ。ただし、ワークライフバランスも取れていて、生産性の向上もはかれているというコメントがないのは気になる点ではある。

働き方改革でミレニアル世代を上手に取り込む

では、これからの世の中を背負うミレニアル世代はどんな働き方に興味を示しているのだろうか?

毎年ミレニアル世代の動向を調査する「デロイト ミレニアル年次調査」を行っているデロイト・トウシュ・トーマツによると、ミレニアル世代の84%が「自分たちの所属する企業では何らかの形で柔軟な勤務形態を導入している」と回答している。逆に柔軟な働き方を導入していない企業に勤めるミレニアル世代は4割前後にとどまっているようだ。

このようにミレニアル世代が働き方に求めるものは「柔軟さ」であり、企業の働き方改革についてはさまざまな価値を享受していることが分かった。働き方改革はミレニアル世代に向けてのものでもある。

<参考記事>
「柔軟に働けない企業はNG」−−ミレニアル世代の職業意識の調査結果

社員にどう浸透させるかが成功のカギ

このように今後企業は、これまでのように旧来の考え方に固まった働き方を提供していては、やっていけなくなるだろう。

ただし新しい働き方によって、社員からこれまでよりも優れた業績や能力を引き出し、生産性の拡大を行わなくては意味がない。

今後は「働き方改革」の浸透のさせ方も必要だが、業務の効率化やリソースの再配分、勤務管理などを成功させることが鍵になってくる。そのケーススタディによって「働き方改革」の本来の社会への浸透が起こるのではないだろうか。