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加速する世界の“サブスク”化——20個の月額制サービスから最先端トレンドを掴む

これまで日常的に使っていたサービスが月額サービスとして生まれ変わる、サブスクリプション化が加速している。「生活の定額化」現象とでもいえるだろうか。

日本でも、北米発の洋服レンタルサービス「LE TOTE(ル・トート)」を参考にした「airCloset(エアー・クローゼット)」が定着しつつある。また、「Boxbee(ボックスビー)」、「MakeSpace(メイクスペース)」と類似した貸し倉庫サービス「サマリーポケット」にみられるように、続々とサブスクリプションサービスの展開が進んできている。

サブスクリプション流行の背景に「シェアリング文化」の普及がある

あらゆる領域でサービスのサブスクリプション化が流行り始めた背景として、ミレニアルズ世代の行動様式が所有から共有(シェアリング)を好むようになった傾向を指摘できる。

ミレニアルズ世代は他世代と比べて4.6倍の高さで、「オンラインサービスを使って自分の所有物を貸し出しても良い」と感じていたり、「シェアリングサービスを利用したいニーズ」が2.3倍高いとのデータがあるほどだ。

それではなぜ、ミレニアルズを中心にシェアリング意識が高まったのだろうか。

大量生産・大量消費社会が終焉を迎え、商品やサービスそのものの提案力が求められる時代になったことがその理由に挙げられるだろう。つまり、顧客に応じてパーソナライズした体験がより求められるようになったわけである。

サブスクリプションサービスを通じて、顧客データが大量に集まる。そのビッグデータを使って、各顧客に対する最適なサービス展開を効率的に行うことができる点がサブスクリプションの強みである。

後述する各スタートアップの説明を読んでいただければ、時代性を捉えたその強みを納得いただけることだろう。

本記事では、12の部門からピックアップした20社の欧米サブスクリプションサービスを紹介していく。

エンタメ部門:おもちゃ版Netflix、ティーン向けライブ行き放題サービス

Pley(プレイ) : おもちゃ版Netflix

「Pley」は月額12.99ドルでおもちゃの貸し出しを行うサービス。元々はLEGOを貸し出すサブスクリプションサービスとして有名になった。

現在では、500種類以上のおもちゃのなかから好きなセットを選ぶことができ、サービスを利用する顧客の数は15万ファミリーに及ぶという。「Pley」は2016年度にウォルト・ディズニー社が主催したアクセレータプログラム「ディズニー・アクセレータ」を卒業した経歴もあり、ディズニーとのコラボを昨年発表。ディズニープリンセス関連グッズのサブスクリプションも展開し始めた。

サービスの強みは「パーソナライズ体験の強化・訴求」であるとCEOはデモデイで発表。アルゴリズムを使って子供のスキルレベルや過去の利用データから最適なおもちゃを提案するのだ。

また、顧客から返品されたおもちゃはベルトコンベアーに乗せ、コンピュータービジョンを使いながらモニタリングする。モニタリングでは、各おもちゃの種類やダメージ・汚れ度合いを自動識別。適切な処理を施した後、次の顧客に渡る仕組みを開発した。単なるおもちゃ企業ではなく、テクノロジー企業としての側面も評価されている。

JUKELY(ジュークリー) : ティーン向けライブ行き放題サービス

「JUKELY(ジュークリー) 」は月額25ドルで地元の音楽ライブを無制限に楽しめるサービス。周知のように、人気アーティストのライブコンサートはすぐにチケットが完売してしまう。

一方、地元密着の新しいアーティストを発掘したり、友達と音楽やダンスを楽しみに中小規模のライブスタジオへ足を運ぶニーズは高い。実際、2015年時点で北米では200億ドルの市場規模があると指摘されている

ユーザーは月間平均で2-3回(年間で24-36回)、Jukelyのサービスを通じて音楽コンサートへ通う。そのうち、65%が今まで全く聴いたことのないアーティストのライブへ運ぶという。ターゲットユーザー層は主に18-24歳のティーン。サービスリピート率は72%と高い。

ライブ会場の運営側は、あらかじめ事前に売れ残ると予想された席数分を「JUKELY」のために確保しておく。従来の販売ルートだけでは、恒常的に売れ残りが生じてしまう課題を運営側は抱えていた。

そんな課題を、「JUKELY」のサービスを通じた効率的な販売チャネルを確保することで解決しているのだ。「JUKELY」側は販売チケットの15%の収益をもらうため、運営側は85%のチケット販売代金で、売れ残り席を埋めることができる。

