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現在、「LINE(ライン)」は日本で利用されるメッセンジャーアプリとしてメジャーな存在となっている。メッセンジャーとしてだけではなく、プラットフォームしての役割を持ち、「LINE Pay(ライン・ペイ)」でFintech分野へ、「LINE Clova(ライン・クローバ)」でスマートスピーカー市場へ参入するなど、注目され続けている。
LINEはコンシューマー向けのtoC部門の展開が目立つが、企業向けtoB部門における影響力の広がりも注目すべきものがある。
今年に入ってから、LINEは独自開発するAIである「Clova(クローバ)」により、コネクテッドカー(つながるクルマ)を開発するトヨタ自動車、次世代のコンビニエンスストアの開発をめざすファミリーマートとの提携を発表している。
「Clova」を中心とする経済のエコシステムを構想しているようだ。
今回はスマートフォン向け動画広告プラットフォームで、その動きを見せている。
「LINE Ads Platform(ライン・アズ・プラットフォーム)」
「LINE Ads Platform(ライン・アズ・プラットフォーム)」は、LINEが2016年6月から導入している、運用型広告配信プラットフォームである。
運用型広告は、ネットユーザーの広告への反応を見て、クリエイティブやターゲットを改善しながら運用していく広告だ。
「LINE」アプリ内のタイムライン、ニュースサービス「LINE NEWS(ライン・ニュース)」への広告配信を行っており、今秋からは、電子コミックサービス「LINEマンガ」、ブログサービス「LINE BLOG(ライン・ブログ)」などへ、対象を拡大している。
FacebookやTwitterなど他のSNSに比べ、ユーザー数・アクティブ率の高さにより、広いリーチを可能にしている。
その強みを活かすべく、新たな企業との連携を行うという。
「LINE」、動画広告プラットフォームのファイブ株式会社との資本業務提携を発表
2017年12月4日、LINE株式会社は、同社の広告配信事業の強化を目的として、スマートフォン向けの動画広告プラットフォームの開発・販売・運用を行うファイブ株式会社(代表取締役CEO:菅野圭介)と資本業務提携し、同社を完全子会社化することを発表した。
ファイブは、2014年から運用型広告を展開する「Video Network by FIVE」や、ブランド広告に特化した「*Moments by FIVE」などのサービスを展開し、国内における動画広告配信プラットフォームの先駆けとなっている。
3年間で急成長し、現在のユーザーリーチ数は、アプリMAU(月間アクティブユーザー数)が2,800万以上・WEBサイトUU(ユニークユーザー)が3,200万以上となり、国内の動画広告において最大規模を誇る。アプリをはじめとするパートナーメディアとの提携は1,800以上、広告主の数は400を超える。
LINEはこの資本業務提携により、動画広告を専門とするファイブの技術力やリソースを活用し、「LINE Ads Platform」をはじめとした「LINE」関連サービスにおける動画広告の強化を目指す。
また、ファイブが保有する1,800以上のパートナーメディアによる動画広告プラットフォームの事業基盤と、国内MAU7,100万人以上にのぼる「LINE」が持つ豊富なオーディエンスデータを連携することで、相互の広告プラットフォームを強化するという。
「LINE」の注力地域である、タイ、台湾、インドネシアをはじめとするグローバル市場における事業展開も視野に入れる。
ファイブ株式会社 代表取締役CEO 菅野圭介氏はLINEとの連携のメリットを次のように語っている。
「創業してから3年間、世の中に意義ある変化を与えられるプロダクトと事業を生みだしたい、とずっと考えてきました。そしてLINE社は、これまで何度も強烈なイノベーションを生みだしてきているグローバル企業です。
そのLINE社とともに歩み、強みを持ち寄ることで、FIVEはより高い視座を得ることができます。さまざまな可能性を秘める動画マーケティングを通じてモバイルインターネットを取り巻く皆様に更なる価値を提供できることをとても楽しみにしています。」
次々に企業との連携をおこなう「LINE」が目指すものは何なのか。
企業との連携を広げることで目指すのはLINE中心のビジネス「エコシステム」か
国内MAU7,100万人以上にのぼる「LINE」は、もはや誰もが使っているといっても過言ではない。
すでにただのメッセンジャーアプリではなく、プラットフォームとして金融、情報、ビジネス、娯楽を取り入れ、生活インフラとしてスマホ社会では欠かせない存在となりつつある。
「LINE」はそのユーザー数と、独自AIを背景に、これからも幅広い企業との連携を進め、自らを中心とするビジネスのエコステムの構築を目指しているのかもしれない。
そのエコシステムの拡大がさらに実現していくのであれば、スマートフォンを利用できる場面が広がり、ユーザーに新たなライフスタイルをもたらす可能性が期待される。
img: Five , LINE Ads Platform blog