富士通、防衛・防災分野の監視能力拡張に向け高感度・高精細な2波長赤外線センサーを開発
富士通は、防衛・防災分野の監視能力を拡張する高感度・高精細な2波長赤外線センサーを開発し、防衛装備庁に試作品を納品したと発表した。

今回開発したのは、100万画素を超える高精細な2波長T2SL赤外線センサー。中赤外線と遠赤外線の2波長を検知し、温度差0.05℃以下のわずかな熱の違いも鮮明に捉えられる高感度を備えることで、昼夜を問わず高精度な監視を実現するとのことだ。
同技術は、防衛省 防衛装備庁から受注した「広帯域・高感度赤外線検知器の研究試作」として開発したもので、富士通は試作品となるセンサーの納品を完了した。
同センサーは、防衛・防災向けの各種監視装置への搭載を想定しているという。熱の変化を正確かつ高感度に捉えることで、人や物の移動による監視対象の活動予兆、災害時に取り残された人、初期の森林火災、津波の進行などを昼夜問わず検知できる。これにより、防衛や防災分野における情報収集能力の向上や安全保障の強化への貢献を見込むとしている。
技術面では、化合物半導体の超格子構造により物性を制御できるT2SLの特長を生かし、中赤外線(MWIR)と遠赤外線(LWIR)の二つの波長帯を単一素子で同時に受光できる独自の2波長センサーを実現。単一波長では背景ノイズに埋もれて捉えられなかった対象も、正確に検知・識別することが可能になるという。
また、繊細なT2SL材料に適した製造プロセスや実装技術の開発により素子の微細化を進め、より遠方の対象を捉えられる100万画素超の高精細化も実現。高感度、高精細、2波長検知を同時に実現することで、高い識別性能が求められる防衛・防災などの監視用途に適するとしている。

今後は、2026年度以降に同センサーの製造技術を基に製品展開を進め、監視カメラや観測カメラ向けにも広く販売していく予定。また、衛星や航空機に搭載する光波センサーシステムへの適用により、災害状況の早期把握や環境モニタリングなど幅広い分野での活用も見込むとしている。さらに、熱の分布や経時変化を高精度で可視化できることから、インフラ点検や分析機器などへの応用も期待されるという。