医療部門:パーソナライズ・サプリメント、処方箋デリバリー

zenamins(ゼナミンズ) : パーソナライズ・サプリメント

「zenamins(ゼナミンズ)」はユーザーが生活習慣に関するいくつかの質問に答えることで、最適なサプリメントの詰め合わせを毎月送ってくれるサービス。320億ドルに及ぶサプリメント市場を狙っている

全米では、4,000万人が1日に3錠程度のサプリメントを摂取しているという。一方で各々が自己判断で市販のサプリメントを摂取するため、高い効能があるサプリメントを効率的に入手できていない課題が存在する。「zenamins」はユーザーデータをQ&A形式で集めることで、いまの生活に即したパーソナライズ化されたサプリメントサービスの提供を行っているのだ。

ひとつ興味深い点を指摘しておきたい。たとえば有名人が「zenamins」を利用した場合、どの有名人がどんなサプリメントの詰め合わせを利用するのかといった情報を2次利用しようとしている点である。つまりサプリメントの詰め合わせデータをインフルエンサー・マーケティングの広告としてメディア活用するわけだ。

ユーザーが集まることでサプリメントデータが出揃えば、コンテンツプラットフォーマーとしても活用が期待できる。新たな医療分野のビジネスモデルが誕生する点は、メディア視点からも見逃せないだろう。

PillPack(ピルパック) : 処方箋デリバリー

「PillPack(ピルパック)」はもらう処方箋を定期的に家まで届けてくれるデリバリーサービス。3,600万人がオンラインで錠剤を購入する、3,740億ドルにも及ぶオンラン処方箋市場を狙う

北米では、「Walgreens(ウォルグリーンズ)」や「CVS(シー・ブイ・エス)」のような大手薬局チェーンが処方箋事業の大半を占め、2014年時点では年間43億の処方箋が全米で提供された

一方で、定期的に同じ薬をもらっている人や手足が不自由な人にとって、毎度薬局に通うのは非常に不便である。そこで「PillPack」は毎回同じ処方箋をもらっている患者に向けて、家まで薬を届けるサービスを展開する。

毎日飲む錠剤は、粉薬を飲む際に利用されるような紙のパッケージに詰め合わせされる。この詰め合わせ作業を効率的に行うために、オペレーションにロボットを導入しているのが特徴だ。また、デザイン会社「IDEO(アイディオ)」と提携し、UX面にも大きな力を入れている。

スポーツ部門:室内ランニングマシーン、ミレニアルズを狙った瞑想コンテンツ

Peloton(ペロトン) : 室内ランニングマシーン

「Peloton(ペロトン) 」は、家庭用トレーニングバイクを2,000ドルで販売する。バイクには動画モニターが搭載されており、ニューヨークからリアルタイムで発信されるジムセッションを受けながら体を鍛えることができる。

同じクラスを受けているユーザーの運動量データをみながらトレーニングできるため、ゲーミフィケーション要素も入っている。これまでに、75万台の販売実績を持つ。

収益モデルは本体セット販売のみではなく、動画コンテンツの月額サブスクリプション収入39ドルで継続収入を得る仕組み。初期費用が高額である故に、毎月の解約率は0.3%と非常に低い。今後「Fitbit(フィットビット)」との連携も可能となり、室内フィットネス・プラットフォームとしても活躍していくことが予想される。

また、2017年にはこれまで一般顧客向けに卸していたバイクを、B2B向けに3,000ドルで発売開始をした。たとえばホテルの空きスペースを利用して「Peloton」の動画コンテンツを楽しみながらトレーニングを行うといった利用法が考えられ、益々大きな展開が見込まれる。

Simple Habit(シンプル・ハビット) : ミレニアルズを狙った瞑想コンテンツ

忙しい日常を送りながらも、週末はヨガスタジオに通って心身をリフレッシュさせたり、禅を習って自宅で精神を整える人が増えている。

「Simple Habit」は、こうした忙しい20-30代向けに5分ほどで聴き終えることができる瞑想コンテンツを配信する在宅メディテーションアプリだ。

全米の瞑想専門家から提供してもらったコンテンツを、アプリを通じて体験出来る瞑想版Netflixのモデルといえる。ハーバード大学と提携してコンテンツを提供してもらっている点が大きな強みである。

