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スタートアップの世界挑戦を支援──「SusHi Tech Tokyo 2026」が示す、東京が”世界の中心”へ飛躍するための道筋

2026年4月27日から29日、世界中からスタートアップ、投資家、大企業、都市、大学など多様なプレーヤーが集うアジア最大級のイノベーションカンファレンス、「SusHi Tech Tokyo 2026(Sustainable High City Tech Tokyo 2026)」が開催される。

その開幕まで約10週間となった2026年2月16日、東京・丸の内にある国内最大級のスタートアップ支援拠点「Tokyo Innovation Base(以下、TIB)」にて、開催に向けたプレイベント「Gathering Day」が開催された。

本記事では、Gathering Dayで発表された情報や東京都のスタートアップ戦略、今後の展望を伝える。

SusHi Tech Tokyo開催の根底にある、東京都がスタートアップ支援に注力する背景

SusHi Tech Tokyo 2026では、開催日の4月27日・28日を「ビジネスデイ」、29日を「パブリックデイ」と設定。会場となる東京ビッグサイトには、世界中から700社のスタートアップが出展し、商談件数は1万件、参加者数は約6万人(オンラインを除くリアル参加者5万人)を見込んでいる。また、パブリックデイは一般解放され、最先端のロボットやAI、空飛ぶクルマの展示などを通じ、子どもから大人までテクノロジーに触れることができる。

東京都副知事の宮坂 学氏は、Gathering Dayの冒頭で次のように宣言した。

「今回で4回目を迎えるSusHi Tech Tokyoは、アジア最大級のイノベーションカンファレンスへと成長しました。世界中のスタートアップ、大企業、投資家、そして都市のリーダーたちが一堂に会し、持続可能な都市の未来について議論を交わす場、それがSusHi Tech Tokyoです。特に今回は、出展するシティパートナーに加え、世界の主要都市の首長が東京発の国際ネットワーク『G-NETS』を通じて集結します。G-NETSでの議論を通じ、多都市間連携の取り組みを大きく拡大させ、イノベーションのリーダーと都市のリーダーが一堂に会する唯一無二の場になるでしょう」

東京都副知事 宮坂 学氏

その言葉を裏付けるように、2024年に出展したスタートアップの評価額は、わずか1年半で1,219億円も増加。SusHi Tech Tokyoが「実利を生み出すエコシステム」として機能していることが、証明されている。さらに、東京都はこのイベントを単年の打ち上げ花火で終わらせるつもりはない。10回目の開催となる2032年には、東京全体を会場とした巨大な都市型フェスティバルへと発展させる長期構想を描いている。

なぜ、東京都はこれほどまでにスタートアップ支援に注力するのか。

その背景には、2022年11月に策定した「Global Innovation」がある。東京都は「挑戦者が生まれ、世界から集まり、挑戦者を応援する東京へ」というスローガンのもと、スタートアップ数・官民連携数・グローバル展開数をそれぞれ「10倍」にするという野心的な目標(10×10×10)を掲げてきた。

その成果は着実に数字として表れている。東京都のビジネスアイデアコンテスト「Tokyo Startup Gateway」の参加者数は1,100人から4,000人へ、官民連携事例は9件から252件へと飛躍的に拡大した。

そして今、東京都はこの戦略を「バージョン2.0」へとアップデートした。新たなキーワードは「STARTUP & SCALEUP」である。これまでは「起業数」を増やすことに主眼が置かれていたが、これからは生まれた企業を世界レベルへ育てる「スケールアップ」のフェーズへと移行する。

宮坂副知事は、この転換の重要性も強調した。

「起業する人の数は、この数年で大幅に増えたという実感があります。次にやらなければいけないのは、より大きくなろうとするスタートアップや中堅企業を集中的に応援していくこと。東京のあらゆるフィールドで挑戦を後押しし、世界に誇れる企業をここから生み出していきます」

具体的には、グローバル展開を後押しする「SusHi Tech Global Startups」プログラムや、官民協働によるファーストカスタマー活動の全国展開などを通じ、東京のあらゆるフィールドで挑戦をサポートする仕組みを整えていく方針だ。

社会に大きな変革をもたらす4つの分野「Focus on」で、未来都市を想像する

SusHi Tech Tokyo 2026の最大の特徴の一つが、特定の領域に焦点を当てて深掘りする企画「Focus on」である。毎年、イノベーションによって社会や人々の暮らしに大きな変革をもたらす分野を選定し、セッション・デモンストレーション・展示を一体的なパッケージとして展開している。

2026年に掲げられた重点テーマは、「AI(人工知能)」「Robotics(ロボティクス)」「Resilience(レジリエンス)」「Entertainment(エンターテインメント)」の4つだ。これらのテーマは、現在の東京、そして世界の都市が直面する課題や可能性と密接にリンクしている。

飛躍的な進化を遂げるAIは、あらゆる領域でイノベーションの在り方を根本から変えつつある。SusHi Tech Tokyo 2026では、AIを軸として「人とAIが共存・協働する社会の在り方」や「社会をより豊かにするAIの姿」について議論を深める。

また、議論にとどまらず、大学発スタートアップによるピッチや、クリエイティブ領域の可能性を探る「AI Film Festival」の開催も予定されており、AIが産業や文化に与えるインパクトを多角的に体感できる場に。

