「クラウドファンディング」の登場によって、プロダクトの製品化や、自身の夢に向かって一歩踏み出すことができるようになった人は増えたのではないか。

アイディアやプロジェクトに対し、それに共感した人や可能性を感じた人からインターネット上で人々から資金を集めるビジネスタイルのクラウドファンディングは、欧米から始まったものだが、近年、日本でもさまざまなサイトがサービスを展開している。

日本のクラウドファンディング最大手の一つであるCAMPFIREは、株式会社高専キャリア教育研究所とともに、高等専門学校生のサポートを目的とした新サービス「Hello world project(ハローワールドプロジェクト)」の運用を2017年12月13日より開始した。

高専生がプロダクトを製作するための資金をクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」にて募り、支援者には「プロジェクト報告会の参加券」「検証実験現場の見学」といった、各プロジェクトの特色を生かした返礼品が贈られる。学生の製品開発を支援することで、研究開発の活性化および学生のスキルアップを目指す方針だ。

クリエイティブプロジェクトに特化したCAMPFIRE

CAMPFIREは、音楽、本・漫画、アート、映画、プロダクトなどの「クリエイティブプロジェクト」向けのクラウドファンディングだ。

プロジェクトを実行するために必要な資金を、インターネットを通して1,000円などの少額から資金を募ることができる。

CAMPFIREは融資・投資型ではないため、資金に対して金利や株式ではなく、モノ・サービス・体験といったプロジェクトでしか手に入れることのできないものをリターンすることが特徴だ。

2017年は市場規模が約2倍に拡大

昨年、クラウドファンディングで制作資金を集めたアニメ映画「この世界の片隅に」が興行収入250億円を突破し、キネマ旬報ベストテンの1位に輝くなど、大成功を収めて注目を集めた。

クラウドファンディングを行えるサイトは多数存在し、それぞれに特徴をもたせることでプロジェクト申請者と出資者の獲得を行なっており、そのマーケットは大きなものとなってきている。

矢野経済研究所によると、2016年度の国内クラウドファンディングの市場規模(新規プロジェクト支援額ベース)は前年度比96.6%増の745億5,100万円と大幅に拡大している(「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2017年)」矢野経済研究所)。

特設ページを開設、高専生のプロジェクトを掲載

今回、CAMPFIRE上に「Hello world project」特設ページを開設し、高専生のプロジェクトを掲載する。

高専キャリアのメンバー、および高専卒業生がプロダクト開発や事業計画書作成のサポートを行い、クラウドファンディングが成立した際には、プロジェクト実行者を中心としたプロジェクトチームによる事業化を目指す。

CAMPFIREは、クラウドファンディングにおけるプロジェクト作成時のノウハウ提供および特設ページの作成、広報活動などの支援を予定している。流通金額は2018年度中に5億円に達する見込みのようだ。

これからはビジネスだけなく人材育成の資金も

技術者の養成を目的とする高等専門学校は、全国に国公私立合わせ57校あり、約6万人の学生が学んでいる。Hello world projectは、「モノづくり分野における国内最高峰の教育機関」と言われる高専で学ぶ学生が製作したプロダクトを、より多くの方に知ってもらう機会を作り価値を広めることが可能になる。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥京都大教授もこの方法でiPS細胞の研究資金を集めているのは有名だが、今回のHello world projectも同じような役目を果たすことができるだろうか。

今後もこういった人材育成機会の創出が行われれば、さらなる意義のあるクラウドファンディングの活用が増えることを期待したいところだ。