フリーミアムモデルで一部のコンテンツを利用でき、月額$11.99の会員になることで全コンテンツを利用することができる。全コンテンツ数は1,000を超えている

配達部門:忙しいビジネスマン向け配達仲介サービス

Doorman(ドアーマン) : 忙しいビジネスマン向け配達仲介サービス

日本と比べ、北米の配達事情は「劣悪」といっても過言ではない。たとえばアマゾンで頼んだ商品箱はほぼ100%庭に放置されている(筆者の体験談)。「配達物は基本的に放置する」のがアメリカの文化といってもいいほどだ。

放置文化では盗難のリスクが非常に高く、雨の日に荷物を放置をされれば、濡れたダンボールを手にすることになる。「Doorman」はこのような配達事情を解決するソリューションを提案。

まずEコマースで商品の配達先を指定する際、「Doorman」の専用倉庫を選ぶ。商品が倉庫に届いたら、自分の好きなピックアップ時間をアプリで選ぶだけ。

時間は6PMから深夜までを選択することができるため、仕事帰りの人には最適だ。また、商品は必ず専属配達員から直接手渡しされるため、安全性も担保されている。サービスの利用価格は月額19ドルからと、比較的リーズナブルな設定になっている。

企業向けにAPIを公開しているため、Eコマース事業者は配達先オプションに「Doorman」を追加することで、顧客満足度の向上にもつながるだろう。

日本とアメリカの配達事情は違えども、昨今の日本の運輸業者の過酷な労働事情を考慮すれば、日本に登場してもおかしくないモデルではないだろうか。

不動産部門:月額でホテルの部屋に住める

Anyplace(エニープレイス) : 月額でホテルの部屋に住める

短期滞在サービス「Airbnb(エアー・ビー・アンドビー)」が台頭してきた経緯は今更説明するまでもないだろう。今では観光サービスを事業軸としてきた「TripAdvisor(トリップアドバイザー)」などの大手企業も短期バケーションレンタル事業へ参入している。

一方で、長期滞在のニーズは未だ満たされていないのが実態だ。特に、筆者も生活していたサンフランシスコは家賃が高く、紹介がなければ安い部屋を借りることすらできない。

また、一定以上の収入と、(筆者の場合は)半年以上の滞在保証することを条件にようやく1部屋を借りることができる。探す手間と金銭的な条件が長期間横たわるわけだ。そこで登場したのが「Anyplace」だった。

「Anyplace」はホテルの一室に月額で滞在できるサービス。水道・電気・Wifiなどの基本設備は完備されているし、ルームサービスも付いている。

たとえば短期滞在ビザで3か月間アメリカに滞在するとなった場合、普通に部屋を借りるのはかなり難しい。しかし、厳しいバックグラウンドチェックもなく、何より月額1,500ドル程度でホテルに滞在できる点は、平均家賃が3,000-4,000ドルを超えるといわれるサンフランシスコでは破格のサービスといえるだろう。

同サービスは日本人起業家、内藤 聡氏によって運営されており、「Uber」の投資家であるJason Calacanis氏から投資を受けている

交通部門:クラウド投票で決まるバス路線、会員限定の空港チェックイン

chariot(シャリオット) : クラウド投票で決まるバス路線

日本と同様、アメリカでも通勤時間帯の電車は混雑する。加えて、日本のようにシステムが整備されていないため、途中で電車が止まってしまうことも日常茶飯事だ(筆者談)。一度電車が途中で止まると、30分近く動かない場合もあるため、すぐに最寄り駅から配車サービス「Uber」を利用する。

しかし、配車の需要量に合わせて価格が瞬時に高騰してしまう。そのため、通勤時間帯に「Uber」を利用しようとすると、電車なら5分ほどの距離でも20ドルほど余計に費用がかかってしまうのだ。

この課題に解決策をもたらしたのが、「chariot」のバス路線サービス

同サービスは朝と夕方の通勤時間帯のみに運用される。クラウド上の投票によってバスの路線が開通する新たな業態を取っており、収益性の低い路線が開通されるリスクを回避している。

日本のバスとは異なり、小型のバンが使われる。利用料金も月額定期であれば69ドルから。たとえば、サンフランシスコの電車定期代金の月額90ドルと比べると安価だ。

停留所は住宅街にあり、そこからオフィス街へ直行してくれるため、時間と費用の両面で利用価値が高いといえる。2016年9月、大手自動車製造会社「Ford(フォード)」によって買収された。

