本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取り組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。

若年層向けに企業が実施したプロジェクトへと焦点を当てる企画「新世代攻略ガイド」。施策の戦略、視点、そして、どのように訴求したか具体的な手法をコラム形式で共有することにより、若年層にどうアプローチすべきなのか、彼・彼女らの考え方にどう寄り添うべきなのか、その理解を深めていく。

今回は株式会社ベースミーの取り組みを紹介する。

実施プロジェクト:「BaseMe Ambassador Community

目的・テーマ 学生手動で、自分の価値観を軸に就職活動と向き合う、新しい就職活動モデルの実践。
戦略・手法 熱意のある学生主導でイベントを企画・運営・発信し、理念共感を起点にした企業との交流を設計。
成果 複数企業とのイベント企画による、新しい就職活動・母集団形成に貢献し、採用・就職活動における企業・学生双方の満足度向上に寄与。

プロジェクトの概要

「就活って、もっと自由でいいんじゃないか」――リクルートスーツ・型通りのマナー・画一的な選考プロセスといった、画一的な既存の就職活動に違和感を覚えるZ世代の声をよく聞くようになりました。就職活動市場における学生の意識は大きく変わりつつあるのだと思います。

一方で、企業側も「主体性のある学生と出会いづらい」「学生の価値観を掴みにくい」といった課題を抱えています。

このような就職活動における学生側と企業側の課題を同時に解決するために生まれたのが、Z世代のキャリア支援AIプラットフォームBaseMeが運営する大学生コミュニティ BaseMe Ambassador Community(以下、BAC) です。BACは、学生たちが自ら自分の“価値観”を起点にイベント企画や情報発信を行い、同世代や企業との共感接点を生み出していく取り組み。

学生たちはイベントの企画や発信を通じて、自分の価値観を言語化し、企業と対話する中で「働く目的」を見つめ直しています。就職活動を“選考の場”から“価値観を共有する場”に変えていくこの活動は、学生と企業の双方に新しい気づきをもたらしていると考えています。

施策の戦略とアプローチ手法

BACの特徴は、「学生が主役」という点にあります。企業主導ではなく、学生が自らテーマを立て、イベントを企画・集客・運営まで一貫して実施。

2025年5月から6月にかけて実施した第1期では、5つのチームに分かれ、地方創生やテクノロジー、ダイバーシティー、サステナビリティ、グローバルなどのテーマでイベントを企画・集客・運営を行いました。第2期は同年8月に実施し、全国42名の学生がBaseMe本社でのキックオフイベントを開催。キックオフイベントでは、BaseMe代表の勝見 仁泰とリード投資家であるWiLのPrincipal 笹川 大和氏による対談などのプログラムも実施しました。プロダクトの今後をテーマに学生と経営陣が意見を交わし、メンバー同士も価値観を語り合うことで一体感を生むことができました。

BACは、単なるアンバサダー施策ではありません。 AIキャリアプラットフォーム「BaseMe」で蓄積された学生の価値観のデータをもとに、共通軸を持つ学生をマッチング。SNSでの発信や、参加学生によるレポート投稿を通じて、Z世代が共感できるコミュニティのあり方を体現しています。

さらに、企業担当者との共同イベントも展開。企業はESや「ガクチカ」では見えない学生の思考・行動を体感し、学生は企業理念への共感をもとに「この会社と働きたい」を自分の言葉で語ることができるようになります。従来の採用広報が一方通行だったのに対し、BACでは「学生が企業を選び、企業が学生から学ぶ」双方向の関係性を設計しています。

施策から得られた成果

BAC第2期のキックオフイベント後に実施したアンケートでは、満足度9.3/10と非常に高い評価を獲得しました。

イベントに参加した学生からは「価値観を軸とした就職活動はまだ主流ではないが、一人ひとりの学生が後悔のない就職活動ができる社会になると嬉しいと思い参加した」「就職活動に抱いていた違和感が解消できそう」などの声を聞くことができました。

参加いただいたた企業からも「業界のイメージに縛られることなく、企業の価値観やビジョンに共感する学生と出会える場としての可能性を感じている」と期待を寄せていただいています。

さらに、イベントを運営した学生からも、「イベント実施後は就職活動での企業を見る目が変わった」など、就職活動に対する意識に変化が見られました。

BACの特徴のひとつとして、地方大学の学生や理系の学生の参加が多いことが挙げられます。彼らは就職活動にまつわる情報を手に入れづらく、就職活動市場にでることなくゼミや研究室で就職先が決まってしまうことも多いです。企業にとっても、接点が持ちづらいと思われる傾向があります。しかし、BACを通じて“自分の価値観”を発信することで、双方に新たな機会が生まれる可能性があると考えています。

今後に向けて

コミュニティ運営には「活性化の継続」や「インセンティブ設計」といった課題もあります。BACに参加するメンバーは国内外の大学に在籍しており、物理的距離や時差により参加できる時間の確保が難しい場合もあります。

また、学生自身のフェーズや状況によって変化する関心やキャリア志向にどう寄り添い続けるかも今後のテーマとしています。

BACが目指すのは“就職活動を変える”ことではなく、「価値観でつながる社会」を当たり前にすることです。今後は、企業・学生・教育機関それぞれの「価値観」を共通のテーマにした活動を増やし、より実践的な接点づくりを進めていきます。