世界と日本が出会う3日間。「Tokyo Gendai」が示す現代アートの価値
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現代アートに特化した国際アートフェア「Tokyo Gendai」が、2026年9月11日から13日までの3日間、パシフィコ横浜にて開催される。第4回を迎える今年は、日本を含む約20の国と地域からギャラリーが集結。多彩な現代アートが横浜の地に一堂に会する。
「Tokyo Gendai」は作品を売買する場にとどまらず、世界と日本、人と文化、そして異なる価値観をつなぐ国際的な交流の場として歩みを進めてきた。開催に込めた思いや今年の見どころ、さらにその先に描く未来について、フェアディレクターの高根 枝里氏に話を聞いた。

世界と日本が出会う、現代アートの交差点
「Tokyo Gendai」には大きく二つの軸がある。一つは、世界水準の作品や海外ギャラリーを日本のオーディエンスに紹介すること。もう一つは、日本の作家やギャラリーとの出会いを、海外から訪れる人々に届けることだ。
「アートフェアは作品を販売することが大前提ですが、パブリックプログラムではトークセッションに参加できますし、大型インスタレーションでは壁にかける作品とは違ったダイナミックな展示も楽しめます。そうした国籍を超えた交流や意見交換が、より良い未来への礎になればと考えています」

言語や文化を超えて、他者や自分自身との対話を生み出す現代アート。作品を鑑賞するだけでなく、新しい価値観や人との出会いを生むことを、「Tokyo Gendai」では何よりも大切にしている。
高根氏は「現代アートは、必ずしも自国で評価される必要はない」と強調する。
「世界には80億人、日本は1億2千万人が暮らしています。日本ではフィットしなくても海外では評価される可能性がありますし、その逆も然りです。海外の方が日本の文化に触れて『日本に来て良かった』と感じてくださることもある。こうした交流の積み重ねは、アートの世界だけではなく、社会構造そのものを豊かで平和なものへと導いてくれるはずです」
評価の基準は一つではない。それぞれの文化や価値観が交差することで、新たな可能性が生まれる。それこそが現代アートの醍醐味であり、「Tokyo Gendai」が目指す国際アートフェアの姿なのだ。
時代を映し、変化し続けるアートフェア
今年で4回目となる「Tokyo Gendai」。回を重ねるごとに進化してきたというよりも、「時代の変化に合わせて流動的に構築されてきた」と高根氏は語る。
「交流や販売の場という本質は変わりません。ただ、水のように時代に合わせて流れていきたい。その時代の潮流に合わせてテーマも変えていきたいと思っています」
時代が色濃く映し出されるのも現代アートの特徴だ。情報社会や環境問題など、現代を取り巻くさまざまなテーマに対して、作家たちはそれぞれの視点からアプローチを試みている。
「作品は答えを示すものではなく、どう考えるかという“問い”なんです。ユーモアを交えて表現する人もいれば、皮肉を込める人もいる。本当に作家によってスタイルはさまざまです。だからこそ、作品を観た人それぞれが作品から何をどう感じるかが大切なんです」
作品を前に“正解”を探す必要はないだろう。自分自身が何を感じて、何を考えるのか。そこにこそ現代アートの面白さがある。

過去3回の開催を経て、来場者にもうれしい変化が見られる。リピーターが増えただけでなく、作品を購入しようと考える来場者が増えてきたのだ。初開催時には作品そのものへの素朴な疑問や質問が多かったが、回を重ねるにつれ「この作品を購入したい」という購入を前提とした問い合わせが増えてきたという。
「ギャラリーからも、お客さまの反応が変わってきたという声を聞きます。現代アートを鑑賞するだけでなく、コレクションする文化も少しずつ根付いてきているのではないでしょうか」
「Tokyo Gendai」は、現代アートを鑑賞する場から、作品を暮らしに取り入れるきっかけへと、その役割を少しずつ広げている。
新設・復活セクターで広がる、現代アートの世界
今年は展示構成も見直され、セクターは昨年の3つから5つへと拡充されている。目的は、来場者が作品をより鑑賞しやすくするためだ。
著名なギャラリーが集まる「Galleries」、若手から中堅の作家に注目した「Hana ‘Flower’」、アジアの美術史に名を刻む作家から現代の巨匠まで、深みある個展・テーマ展示を行う「Eda ‘Branch’」に加え、今年は写真やドローイング、版画など、紙を媒体にする作品に特化した「Miki ‘Trunk’」を新設。さらに、デジタル作品やフィルム作品に焦点を当てた「Tane ‘Seed’」が2年ぶりに復活する。