CLEAR(クリア) : 会員限定の空港チェックイン

「CLEAR」は月額15ドルから空港で優先チェックインを受けられるサービス。

アメリカを旅行していた際、空港で「CLEAR」と名のついたチェックイン機械を多く目にした。ロサンゼルス空港で1-2時間ほど入管チェックを待っていた際のこと。「CLEAR」でチェックインをしていた人が、数十人から時には100人ほどのボディチェックの待ち列をすり抜けていたのを羨ましい気持ちで眺めていたのを今でも覚えている。

会員は指紋認証を使ったチェックイン機械を使い、シームレスにチェックインプロセスを完了できる。また、ボディチェックの列もファーストクラスの人と同様にスキップできる専用レーンが確保されている。2017年8月時点で全米21都市の空港に展開し、ユーザー数は年間比で150%増加しているという

日用品部門:電動歯ブラシのサブスクリプション

quip(クイップ) : 電動歯ブラシのサブスクリプション

D2C(ダイレクト・トゥー・コンシュマー)市場はまだまだ進展がありそうだ。

「quip」はサブスクリプションモデルで電動歯ブラシと歯磨き粉のセットを提供するサービス。価格は40ドルから。

髭剃りセットをサブスクリプションのモデルで提供していた「Dollar Shave Club(ドラー・シェイブ・クラブ)」が10億ドルで「Unilever(ユニリバ)」によって買収された話は、D2C企業に勢いをつけた。

しかし、単なる日用品の提供をサブスクリプションで提供するモデルには、競合が増え続けていることでなかなか成立しない印象がある。

そこで「quip」は、歯ブラシの提供のみならず、会員専用向けサービスとして歯医者のチェックインサービスも含むサービス展開を行い、デンタルケアーを総合的に行う企業のポジションを得ようとしている。

フード部門:お菓子の試供品セット、従業員向けケータリングサービス

Love With Food(ラブ・ウィズ・フード) : お菓子の試供品セット

Love With Food(ラブ・ウィズ・フード)」サンプルお菓子を集めたボックスを定期購入できるサービス。各ブランドから提供されるサンプルは全てオーガニック。価格は月7.99ドルから。

日本のスーパーでみかける試食品コーナーで売上訴求ができたとしても、顧客からのフィードバックを集める場として必ずしも適しているとはいえない。

そこで「Love With Food」は企業側が持つ、試供品に対する意見を効率的に集めて製品開発のスピードを上げたいニーズと、低価格で美味しいお菓子を食べたいオーガニック志向の顧客ニーズを汲み取ったサービスとなっている。

特徴はビジネスモデルにあり、「Love With Food」のモデルは、マーケットリサーチのプラットフォームにもなっている。サンプルお菓子の反響データを企業側に伝えるモデルを構築しているのだ。2014年時点では、ボックスの販売収益が60%、企業へのデータ提供で20%の収益を確保したと公表していた

Foodles(フードレス) : 従業員向けケータリングサービス

お弁当配達サービスは激化の一途をたどり、ほとんどの企業が廃業に追い込まれた。北米で代表的だったのが「SpoonRocket(スプーン・ロケット)」と「Sprig(スプリッグ)」だ。

「SpoonRocket」は注文から15分以内に食事を届けてくれる高速配達サービスが特徴で、おおよそ10ドルの価格帯でスパゲティーや中華お弁当を販売するフードデリバリーサービスを展開。専用車が地域を巡回しており、注文が入り次第、すぐ顧客に届けるモデルを採用していた。

「Sprig」は「SpoonRocket」同様のフードデリバリーサービスを展開しており、よりヘルシーなベジタリアン寄りの食事を提供。15分から20分で料理が届く仕組みや、価格帯が10ドル前後である点は「SpoonRocket」と同じであった。

両社とも、自社工場でお弁当を仕立て、配達員を通じて顧客に届けるサービスを展開。ビジネスモデルの根幹にあったのは時間帯や曜日別に変わってくる需要量を事前予測するアルゴリズムを備えていた点であった。しかし、自社生産の多大なコストを抱えきれずに両社とも倒産した。

一方、「Foodles」は一般消費者ではなく、企業向けに一定量のお弁当を届けることで収益を確保する道を選んだ。

同社は毎日20-300食のお弁当を、専用キオスクと一緒に企業へ提供。初期導入コストはかからない。従業員向けの福利厚生の一環としてフードデリバリーサービスをサブスクリプションモデルで提供することで、着実に収益化の狙える仕組みを構築した。

