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都民が誇れる“東京の魅力”を再発見。『あしたの東京プロジェクト』で仕掛けるインナーブランディング戦略

地元の魅力は、日常に溶け込んでいるがゆえに見過ごされがちだ。歴史や文化、自然や産業といった多彩な資源に恵まれた東京も例外ではない。

都民の観光に対する意識調査によると、「観光地として誇りを持っている」と回答した人は51%と半数にとどまる。住んでいる街として慣れ親しんでいる一方で、その魅力に触れ、語る機会は少なく、“地元・東京”への誇りや愛着に気づけていないのかもしれない。

こうした現状に向き合い、都民が東京の魅力を再発見するインナーブランディング施策としてスタートしたのが、東京都と公益財団法人東京観光財団が手がける『あしたの東京プロジェクト』だ。本記事では、過去3年間の歩みと今年度の新たな取り組みから、本プロジェクトが描く未来に迫る。

知られざる東京の魅力に触れる、都民参加型プロジェクト

『あしたの東京プロジェクト』は2022年の発足以来、伝統文化と最先端が交差する「区部」、都市生活と自然が融合する「多摩」、伊豆諸島と小笠原諸島の計11島からなる「島しょ」の3つのエリアの特性を活かした体験型プログラムを展開。都民が参加し、東京の新たな一面を発見することで、地元東京への理解と愛着を深める機会を創出してきた。いずれのプログラムも都民が主体的に関わることを重視したコンテンツを実施してきた。

こうした取り組みは、都民が東京を誇りに思えるようにするためのインナーブランディングのアプローチだ。都民自身が東京の魅力を語る“伝え手”となることが、ひいては東京のブランド価値を高めることにつながる。また、地元を愛することは、文化や自然、景観の保全意識にもつながり、持続可能な観光都市の実現にも貢献していくことだろう。

『あしたの東京プロジェクト』これまでの歩み

東京の3つエリアを舞台に多彩なプログラムを展開してきた本プロジェクト。過去3年間の取り組みを振り返る。

2022年度
■多摩クリーン&クラフトキャンペーン
多摩地域でのごみ拾いを通じて、地域の自然や景観を見つめ直すきっかけを創出。
■東京島エコツーリズム
大島・神津島・八丈島にて、「学ぶ・ふれあう・楽しむ・守る」をキーワードに体験型エコツアーを実施。本土では味わえない魅力に触れ、島が抱える課題への理解を深めた。
■東京ランタンセレモニー
参加者が未来の東京を想像しながらランタンを打ち上げた、幻想的なイベント。

2023年度
■多摩グリーンツーリズム
伝統的な「江戸東京野菜」など、多摩地域の農産物に触れる体験型ツアー。農業体験や地産食材の試食を通じて、東京の農業の魅力を再発見。
■東京島ネイチャーツーリズム
豊かな水や壮大な星空が魅力であり、自然と一体化した生活が営まれる神津島で実施。島の暮らしや自然、文化に触れる2日間のプログラム。
■HAPPY NEW YEAR TOKYO
都庁前の都民広場で行われた年越しカウントダウンイベント。プロジェクションマッピングなどを通して東京の多彩な魅力を共有しあった。

2024年度
■多摩フォレストツーリズム
林業が盛んな多摩地域にて、地域資源と自然の価値を学ぶ1DAYツアー。現場の声を聴き、地域への理解を深めた。
■神津島サステナブルツーリズム
星空保護区に認定された神津島で、星空観察やトレッキングを通じて自然環境の保護と観光の共存を考えた2日間。
■東京ランタンセレモニー
LEDランタンに「東京のいいところ」や「未来への願い」を込めて空へ。より良い“あしたの東京”を考えるきっかけをつくった。

2025年度は、東京の魅力を「発信・発話」がテーマ

プロジェクト4年目となる今年度のテーマは、都民自身が東京の魅力を「発信・発話したくなる」こと。東京の魅力を再発見するだけでなく、自分の言葉で伝えたくなるプログラムが展開されている。

今年度最初のイベントは、9月23日(火・祝)、9月27日(土)、9月28日(日)に開催された『江戸東京歴史ツーリズム』。丸の内や皇居外苑をめぐり、江戸から現在へと続く東京の変遷を親子でたどる内容だ。都内在住の小学4~6年生とその保護者、計148名が参加した。

ガイドの案内で皇居外苑をめぐる参加者たち

ツアー前半は「江戸の成り立ちを学ぶ」をテーマに、江戸東京ガイドの方による案内で皇居外苑エリアの歴史を探訪。後半は「明治以降の丸の内の発展」をテーマに、三菱一号館美術館や丸ビルなどの建築物を中心にまわり、大名屋敷からビジネス街へと変貌を遂げた丸の内の歴史を学んだ。

撮影した写真を見せ合う小学生
オリジナルマップづくりの様子

ツアーでは、ポラロイドカメラで撮影したお気に入りのスポットをもとにオリジナルマップを制作。楽しみながら東京の歴史とツアーを振り返る時間となった。

参加者からは「普段何気なく通っていた街中の景色に興味を持った」「親子で楽しく東京の歴史を学ぶことができた」「今日のツアーで知ったことを友人に話したくなった」などの声が寄せられたそう。

誇れる観光都市・東京。『あしたの東京プロジェクト』が描く未来

伝統文化、豊かな自然、地域産業、暮らし——。東京の多くの側面に焦点を当てた本プロジェクトは、「東京は都会」「働くための都市」といった従来のイメージを払拭し、多彩な魅力を再発見するきっかけを生み出している。今後もさまざまなイベントの開催が予定されており、詳細は特設サイトで発信されている。

また、区市町村と連携し、地域課題に向き合ったプログラムにより、単なる観光体験ではなく、地元東京との結びつきを深め、誇りや愛着を育む土壌が醸成されつつある。さらに、公式サイトでのコンテンツ配信を通じて、参加者以外にも追体験の機会が広がり、東京の魅力が多くの人に共有されている。

2025年度は、こうした体験を経た都民一人ひとりが“伝え手”となり、SNSや日常会話を通じて東京の魅力を広めていくことが期待されている。『あしたの東京プロジェクト』が描くのは、暮らす人々の視点から“誇れる観光都市・東京”を発信する未来だ。

そしてこの取り組みは、東京に限らず、私たち一人ひとりが暮らす「地元」にも通じるものだろう。身近な場所に目を向け、その魅力を語り合うこと——。それこそが、どの地域においても“あした”をより豊かにしていく第一歩なのかもしれない。

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