ハイパーループ(超高速輸送システム)


ハイパーループ(超高速輸送システム)とは、テスラモ-ターズとスペースX社のCEO、イーロンマスク氏が考案した次世代型交通システムである。


そのシステムの概要は、減圧されたチューブ内を磁石とファンで浮遊する列車で、最高時速は1200kmとされ、動力は再生可能エネルギーを使用するものだ。2013年8月に構想を発表した後、米カリフォルニア州でテスト路線の建設に着手し、2018年の実用化を目指している。2016年にカリフォルニア州にテスト路線を建設し、2018年に旅客輸送を計画している。


減圧されたチューブ内を高速移動するという概念は、1970年代ランド研究所のロバート・M・サルター氏が、ロサンゼルスとニューヨーク間を21分で輸送するシステムを考案していた。減圧されたチューブをガイドとして、車両が空中浮上して進むというものであり、チューブ内の空気をファンで吸い込み、圧縮排出して車体を浮上させる構想だった。


建設を想定している区間はロサンゼルスとサンフランシスコ間(およそ643.73kmあり、車であれば5~6時間はかかる)で、その区間をわずか30分で結ぶ。最高速度は時速1220km。建設には、期間が20年以上、その費用は75億ドルを見込む。チューブが経費の主要部分を占めており、現在はロサンゼルスを拠点とするHyperloop Transportation Technologies(HTT)と、Hyperloop Oneの2社が開発を競い、開発を進めている。


2016年3月10日にHTTはスロバキア政府と合意書に署名した。それによって欧州でもハイパーループが始動することとなった。HTTはハイパーループ実現に向けて、カリフォルニア州に約8キロの試験走行トラックを建設中。ハイパーループ・ワンは2016年5月11日にネバダ州で初の公開テストを実施し、4秒間の走行で時速186kmを達成。ハイパーループ・ワンは、2016年にラスベガスに初めての工場であるハイパーループ・ワン・メタルワークを設立した。2017年に完成予定のdevloopで使用する金属製のチューブなどの部品を製造する予定。


カリフォルニアでの高速鉄道の建設費は650億ドルといわれているが、ハイパーループは60億ドルと予想。しかし、調査を進めていくと様々な課題が浮上した。減圧した管内の維持に必要なエネルギー、車両へのエネルギーの供給等の問題である。それらの課題は空気浮上、空気推進という当初の概念を維持する限り解決できない。このような理由により、進めてきた空気浮上を放棄してHTTは2016年5月9日、ローレンス・リバモア国立研究所との間で、ハイパーループ・システムの浮上方式としてローレンス・リバモア国立研究所のリチャード・ポスト博士により開発されたインダクトラック方式を独占的に使用するライセンス契約を締結したことを発表した。


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