HEMS(Home Energy Management System)


HEMSとは「Home Energy Management System」(ホームエネルギーマネジメントシステム)の頭文字を取った略称で、家庭で消費されるエネルギーを集中管理するシステムのことである。


一般家庭で消費されるエネルギーには電気やガスなど様々な種類があり、それぞれの消費量は契約会社ごとに個別に管理されていた。HEMSは個別管理されていたエネルギーを集中管理し、家庭で消費される全てのエネルギーを統括する。


HEMSは「エネルギーの見える化」と「エネルギーの一元管理」の2つの役割を持つ。


エネルギーの見える化とは、文字通り消費されるエネルギーのすべてを目に見える形に変換することである。従来の管理システムではエネルギーは個別に管理されており、正確な消費量を知るには月に一度の検針結果を待つしかなかった。検診でわかるのは1カ月あたりの使用料のみで、個別の製品のエネルギー消費量やリアルタイムの使用量を知る方法はなかった。


HEMSを導入することによって、家庭で消費されるエネルギーの全てはHEMSを通して管理される。HEMSはエネルギーの使用状況をモニターし、リアルタイムで情報を提供する。今現在リアルタイムでどれだけエネルギーを使用しているのかが見えることでエネルギーに対する意識が高まり、省エネへの取り組みを後押しする。ユーザーはリアルタイムの情報を見ながらエネルギー消費の多い製品を特定し、設定を変更したりこまめにスイッチをオフにしたりすることでの省エネを実践することができるようになる。


HEMSによってエネルギーの一元管理が実現すると、家庭で消費される全てのエネルギーはHEMSの管理下に置かれる。家庭内の多くの電化製品はHEMSとネットワークで繋がれ、別の部屋や外出先からもインターネットを通じてコントロール可能になる。帰宅前に空調のスイッチを入れて室内を快適な温度にするなど、生活の利便性が向上する。


一元管理によって電化製品の自動運転も可能になる。深夜割引で電力が安い夜中に洗濯や充電を済ませる、空調の設定を気温に応じて最適な温度に調節する、調理器などを自動管理してスイッチの切り忘れによる火災を防ぐ、離れて暮らす高齢者の行動をモニターして見守るなど、HEMSを通じた自動化によって安心で快適な暮らしが実現すると期待されている。


HEMSの導入には家庭内の電化製品や設備同士をつなぐネットワークの構築が必要不可欠である。太陽光発電や電気温水器などのエネルギー設備とHEMSを組み合わせることでさらに省エネ性能に優れた住宅が実現する。


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