新たなビジネスモデルとして、様々な企業が展開しているサブスクリプションビジネス。継続課金型のビジネスとして商品やサービスの提供を行い、モノからサービスを提供するビジネス転換が起こっている。

これまでサブスクリプションビジネスは、デジタルコンテンツを中心として提供されてきたビジネスモデルだ。

しかし、近年デジタル領域以外でも幅広く利用されており、サブスクリプションビジネスを取り入れることで、企業はこれまでとは違った新たな顧客との接点を持つことが可能になる。

今回は、サブスクリプションビジネスについて解説していく。

サブスプリクションビジネスとは

サブスクリプションビジネスとは、商品やサービスを利用した期間に応じて料金を支払うビジネスモデルだ。

従来のビジネスモデルであれば、商品やサービスを売り切り型で販売し、購入者に所有してもらっていた。しかし、従来のビジネスモデルだと、単発で売上は発生するが、継続的に売上を発生させていくことは困難であった。

そのため、継続的に売上が見込めるサブスクリプションビジネスが注目を集めている。

また、サブスクリプションビジネスは、企業だけでなく消費者にも様々なメリットがある。従来のビジネスモデルであれば、消費者がサービスや商品を購入する際に初期費用が必要であった。

しかし、サブスクリプションであれば、初期費用が必要なく、利用してみて合わない場合はすぐに解約することも可能だ。また、サブスクリプションでは、バージョンアップなどの費用も含まれているため、追加料金は発生しない。

サブスクリプションのビジネスモデルは、消費者に合わせて変化しているビジネスモデルだ。

サブスクリプションビジネスによって変化するマーケティング

サブスクリプションビジネスは、消費者の変化によって登場したビジネスモデル。

従来の消費スタイルは「モノを所有」であったが、現在は「必要に応じて利用する」する消費スタイルへと変化している

サブスクリプションビジネスにおける収益化には、継続的にサービスを利用してもらい、消費者と関係性を深めていくことが重要だ。そのため、従来のビジネスモデルとはマーケティングにおける戦略も異なってくる。

従来のビジネスモデルであれば、企業としてのゴールはサービスや商品を購入してもらうことでだった。サービスや商品を購入してもらうために、消費者の興味を掴み、認知を広げていくことが重要だ。

しかし、サブスクリプションビジネスは、商品やサービスの利用を起点とした繋がりが重要となるため、利用後の消費者との関係性を高めていくことが大切になる。

常に消費者の要望などに耳を傾け、LTV(Life Time Value)を高めていかなければならない。LTVとは、消費者が企業に対して関係性が継続する限り、企業が得られる収益の総額を算出する指標だ。

購入後も良好な関係を築き、ビジネスのアップグレードを行っていくことでLTVを高められる。このように、サブスクリプションビジネスは、従来のビジネスモデルとは違ったマーケティングが求められる。

サブスプリクションのビジネスの事例

サブスクリプションのビジネスモデルを採用しているサービスを紹介していく。

具体的には、以下のサービスが展開されている。

Adobe

公式サイト:https://www.adobe.com/jp/

Adobeは、以前は従来の売り切り型のビシネスモデルであったが、2011年よりサブスクリプション型である年間契約のライセンス形態へ移行した。

それまでは、PhotoshopやIllustratorなどのツールを単体や複数をセットにした形で販売していた。

現在では、消費者のニーズに合わせて以下のようなプランを提供している。

  • 一つのアプリが使用できる単体プラン
  • 写真アプリが使用できるフォトプラン
  • 複数のアプリを使うことができるコンプリートプラン

従来であれば、ソフトウェアがアップデートされた場合は追加で購入する必要があったが、サブスクリプションであれば追加料金なしで最新のAdobeツールが利用できる。

また、Adobeのサービスはクラウド経由で提供しており、スマホやタブレットなどのモバイル端末にも提供することが可能だ。

モバイル端末でもAdobeサービスが利用できるため、外出先ではモバイルアプリから利用し、オフィスや自宅ではパソコンのデスクトップアプリから利用できるようになった。

