共感される行動の背景にある理由を明らかにするインタビュー企画。数多くのユーザーに支持されるクリエイターにA（Action）面とB面（Business）の両面から、その行動の原理を探ります。第15回に登場するのは、中川紅葉さん。A面では、モデル業を中心にマルチに活躍する中川さんのパーソナルな部分をQ＆A形式で解剖していきます。

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SNSは「私」というブランディングの場｜中川紅葉のB面

動画は時間を取られる。一目で分かる画像の方がいい

Q.普段プライベートで最も使用するSNSプラットフォームは何ですか？

Instagramです。動画のコンテンツは終盤に情報が集約されていることが多くて、時間を取られる感覚があって…。その点、画像は一目で情報が入ってくるのがいいですね。

Q.それは主にどんな用途で使用していますか？

旅行、洋服、コスメなど、外観や見た目を重視するものをInstagramで調べることが多いです。

Q.他にもSNSを使っている場合、それぞれの使い分けを教えてください。

TikTokは今の流行りを知るためにチェックしていて、Xはエゴサーチ用に使っています。1日に10回くらいは、私の名前や関連のハッシュタグで検索していると思います（笑）。あとは、バズっている投稿やトレンド欄をざっと見て、世の中の話題を把握するのにも使っています。

Q.訪問先(お店)選びの際にはどのように検索し、参考にしますか？

食べログで現在地を起点にしてお店を探すことが多いです。いくつか目星を付けたら、TikTokやInstagramで外観や内観を見て、雰囲気がいいか、写真と実際の印象に差がないかを確認して最終的に決めます。あまり舌が肥えている方ではないので、味に関する口コミはあまり参考にしません。

痩せすぎず、健康体でいることの方が大事

Q.今若者の間でトレンドとなっている商品やサービスなどはありますか？

Qoo10（キューテン）です。最近も友人たちがみんなメガ割の話をしていて、「Qoo10を使ってないなんて遅れてる」と言われるくらいなんですよ（笑）。

Q.それはなぜトレンドになっていると思いますか？

今は韓国コスメが流行っていますが、中には日本の店舗やネットで買えないものがあるんですよね。そういう商品でも手に入るのは理由の一つだと思います。コスメだけでなく食べ物や雑貨も豊富で、メガ割でお得に買えるのも人気の理由だと思います。

Q.ご自身の中でも個人的なトレンドとなっているものがあったら教えてください。

「ちゃんと食べて痩せすぎない」という海外の健康法です。日本では“細い＝綺麗”みたいな価値観がまだあるじゃないですか。それで私も一時期食べないダイエットをしていたんですが、それだとやつれるだけだと気が付いて。健康体で、この仕事を長く続けられる身体づくりの方が大切だと考えるようになりました。

Q.それはどこで知り、なぜ興味を抱きましたか？

K-POPアイドルのLE SSERAFIMのトレーニング動画がきっかけです。メンバー全員の腹筋が割れていてかっこよくて、私もそうなりたいと思ったんです。それからYouTube Shortsで海外の健康法についての情報を知って、取り入れ始めました。

コスパの良さが購入の決め手

Q.普段何にお金を費やすことが多いですか？

最近飼い始めたペットの犬です。ペット用品やエサ、生命保険や避妊手術など、とにかく私よりお金がかかっています（笑）。でも、守るものができて「この子のために仕事を頑張ろう」と思えますね。

Q.商品購入までのプロセスを教えてください。また、何が購入の決定打になりますか？

新しいものを自分から探しに行くタイプではなく、一回使って良かった日用品などをAmazonで買うことが多いです。お店に見に行くと、知らない商品がたくさんあって爆買いしちゃうくせに、結局いつもの商品がいいって思うんですよね。

服やコスメは、メイクさんや衣装さんからの情報を参考にしたり、仕事で着たブランドをInstagramで調べて買ったりすることが多いです。一つアカウントをフォローすると、関連商品やインフルエンサーさんが出てくるので、それも参考にしています。

購入の一番の決め手はコスパですね。例えばサプリなら、Amazonで一粒あたりの単価と成分量を見て、コスパがいい方を選びます。

推しが出るまで、回し続ける

Q.いま推しの存在はいますか？（人物またはキャラクターなど）

ちいかわがすごく好きで、特にモモンガというキャラクターが推しです。

Q.どんなところに惹かれますか？

偶然見たエピソードが結構深い内容で、「実は闇が深いアニメなのでは？」と思ったんです。最初はよくある可愛いキャラクターの一つだと思っていたんですけど、そうじゃない現実的な部分に惹かれました。テレビや街中でよく見かけているうちに愛着が湧いてきて、気づいたら好きになっていました。

Q.その人の存在がどう購買行動に影響を与えていますか？

同じような商品でもちいかわのデザインのものがあったら、絶対そっちを買っちゃいます。多少使いづらかったとしても、可愛さを優先します。あと、結構惜しまずにお金を遣っちゃうかも。ガチャガチャは推しが出るまで回し続けます（笑）。

Q.推しの企業や印象に残っている企業はありますか？

コーセーです。雑誌の『Ray』で読者モデルをしていた時の企画で会社を訪問したのですが、社内の雰囲気や働く人たちがとても素敵で。当時、一般企業への就職も考えていたので、「この人たちと働きたい！」と思ったほどです。良い会社の良い人たちが作っている商品はいいものに違いないと思い、今でもメイク用品はコーセーを選ぶようにしています。

Q.最近気になった広告（OOH、CMなど）はありますか？

ゼクシィの広告は、素敵な広告だなと思っていて、どんなモデルや俳優を起用しているのかを毎回チェックしています。少し前ですが、「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というコピーが特に印象に残っています。ブライダル業界なら「結婚する方がいいですよ」と伝えるのが一般的かと思いますが、価値観を押し付けずに、誰も敵に回さず、今の時代に合った素晴らしいキャッチコピーだと思いました。

中川さんは「こういうものが自分にとっていい」「自分はこういうタイプだからあまり合わない」そんな確固たる判断軸を自分の中に持っているように感じた。自分にとってそれがいいかどうか、必要かどうかを自分の意志で判断する。バズりや口コミなど、SNSやネットの情報に影響されやすい今、それができていない人も多いのではないだろうか。そんな人にとって、中川さんの考え方や物事の捉え方はヒントになるかもしれない。

文：安藤 ショウカ
写真：水戸 孝造