ロボティクス分野では、人々の生活を便利で豊かにするテクノロジーの実装に焦点を当てる。最新ロボットの展示に加え、会場周辺では自動運転車の試乗なども計画されている。

気候変動、震災、風水害、そしてサイバー攻撃、現代の都市は常に危機に直面している。レジリエンスのテーマでは、こうした危機に対して速やかに回復するためのテクノロジーやノウハウについて、日本や世界の都市の経験を踏まえた多角的な議論が展開される。

特徴的なのは、東京ならではのインフラを活用した「サイトビジットツアー」だ。洪水や浸水被害を防ぐ巨大な「地下調節池」など、普段は見ることのできない都市を守るインフラを直に見学するツアーが検討されている。

さらに、イノベーションは効率性や便利さのためだけにあるのではない。「楽しさ」や「心の豊かさ」をもたらす源泉でもある。音楽、アニメ、ゲーム、アート、スポーツ、食といったエンターテインメント分野において、創作の在り方やビジネスモデルの変化、そして体験価値を変革するテクノロジーについても幅広く議論する。

かつて都心の高速道路として使われていた「東京高速道路(KK線)」を活用したウォーキングイベントなど、会場外で東京の魅力を体感できるパートナーイベントも多数開催される予定だ。

国内外からさまざまな分野のリーダーが集い、生の声を届ける

SusHi Tech Tokyo 2026には、世界のさまざまな分野のトップリーダーが集結してセッションを行う。国内外のリーディングカンパニー、急成長を遂げたスケールアップ企業のCEO、最先端の研究者、そして海外の有力ベンチャーキャピタル(VC)など、その顔ぶれは多彩だ。

また、各セッションの後には登壇者と直接交流できる「オープンミートアップ」も実施され、参加者にとって貴重なネットワーキングの機会となる。

さらに、参加プレーヤーの多様性も特徴だ。

世界規模のピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge」には60の国と地域から820社もの応募があり、その中から選抜された20社が、当日グランプリを競う。

大学・研究機関においては、大学連携組織である「NINEJP(ナインジェーピー)」と連携し、全国の大学がSusHi Techに集結する。

大企業・産業界からは、当日参加する経済産業省もGathering Dayにてピッチを実施。スタートアップ国際連携企画調整官 澤田 佳世子氏は、高市内閣の経済・成長戦略における17の戦略分野について語った上で、「スタートアップ育成5か年計画」が最終フェーズを迎えていると話し、SusHi Tech Tokyo 2026への参加を促した。

スタートアップ国際連携企画調整官 澤田 佳世子氏

また、物流大手のヤマト運輸からは、イノベーション推進機能 シニアマネージャー 兼 政策企画室担当室長の齋藤 泰裕氏が登壇。100年の歴史を持つ企業の配送データやリソースをスタートアップに開放し、共にイノベーションを起こす「共創」の姿勢をアピールした。

ヤマト運輸株式会社 イノベーション推進機能 シニアマネージャー 兼 政策企画室担当室長 齋藤 泰裕氏

さらに、シティパートナーとして、フランス政府やシンガポール企業庁(Enterprise Singapore)、台湾の「Startup Island TAIWAN」なども参加。特にシンガポール企業庁のAmanda Dizon(アマンダ・ディゾン)氏は、過去最大規模のパビリオンを出展することを表明し、東京を「アジアにおけるイノベーションの次なる目的地」と位置付けていると話した。

シンガポール企業庁 Amanda Dizon氏

なぜ今、世界が「東京」を選ぶのか?

Gathering Dayでは、宮坂副知事への質疑応答の時間も設けられた。その中で特に印象的だったのは、「東京が、世界から選ばれる理由とは?」という問いへの回答だ。

宮坂副知事は、世界が東京を選ぶ理由として4つの強みを明確に提示した。

「1つ目は資金調達環境です。アジアの中で圧倒的に大きく成熟した資本市場があることが強みとなっています。2つ目は大企業の集積。フォーチュン500に入るような世界的大企業の本社が世界で2番目に集中しており、スタートアップにとっての顧客や提携先がワンストップで手に入ります。3つ目は、安定した国内市場です。人口1億人規模で、安定したGDPを持つマーケットがあることは、海外企業にとっても魅力的だと思います。そして4つ目はアカデミアの集積です。世界有数の大学や研究機関が集中しており、ディープテックの材料となる技術シーズ(研究成果、技術、特許など)へのアクセスが容易です」

さらに、今回会場となったTIBの位置づけについても、鋭い視点を披露した。

「都内にはすでに渋谷、日本橋、本郷など、優れた分散型のエコシステムが存在します。TIBはそれらすべてを飲み込むのではなく、それらをつなぐ『ノード(集合点)』として機能します。さらに言えば、北海道から沖縄まで日本の地域エコシステム、そして世界の都市のエコシステムをつなぐハブになることが我々の役割です」

また、行政の役割について問われると、副知事は「ビジネスの邪魔をしないこと」と前置きしつつ、こう続けた。

「スタートアップが個人の人脈だけで海外へ挑むのは限界があります。行政の役割は、エコシステム同士の間に『太い橋』を架けること。スタートアップがその橋をスムーズに渡って世界へ挑戦できる環境を作ることこそが、SusHi Tech Tokyoの使命なのです」

Gathering Dayを通じて明らかになったのは、SusHi Tech Tokyo 2026が単なるカンファレンスの枠を超え、世界中のイノベーターが「持続可能な未来」という共通の目標に向かって共創する、巨大なプラットフォームへと進化していることだ。停滞感が漂う日本経済において、東京が再び「世界の中心」として躍動するための期待を抱かせてくれる。

取材・文:吉田 祐基

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