Apple Music

公式サイト:https://apple.com/jp/apple-music/

サブスクリプションビジネスの先駆けとも言えるサービスが、Apple Musicだ。

Apple Musicのサービス展開は、2015年から始まった。それまでのAppleの音楽サービスと言えば、iTunesストアで曲やアルバムを購入することに限られていたのだがApple Musicは月額料金を支払うことで、4,000万曲以上が聴き放題となる。

邦楽の取り扱いも増えてきており、日本での利用も増えてきている。また、Apple Musicは登録してから最初の3ヶ月は無料でお試しできるトライアル期間が設けてある。

無料トライアル期間が設けてあるのも、音楽系のサブスクリプションビジネスの特徴の一つ。

サブスクリプションビジネスのため、サービスを解約すると自分の手元には曲は残らないが、4,000万曲以上が聴き放題となるのは大きな魅力だ。

hulu

公式サイト:https://www.hulu.jp/

動画配信サービスは、月額料金を支払うことで、取り扱っている作品が見放題となるサービスだ。

サブスクリプションビジネスの動画配信サービスの中でも、国内ドラマやアニメなどのコンテンツが充実しているのが、huluだ。

海外発のサービスであるため、人気の海外ドラマや映画などのラインナップが幅広い。さらに、日本テレビと連携しているため、国内の作品も充実している。

Kindle Unlimited

公式サイト:https://www.amazon.co.jp/kindle-dbs/hz/subscribe/ku?shoppingPortalEnabled=true

サブスクリプションビジネスには、電子書籍が読み放題となるサービスもある。

電子書籍が読み放題のサブスクリプションサービスでは、2016年からサービスが開始したKindle Unlimitedがある。

Kindle Unlimitedは、和書12万冊以上、洋書120万冊以上のKindle電子書籍が読み放題となるサブスクリプションサービスだ。

電子書籍が読める端末は、Kindleだけでなく、PCやスマホも利用可能となってる。

PlayStation Now

公式サイト:https://www.jp.playstation.com/psn/playstation-now/

従来のPlayStationは、ゲームソフトを購入してゲームをプレイしていた。PlayStationはゲームソフトの購入が不要なサブスクリプションサービスPlayStation Nowを展開している。

PlayStation Nowでは、月額料金を支払うことで約400以上のゲームがストリーミング経由でプレイし放題のサービスだ。PS3〜4のソフトがゲームのラインナップの対象となる。

ストリーミングだけでなく、対象となるソフトウェアタイトルをダウンロードすることも可能だ。

Dyson Technology +

公式サイト:https://www.dysontechnologyplus.com/

Dyson Technology +は、ダイソンの家電を利用できるサブスクリプションサービスだ。

ダイソンの商品である「コードレスクリーナー」「空調家電」「ヘアードライヤー」を自宅で利用できる。

Dyson Technology +では、ダイソンの製品が実際にどのようなものなのかを触れることができ、ダイソンのテクノロジーを実感できる。

サブスクリプションサービスで利用できる製品は、最短で2年ごとに新しい機種へアップデートされ、最新の商品が利用可能だ。

実際にダイソンの製品を購入してみたいが、使い心地が気になる方にとって利用しやすいサービスとなっている。

まとめ

サブスクリプションビジネスは、企業にとって新たな顧客層と接触を持つことができるようになるビジネスモデルだ。

消費者にとっても、初期費用をかけずに新たなサービスを利用できるという一面を持っている。

新たなビジネスモデルとして注目を集めているが、従来のビジネスモデルであった売り切り型とはマーケティング方法が異なるため注意が必要だ。

サブスクリプションビジネスでは、商品やサービスの購入がゴールではない。継続して利用してもらい、LTV(Life Time Value)を高めていくことが重要だ。そのためにも、消費者の声に耳を傾け、要望に応えていく必要がある。

近年の消費者ニーズによって普及してきたサブスクリプションビジネス。消費者との接点を増やし、継続して利用してもらうことで、売り切り型のビシネスよりも高い収益が見込めるビジネスモデルだ。