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写真をシェアしたり口コミを調べたり、さまざまなプラットフォームのおかげで、海外旅行の楽しさが倍増している。筆者も3カ月に一度のペースで海外一人旅に出かけている。AirbnbとUberは、もはや旅行の相棒だ。
ただ、「一人旅が好き」といっても、旅行の間中一人で過ごしたいわけではない。
一人で旅をするメリットは、自分のペースで動き回れることだろう。長編小説を読んだり、納得のいく一枚が撮れるまでカメラを構えたり、好きなことに好きなだけ時間を割けるのも心地よい。
だが、その自由は「孤独」と引き換えだ。一人旅の気ままさは残したまま、必要なときだけ誰かと一緒にいたい。そんなワガママが叶うなら、飛行機が大幅に遅延したときだって楽しい時間になる。
「空港の待ち時間」というスキマ時間さえ、楽しく過ごせるサービスが登場した。ドイツのスタートアップが開発したサービスが、私たちの空港での過ごし方にもう一つの選択肢を追加してくれそうだ。
フライトの待ち時間を利用し、見知らぬ人とマッチング
飛行機を待つ間に、見知らぬ人とマッチングするアプリ「WaitList」が、2017年秋にベータ版の提供を開始した。
「WaitList」は、GPSと連携して現在の位置情報を読み込み、名前とフライトまでの待ち時間、それから興味範囲や保有資格などを添えて登録をするというもの。
登録すると、同じスポットにいる人たちが一覧で表示される。彼らが何者なのか、そしてフライトまで何分あるのかがリストアップされる。気になる人にメッセージを送り、フライトまでの時間を共に過ごすきっかけを提供する。
これが実用化すれば、旅先ばかりでなく、空港にいる間にも人との出会いを楽しめるようになる。
この新たなマッチングサービスは、旅人たちに受け入れられるか
観光産業はいま盛り上がりを見せている。日本政府観光局(JNTO)によると、2017年の訪日外国人観光客の数は、過去最高の2,869万人を記録。ここ数年行われているビザ緩和や免税制度の拡充などにより、観光産業は右肩上がりだ。
国家公務員の削減が進んでいるにも関わらず、オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定した直後、法務省は2020年までに入国審査官を1,000人増員するという方針を固めた。それほど空港利用者が増加しているということだろう。
観光産業の盛り上がりから、行政も空港運営会社も、空港利用者の利便性や満足度を高めるためのさまざまな取り組みを行っている。飛行場での待ち時間をより良い体験にするためのサービスも、その流れを後押しするのに一役買うはずだ。
空港には心地よい睡眠を提供するポッドが登場している他、増加する旅行者の悩みをテクノロジーで解決するサービスも着実に増えてきている。
- 空港の待ち時間で一眠り。世界の空港で急増する「スリープポッド」って?
- フットワーク軽く旅をする。宿泊施設と空港をつなぐ当日の手荷物配送
- 荷物タグが音声観光ガイドに変身?航空会社がIoTで飛行機を“降りた後“までサポート
これらのサービスは個人の旅行体験をよりスムーズに快適にしてくれるものだ。WaitListが提供する価値も、単に時間つぶしをできるという利便性だけではない。
空港での「運命的な出会い」を誘発するという価値
同じ目的地に向かう人とつながったり、似た分野に関心を持つ仲間や、未来のビジネス相手が見つかる可能性もある。同じ時間に居合わせるという偶然性を利用した、「運命的な出会い」を誘発しうるサービスだ。
どんな風にWaitListを活用するのがよいだろう。筆者なりに考えてみると、例えば、英語話者のさほど多くない国の空港。キューバやチェコの空港では苦労した記憶がある。英語話者にぶつかるまで、色んな人に話しかけ続けるのには骨が折れた。
そんなときでも、WaitListの一言欄に「I’m looking for someone who speaks English」とでも書いておけば、英語話者探しに一役買ってくれるだろう。
その他にも、同じ行先の人を見つけることができれば、空港からメイン市街へのタクシーを相乗りするといった活用方法もある。基本的には一人でいたいから一人旅をしているわけだが、節約できるところは節約したいのが本音だ。
しかし、アプリを通して人とつながることに不安が無いわけではない。特に女性の一人旅の場合は、犯罪に巻き込まれる可能性を自ら作るような行動はいかがなものかという考え方もあるだろう。アプリへ登録する際の身元確認など、セキュリティ面は充実させてほしいところだ。
とはいえ、WaitListによってもたらされる一人旅の新しい過ごし方には期待したい。旅は空港に着いた瞬間から始まっている。それを実現させてくれるサービスになるだろう。