近年「Airbnb」などの民泊サービスが登場することによって、民泊を利用しやすい環境が整ってきており、外国人観光客の増加にも伴った民泊利用の拡大が見込まれており、来たる2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、さらなる民泊サービスの向上が期待されている。

日本の民泊の状況

そもそも民泊とは、ホテルなどの宿泊施設ではなく、一般の民家などに宿泊することをしており、最近ではマスメディアも取り上げる話題となっている。

民泊が登場して間もない頃は、従来の法律で規制すると、ほとんどのケースで要件を満たせず、違法民泊が増加していたが、現在では「民泊新法(住宅宿泊事業法)」が成立し、今後は法的な対応が行われていく。

民泊新法では、民泊とホテルや旅館などの宿泊施設と区別をつけるため、民泊の定義を

「既存の1日単位で利用者に貸し出すもので、1年間で180日を超えない範囲内で、有償かつ反復継続するもの」

としており、1年間で180日を超えて人を宿泊させた場合、民泊新法の対象外となり、旅館業法の対象となってしまう。

現在では様々な企業やサービスが発達しているが、その中でも世界大手の民泊サービスが、「Airbnb」だ。Airbnbは部屋を貸したい人がその情報を掲載し、借り手は自分の求めている条件に合った部屋を検索できるシステムになっている。

外国人観光客の急増で、都心などではホテル不足や価格高騰が起こっている。そのため比較的安く、空いている部屋を探すのに便利なAirbnbの利用者は増加しており、国内でも物件数は50,000件を超えている。

無人型宿泊施設の登場

民泊サービスが注目を集めるなか、民泊予約の仲介サービスを行なっている株式会社VSbiasが新たなサービスを展開している。それが2017年10月に無人型宿泊施設「Commune(コミューン)」だ。

この施設は従来の宿泊施設とは異なり、スマートロックやタブレットを活用したスマートチェックインシステム、AIを活用した業務自動化などにより、現地スタッフが常駐していない場合でも運営ができることを目指した、次世代型の宿泊施設である。

11月はすでに稼働率が80%を超えるなど、好調に予約が入っており、さらなるゲスト利便性を目指して、サービス増強を予定している。

VSbiasでは、これまで3,800室を超える宿泊施設のシステム管理を行い、蓄積してきたデータと、これまでの運営で培ってきたノウハウを詰め込むことで、革新的な業務効率化を実現しようとしている。
※実際の運営は、各自治体の保健所の指示に従って行っている。

Communeの特徴的なサービス

  • AI(人工知能)を活用した業務時自動化

従来では、施設スタッフが手動で行ってきた毎日の部屋割りや価格調整といった業務を、AI(人工知能)によって自動化することを目指す。また、フロントスタッフを常駐させない代わりに、Communeではゲスト(宿泊者)とのコミュニケーションを24時間チャットで行えるようにしている。将来的にチャットボットを活用することで、AIによる簡易的なコミュニケーションが取れるようになる。

  • スマートチェックイン

Communeでは暗証番号で入室可能なスマートロックを導入している。また、宿泊者の名簿作成や、本人確認をタブレットで行える「自動チェックイン」機能を有する「m2m Check-in」を導入。こうしたスマートチェックインの仕組みによって、スタッフの常駐が困難な夜間でもセキュリティに問題なくチェックインが 可能になる

  • 充実した室内設備

Communeでは、実験的に音声アシスタント端末を導入しており、ゲストはハンズフリーで様々なサービスを受けることができる。
またその他にも、音声配信サービス・動画配信サービスといったエンターテイメントサービスを無料で利用することが可能になっている。

  • 安心の旅行サポート

Communeのターゲットでもある訪日ゲスト向けの旅行サポートも提供している。そのサポート内容は、レストランの予約やタクシー配車、病院への連絡の代行などのほか、専用デバイスを提供することで、観光中いつでもインターネット利用を可能にする。

Communeは容積率の問題で広さの取りにくい施設だったとしても、効率的に運営できることから、空き家問題の解決にも貢献できる可能性があり、今後の計画としては、都市圏だけでなく、人材の採用がより困難な地方でも積極的に出店していき、地域経済の活性化に貢献したいという狙いもある。

2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向けた民泊業界の拡大

3年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック。日本国内から世界中のいたるところまで、あらゆるところから人が集まることが予想される。

既存のホテルや旅館などでは宿泊施設が不足する可能性が大きいが、宿泊施設を新たに作るにも様々な問題が生じて容易ではない。

そこで、現在問題視されている都内の空き家や、民家を利用した民泊の利用が増加することが予想される。
ただし、その急激な需要増加に応えるのに十分な人材確保も難しいため、その需要に応えるための無人型宿泊施設は今後重要なポイントになっていくのかもしれない。

img: PRTimes , Sutterstock