生活全般部門:家事サービス自動化、水道・家電工事サブスクリプション

HelloAlfred(ハロー・アルフレッド) : 家事サービス自動化

いまとなっては、室内掃除手伝いや洗濯物手伝い、配車サービスまで数多くのコンシュマー向けサブスクリプションサービスがありふれている。本記事で紹介しているほとんどがそれに当てはまるだろう。

ここで発生する問題は、複数のサブスクリプションサービスを掛け持つことにより、一つ一つの管理・設定に手間がかかる点だ。

そこで「HelloAlfred」は、オンデマンド家事手伝いサービス企業と提携することで、ユーザーが各種サービスを一元管理できるプラットフォームを提供する。ユーザーは自分の生活リズムに合わせて各サービスの利用時間の設定を簡単に行うことが可能だ。

たとえば月曜の朝10時には家事手伝いサービス「TaskRabbit(タスクラビット)」を呼び 、火曜の6PMには「Uber」で家まで送り迎えしてもらうなど、オンデマンドサービスの利用条件を事前設定して、日々のサービス利用環境を自動化できるといった具合になっている。

サービスの利用は月額99ドルから。これまでに、1,000万ドル超の資金調達を行っている。自社でサービス提供することなく、他社サービスを一元管理するポジションは日本でもまだ確立されていないだろう。サービス開発コストがかからない点を考慮すると、市場機会は日本にも大いに残っていると考えられる。

SUPER(スーパー) : 水道・家電工事サブスクリプション

ちょっとしたきっかけでエアコンが動かなくなったり、冷蔵庫やトイレに問題が発生した経験はないだろうか?

「SUPER」はサブスクリプションモデルで、いつでも水道管工事、冷暖房取り替えなどの家庭内修理サービスを行ってくれる。一軒当たり月額48ドルからメンテナンスを含めて面倒をみてくれるため、随時専用業者に頼むより、長期的にみれば安く費用が収まるだろう。

たとえば日本の住宅メーカーがフォローアップサービスとして「SUPER」のような月額制修理サービスを展開すれば、新たなビジネスモデルのきっかけとなり得る可能性を秘めているかもしれない。

ファッション部門:AIと人力を用いた洋服レンタル、香水サブスクリプション

STITCH FIX(スティッチ・フィックス) : AIと人力を用いた洋服レンタル

日本の洋服レンタルサービスでは、冒頭で紹介した「airCloset」が有名であろう。一方、北米ではAIを用いたスタイリング提案を行う「STITCH FIX」が急速に成長を遂げ、上場を果たした。

「STITCH FIX」のサービス内容は次のようなものである。顧客は最初にいくつかファッションの趣向に関しての質問に答える。回答をもとにAIが最適な洋服やアクセサリーをピックアップし、さらに専属のスタイリストが5つを選んで顧客に届ける。AIと人力の両方を用いたサービスだ。

隔週から2か月毎の利用など、柔軟なプランを備えている。好きなアイテムが見つかれば、そのままキープすることで購入したとみなされる。購入するものがなければ定額スタイリング費20ドルが請求されるシンプルな仕組みだ。

2017年度の収益は10億ドルに達し、前年度比34%の成長率を誇っている。顧客数は219万人を超え、リピート率は86%であると指摘されている

ビジネスモデルの特徴は顧客のパーソナルデータ。85に及ぶ顧客のスタイル・サイズ・価格に関する趣向データを毎回集めることで、配達される度にファッショングッズのキュレーション精度が上がっていく。

SCENTBIRD(セント・バード) : 香水サブスクリプション

SCENTBIRD(セント・バード) 」は毎月好みのブランドの香水が使い切り容器で送られてくるサービス。「STITCH FIX」同様に顧客からの質問回答を基に最適な香水を提案してくれる。

通常では使い切るのに数ヶ月かかる容器に入った香水を、少量で、かつ顧客毎にパーソナライズされた形で提案するモデルがハマり、すでに黒字化を達成したと伝えられている。利用者数は14万人に及び、月間の収益額は200万ドルに達する

男性と女性の両方にサービス提供している点から、幅広い層を狙っている戦略が伺える。また前述の「Love With Food」同様に企業側は顧客からのフィードバックを受けて、製品開発のスピードを加速させるメリットを享受できるモデルとなるだろう。

教育部門:子供向けアクティビティー

KidPass(キッドパス) : 子供向けアクティビティー

子供に水泳や野球、サッカーを学ばせたい親御さんのニーズは高いだろう。「KidPass」は幼児向けスポーツ教室を開催する複数のジムに、月額49ドルから子供を通わせられるサービスだ。

