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テクノロジーの進化により、キャッシュレス社会が現実味を帯びてきた。
キャッシュレス社会では、現金を使うよりも時間や手間を省くことができ、自動販売機の利用も、キャッシュレス社会の恩恵を受けるシーンのひとつといえるだろう。
自動販売機の電子マネー決済では、「Suica(スイカ)」や「iD(アイディ)」などを利用したことがある人も多いだろう。
今回発表されたのは、「LINE(ライン)」上で利用できる決済アプリの「LINE Pay(ライン・ペイ)」が、伊藤園の自動販売機で使えるようになるというもの。「LINE」は、国内MAU(月間アクティブユーザー数)7,100万人以上のメッセンジャーアプリである。
伊藤園は、これまでにもスマートフォンのゲームアプリと連携するなど、モバイルとのコラボレーションに取り組んでいる。
AR対応ゲームアプリとコラボ実績のある伊藤園の自動販売機
伊藤園は、2015年から同社の所有する災害対応自動販売機、および社会貢献につながる自動販売機のうち約2,000台を、位置情報ゲームアプリ「Ingress(イングレス)」内の「ポータル」として登場させる、というコラボレーションを行っている。
「Ingress」は、Googleから独立したスタートアップであるNiantic社(ナイアンティック) が提供しているAR(拡張現実)を活用したモバイル向けのMMORPG(多人数が同時に参加できるオンラインゲーム)である。
「Ingress」は、現実世界に実在する名所などを「ポータル」として登録し、2つの陣営に分かれて「ポータル」を取り合い、テリトリーの広さを競う。その「ポータル」として伊藤園の自動販売機が登録されるということだ。
ポータル占有状況を、立体的に演出する3Dホログラム画面で確認できる、「XM-Profiler(エキゾチックマター・プロファイラー)」を、自動販売機の横に設置して、ゲームを盛り上げるという活動も行う。
全世界で200の地域と国に「Ingress」プレーヤーを擁し、ダウンロード数は合計で2,000万回以上を記録している。
こうしたモバイルとの連携に取り組んできた伊藤園の自動販売機で、今度は「LINE Pay」の利用が可能になるという。
「LINE Pay」、「伊藤園」の自動販売機での決済導入を開始
2017年12月7日、LINE Pay株式会社は、コミュニケーションアプリ「LINE」上で展開する“スマホのおサイフサービス”「LINE Pay」において、2017年12月から、株式会社伊藤園とグループ子会社のネオス株式会社が展開する自動販売機への「LINE Pay」決済の導入を開始した、と発表。
伊藤園は、世界的に大ヒットしたAR(拡張現実)と位置情報を使ったスマートフォンゲームとのタイアップを行うなど、飲料の販売だけに留まらず、24時間営業とロケーションの良さを活かした活動を行っている。
さらなる利用促進と新たな活用シーン創出を目的に、既存の自動販売機にタブレット型ディスプレイを設置することで、「LINE Pay」の決済導入を実現する。
伊藤園の自動販売機で「LINE Pay」を使用するには、商品ボタンを押すとディスプレイにコードが表示され、それを「LINE Pay」のコードリーダーで読み取る、するとオンラインページに誘導され決済が完了となる。
今後、全国に設置された伊藤園の自動販売機への順次導入を目指し、自動販売機をコンタクトポイントとしたプロモーションでの連携を図っていくという。
全国に設置された自動販売機とのコラボレーションは、「LINE Pay」を利用した街なかでのキャッシュレス決済のシーンを増やすだろう。
街に対応機器が広がり、キャッシュレス決済のシーンが増える
経済産業省がまとめた「FinTechビジョン」によると、日本のキャッシュレス決済比率は18%で、米国の41%や中国の55%に比べてまだまだ低い。
海外では、子どもがデビットカードで親からお小遣いを受け取り、デビットカードアプリ上で親と一緒に管理するというFinTechサービスも存在している。自動販売機のキャッシュレス化と同じく、小さな金額ではあるが、時間や手間を減らしアプリ上でのサービスも受けられるというメリットが大きい。
電子決済は、「交通系プリペイドカード」、「汎用的なリアル店舗系カード」そしてメッセンジャーソフト上で動く「LINE Pay」アプリと、手段が大きく広がっている。
今回のような、対応自動販売機の広がりにより、街中でキャッシュレス決済のシーンを見る機会が増えることになるかもしれない。