なかでも「Tane ‘Seed’」では、高根氏が「ワクワクする」と語る見逃せない作品が並ぶ。台湾のギャラリーによる映像作品では、パペットを用いた世界観の中に、現代社会へのユーモアや皮肉が織り込まれているという。
さらに、昨年「高松宮殿下記念世界文化賞」を受賞したパフォーマンスアートの巨匠、Marina Abramović(マリーナ・アブラモヴィッチ)氏の作品も登場予定だ。

「Miki ‘Trunk’で取り上げる写真や紙も、最終的にはやはり現代アートとして表現された作品です。紙を素材としながらも、解釈によっては彫刻とも捉えられる作品もあり、新たな発見を楽しんでいただけると思います。また、作品としてのクオリティが非常に高い一方で、これまで紹介する機会が限られていたデジタル作品やフィルム作品も、今年はさまざまなご縁が重なりお披露目することができます」
新たな切り口で作品と向き合う5つのセクターは、来場者一人ひとりの感性を刺激してくれそうだ。
現代アートがつくる、平和へのプラットフォーム
最後に「Tokyo Gendai」が目指す未来について尋ねると、返ってきた答えは非常にシンプルだった。
「一番の目標は、平和な世界です」
その言葉の意味を、高根氏はこう説明する。
「平和のために、アートは一つのプラットフォームになり得ると思っています。現代アートは、肩書きや立場、国籍、文化の違いを超えて人々が語り合えるもの。特にアートフェアのようなリアルな空間には、デジタルでは得がたい偶然の出会いがあります。雑談から面白いアイデアが生まれたり、一見効率が悪いプロセスからクリエイティブなものが生まれたり。そうした対話や交流を通じて、互いの価値観を共有し理解しあえるような体験ができる場所にしていきたいです」

現代アートは決して一部の限られた人だけのものではない。
「現代アートは間口が狭いものではありません。現代アートに触れられるリアルな場があることを知っていただくことで、将来作家を目指す人が増えるかもしれませんし、新しいクリエイティブに興味を持つ人が増えるかもしれません。日本が誇る文化資産を海外へ伝え、お互いに交流するきっかけになればうれしいです」
作品を鑑賞して購入する場であると同時に、人や文化、多様な価値観が交わる「Tokyo Gendai」。世界各地から集まる現代アートとの出会いは、私たちに新たな視点をもたらし、誰かとの対話を生み出すきっかけになるだろう。
高根氏が語った「目標は平和な世界」という言葉は、決して遠い理想論ではない。異なる価値観に触れ、対話を重ねること。その積み重ねの先に、現代アートが未来へ向けて果たせる真の役割があるのかもしれない。
Tokyo Gendai開催概要
開催日時:
2026年9月11日~13日
(招待客向けプレビューおよびヴェルニサージュは9月10日)
開催場所:
〒220-0012神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)展示ホールC・D
チケット販売:
2026年7月1日よりArtSticker・e+にて販売中(前売りは8月23日まで)
チケット料金(税込):
一般前売り4,000円/通常5,000円
ヴェルニサージュ30,000円
大学生1,500円
中高生・障がい者1,000円
小学生以下無料
公式HP:
https://tokyogendai.com/ja/
公式SNS:
https://www.instagram.com/tokyogendai/
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