複数のクラスとジムを月額$49で通わせられ、子供が興味の持ちそうなスポーツクラスを複数掛け持ちできる顧客メリットがある。

これまでは1つのジムに登録したら、同じ系列・場所に通い続けなければならなかった。もし通っているジムに自分の希望のクラスが開催されていなければ、新たに別のジムと契約するしか選択肢がなかったのは不便だと言わざるおえない。

しかし「KidPass」を利用すれば、アクティビティーの選択肢が増え、好きなジムやクラスを探してアクティビティーを柔軟に楽しむことができるようになった。

ジム側のメリットはクラスの空き席をなくし、参加数を最大化する機会を得る点にある。2016年時点では900以上のアクティビティープラバイダーと提携しており、2万家族が登録。月間の顧客成長数は20-30%で、10万を超えるアクティビティーが実施されたと報じられている

ニュース部門:シリコンバレーの裏情報を掴む課金ニュースサイト、女子大生向け経済・政治メルマガ

The Information(ザ・インフォメーション) : シリコンバレーの裏情報を掴む課金ニュースサイト

大手テックメディアでは速報性が重視され、同じタイトルのニュースが一斉配信されることが少なくない。一方、『The Information』は独自取材に基づいたオリジナル記事を課金モデルで配信する。

企業内部の人に直接取材することで、大手スタートアップの裏事情や、どの大手メディアよりも深いインサイトを突いた記事配信が同メディアの強みとなっている。料金体系は月額39ドルからとなっており、『The New York Times(ザ・ニューヨークタイムズ)』や『Financial Times(ファイナンシャルタイムズ)』にも劣らない強気な価格設定だ。

高い価格設定の裏には、どんな施策があるのか。同メディアは限定Facebookグループやオリジナルイベントを中心としたコミュニティ育成に尽力することで、既存メディアと違いオフラインでの情報収集やネットワーク作りのサポートに注力しているのだ。

最近ではメディア企業のみを育成するアクセレータプログラムを開始し、課金モデルを軸とした強化なビジネスモデル構築に躍起となっている。

theSkim(ザ・スキム) : 女子大生向け経済・政治メルマガ

theSkim(ザ・スキム) 」は主に20歳前後を中心とした女子大生向けに経済・政治ネタのニュースレターを配信するメディア。

5分で毎朝読み切れる女性向けメルマガを配信している。重めのニュースを軽快な語り口で説明するスタイルが好評を博し、350万の購読者を有する

月額2.99ドルからニュースを受け取れる課金モデルを採用。大手コンテンツ企業『21st Century Fox(21世紀フォックス)』から出資を受けているほどの人気ぶりだ。

これからのサブスクリプションに求められるのは「パーソナライズ体験」と「データ」

ここまで20社のスタートアップを紹介してきたが、いかがであっただろうか。

salesforceは「自分の趣向に合った製品をお勧めして欲しいかどうか」と各世代へ質問調査したデータを公表。同データによれば、ベイビーブーマー世代の42%、ジェネレーションXの52%がYesと答えた一方で、ミレニアルズは58%がYesと答えている。

また、「実店舗もしくはオンライン店舗でパーソナライズ化された購入体験をしたいかどうか」との質問には、ベイビーブーマー世代の41%、ジェネレーションXの52%がYesと答えたが、ミレニアルズの61%がYesと答えており、同じくミレニアルズ世代のパーソナライズ体験に対しての高いニーズが伺えた。

ミレニアルズから高い反響を受けている「STITCH FIX」がその代表であろう。使う度に顧客データを学び、よりパーソナライズ化されたサービス体験を提供する仕組みが求められている証拠だ。

また、どのサービスもエンドユーザーが抱える課題を解決するだけでなく、プラットフォームに参加する企業側のニーズにも対応しているのが特徴であった。ユーザーフィードバックを集める「データハブ」としてサービスが機能し、企業の製品開発PDCAを高速で回せる仕組み化に成功する必要があるわけだ。

この点、「Love With Food」のように企業へのデータ提供を収益軸として据えるビジネスモデルがサブスクリプションサービスを継続する根幹となるのは必至であろう。

冒頭で述べたように、欧米発のサブスクリプジョンサービスを参考にした企業が日本でも多く誕生している背景を考えると、ピックアップしたサービスのうち、いくつかが近々日本上陸してもおかしくないだろう。ぜひ参考にしていただけると幸いである。

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