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1997年に創業した楽天は、Eコマースやデジタルコンテンツ、コミュニケーションやフィンテックなど様々な分野で70以上のサービスを提供している。多くの人が、一度は関連サービスを利用したことがあるのではないだろうか。世界でみても、楽天グループのサービスは10億を超えるユーザーに利用されているということもあり、その対象はグローバルである。
サービスを多く展開する一方で、楽天の注目すべき動きとしては、スポーツ領域への進出があげられる。
国内においては、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)クラブチームの「ヴィッセル神戸」とプロ野球団の「東北楽天ゴールデンイーグルス」を運営しており、また海外においても、2017年7月からスペインのサッカークラブ「FCバルセロナ」のグローバルにおける「メイン パートナー」および「オフィシャル イノベーション&エンターテインメント パートナー」となっている。
野球、サッカーなどスポーツ領域でのパートナーシップを拡大する楽天が、次に手を伸ばしたのがバスケットボールの最高峰、NBAだ。
楽天とNBA、パートナーシップを発表
楽天とNBAは、複数年のパートナーシップ契約を締結し、楽天が日本国内におけるNBAの独占的な放映・配信パートナーおよびグローバルにおけるマーケティングパートナーとなったことを10月10日に発表した。
これはNBAにとって、日本国内における最も包括的なメディアパートナーシップであり、楽天にとって北米スポーツリーグとの初のパートナーシップとなる。
NBAは、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)、ウィメンズ・ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(WNBA)、NBA Gリーグ(NBA G League)の3つのプロスポーツリーグから構成されるグローバルなスポーツとメディアのビジネス団体である。世界的に人気を集めており、リーグは世界215の国と地域、49言語で試合や関連番組を放送、NBA関連商品は6大陸100の国と地域にある125,000以上の店舗で展開されている。
この巨大なコンテンツであるNBAとのパートナーシップにより、どんなことが実現出来るのだろうか。
日本国内におけるNBAの包括的ライブ放映・配信
今シーズン中に楽天は、NBAの試合をインターネットを通じて視聴できる購読型サービス「NBA LEAGUE PASS」を国内の楽天会員に限定して提供開始する。
「NBA LEAGUE PASS」は、NBAの公式サイト「NBA.com」や公式アプリ「NBA App」、楽天の動画配信(VOD)サービス「Rakuten TV」のいずれかから、楽天会員IDを使って申し込むことが可能。「NBA LEAGUE PASS」によりファンは、NBAのプレシーズンやレギュラーシーズン、プレイオフ、NBAオールスター、NBAカンファレンスファイナル、ファイナルに加え、その他の独自コンテンツも視聴することができる。
また、楽天は、週9試合(平日1日1試合、週末1日2試合)を視聴できる購読型パッケージサービスを「Rakuten TV」で提供する。
「Rakuten TV」は、洋画、邦画、海外ドラマ、アニメ、バラエティ番組など最新作や過去作を含む15万本以上のコンテンツを提供する動画配信サービス。また、コンテンツごとの課金体系を取り入れ、幅広いコンテンツの中から視聴したい動画だけを手軽に、手頃な価格で楽しめることが特長である。
NBAには熱烈なファンも多く、今回のNBAコンテンツの配信は、「Rakuten TV」のコンテンツ強化として非常に魅力的なものであるだろう。
なお、そのほかにも今回のパートナーシップにより楽天は、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」や米キャッシュバックサイトの「Ebates」といった国内外のEコマースサイトで、NBAの公式グッズを販売する特設ページ「NBA ZONE」や各チームのグッズを販売するページも開設できるようになる。
また、楽天グループのインスタント・メッセージ・プラットフォームである「Rakuten Viber」は、NBAと所属チームの「オフィシャル プラットフォーム」となり、9億を超えるユーザーにNBAのコンテンツを届けることが可能となる。
バスケットボールの存在感をよりいっそう高めていく
新経済サミット2017に登壇した際の三木谷氏
楽天の代表取締役会長兼社長である三木谷氏は、発表の中で次のようにコメントしている。
「NBAのパートナーとなり、世界トップのバスケットボール・リーグの姿をあらゆる側面から日本のファンにお届けできるようになることを、大変うれしく思っています。先日発表しました、NBA王者であるゴールデンステート・ウォリアーズとのパートナーシップに加え、今回のNBAとのパートナーシップを通じて、グローバルにおけるバスケットボールの存在感をよりいっそう高めていくことに貢献できれば光栄に思います」(三木谷氏)
バスケットボールの人気拡大への貢献に向けた姿勢が伺える。また、NBAのコミッショナー、アダム・シルバー氏も、日本での展開について期待を語った。
「楽天は世界でも最も革新的な企業のひとつであり、NBAにとって理想的なパートナーです。NBAと楽天のパートナーシップにより、NBAの試合のライブ中継やNBAコンテンツを見たいという日本の熱心なファンの期待に応えていきます。楽天と協業し、今までにない最も包括的な形でNBAの放映・配信を実現していけることを楽しみにしています」(アダム・シルバー氏)
NBA配信はキラーコンテンツとなるか
動画配信プラットフォームは、NetflixやHulu、Amazonプライム、そしてインターネットテレビであるAbemaTVなど各プレイヤーが力を入れており、現在さらなる盛り上がりを見せている。プラットフォーマー自らオリジナルコンテンツを制作し、強化していく動きなども多く見られる。また、スポーツ領域ではスポーツのライブストリーミングサービス、DAZN(ダゾーン)がサッカーを中心に人気を集めている。
コンテンツによってプラットフォームが選択されるとするならば、今回のNBA配信はバスケットファンを囲い込むことが出来るキラーコンテンツとなるかもしれない。
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