スマートハウス
スマートハウスとは、住宅で使用する設備や電化製品をネットワークで結び、一元管理による最適化を実現する住宅である。
現代の住宅に電化設備は欠かせない存在であるが、電化が進むほどエネルギー消費量は増大してしまう。スマートハウスでは単独で運用されてきた設備や家電をネットワークで一元管理することで無駄を省き、快適な生活を維持しつつ最適化を実現する。
スマートハウスの核となるのは住宅内の設備や、機器を管理するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)と呼ばれる制御システムである。HEMSは制御下にある設備や機器を24時間監視し、消費エネルギーを最適化する役割を担う。例えば、割安の深夜電力を利用して充電を行ったりお湯を沸かしたりしておくことで、時間を節約しつつエネルギー効率の最適化を実現するのがHEMSの役割となる。
スマートハウスという概念が誕生したのは1980年台のアメリカである。当時はコンピューター分野が急速に成長している時代であり、多くの企業がコンピューター化を進め、事業の合理化や最適化を成し遂げていた。スマートハウスはコンピューターの家庭への導入という考えから誕生した住宅であり、未来の住宅のあり方として大きな注目を集めた。
スマートハウスが注目を集める大きな要因となったのがエネルギー問題である。1980年台は石油不足が世界中で深刻化していた時代で、資源確保を巡る戦争が国際問題となっていた。将来枯渇するであろうエネルギー問題を乗り越えるためには消費エネルギーの削減こそが重要である、ということから消費エネルギーの最適化を実現する住宅としてスマートハウスの研究が活発になった。
スマートハウスはその後研究が継続されたが、2010年代になって再び大きな注目を集める。きっかけとなったのはIT技術の進歩と環境問題の深刻化である。機器を一元管理するスマートハウスでは情報通信技術の進歩が必要不可欠であったが、2010年を過ぎてから高いレベルでスマートハウスを実現するIT技術が次々と開発された。石油問題は一時の深刻さを脱したものの、世界的課題として環境問題が大きな課題となっていたため、新たな技術によって実現した新時代のスマートハウスは環境問題を解決する切り札として脚光を浴びることになる。
スマートハウスには初期費用がかかるものの、エネルギー効率の最適化によるランニングコストの削減によりコスト面の問題はほぼ解決されている。最新のスマートハウスはスマートフォンとの連携によって利便性はさらに向上しており、多くの住宅メーカーがスマートハウス市場に参入している。
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