帝国データバンクは、日本経済に対して大阪・関西万博がどのような効果をもたらしたかについて、企業を対象にアンケート調査を実施し、結果を公表した。

約7割が「一定のプラス効果」と評価 「期待以上」は23.4%に

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、10月13日に閉幕した。

帝国データバンクが実施した調査によると、日本経済に対して大阪・関西万博が期待されていたプラス効果をもたらしたかを尋ねたところ、「期待以上」と回答した企業が23.4%に上った。「期待どおり」は44.0%で、両者を合わせると67.4%が「一定のプラス効果があった」と評価している。

一方で、「あまり期待どおりではなかった」は27.4%、「期待を下回った」は5.1%にとどまり、否定的な見方は少数派であった。

企業の約7割で日本経済に一定のプラス効果と評価

調査は万博閉幕のタイミングに合わせて実施されたもので、開幕前(2025年4月)に実施された同社の調査で「期待できる」とした企業が43.5%だったことから、実際には期待を上回る成果が得られた形となった。

近畿・九州で高評価 地域経済への波及効果が顕著に

「一定のプラス効果」を感じた企業の割合を地域別にみると、開催地の「近畿」が81.3%で最も高かったという。次いで「九州」(73.9%)、「四国」(71.0%)、「中国」(69.1%)と、西日本地域で特に評価が高い結果となった。

企業からは、「大阪周辺では来場者増が交通や買い物、飲食などにプラスに働いた。また、毎日メディアで取り上げられ、大阪地区の雰囲気が良く、会場外のイベントも盛況の様子だった」(機械・器具卸売、大阪府)や「短期間の工期にかかわらず、質の高いパビリオンが多数建設され、素晴らしい仕事をする日本の底力を垣間見た」(専門サービス、東京都)といった声が寄せられたという。

一方で、「中長期目線での効果については疑問を感じる」(化学品卸売、大阪府)や「関東地区では、まったく効果を実感できず、工事中の資材不足や高騰に悩まされた」(建設、千葉県)といった声もあり、地域間での温度差も見られたとのことだ。

社会・経済への評価は平均72.2点 「80点以上」が半数超に

大阪・関西万博が日本の社会や経済に与えた影響を100点満点で評価してもらったところ、平均点は72.2点であった。分布をみると、「80~89点」が25.3%で最も多く、「90~99点」が21.6%、「70~79点」が15.6%と続いた。「100点」を付けた企業も6.2%に上り、高評価をつけた企業が半数を超えた。

一方で、50点未満の評価をつけた企業は全体の1割にとどまり、全体的に肯定的に受け止められている。

社会・経済への評価は平均72.2点

万博は「成長の起爆剤」 成果の持続が今後の課題に

帝国データバンクは、今回の結果を踏まえ「大阪・関西万博は、日本経済に一定のプラス効果をもたらし、成長の起爆剤としての役割を果たした」と分析している。

来場者数は2,557万人を超え、運営費は最大で280億円の黒字を見込むなど、経済的にも高水準の成果が確認された。観光や建設、飲食、消費など幅広い分野での経済波及効果が見られた一方で、この成果を一過性のものにせず、地域振興や産業活性化にどうつなげるかが課題となるとしている。

同社は、「万博がもたらした成果を将来の成長戦略へと結び付け、持続的な経済発展の原動力とすることが重要」と指摘している。

<参考>
帝国データバンク『「大阪・関西万博」の開催効果に関する企業アンケート