日立製作所は、インフラや産業現場で使用される電子回路図や配線・配管図などを高精度に読み取る生成AI向け学習技術を新たに開発したと発表した。同技術により、AIによる接続関係の認識精度が従来比で約220%向上するという。

追加学習前後の接続関係認識精度変化

今回日立が開発した技術は、図面画像と接続関係テキストをペアとして生成AIに追加学習させる手法。これにより、図面上の配線や矢印の向き、機器間の接続関係など、従来のAIが誤認しやすかった要素も正確に認識できるようになるという。複雑な産業図面への対応が可能となり、現場に蓄積された図面情報のデジタル化を大幅に促進するとしている。

産業現場の図面読解に特化した生成AI学習技術の概要

背景には、紙図面や画像データの読み取りにおける劣化や曖昧さにより、生成AIが正確に構造を把握できず、設計や保守の効率化が進まないという課題があった。今回の開発により、AIが図面から正確な情報を読み取り、過去の設計事例やトラブル履歴に基づく迅速な対応支援が可能になる。

同社は、今後この技術を自社のデジタルソリューション群「Lumada 3.0」の中核技術のひとつとして展開していく方針である。特に、2025年7月に発表した次世代AIエージェント「Frontline Coordinator – Naivy」との連携を視野に、現場の作業効率化や熟練者のノウハウ継承など、インフラ・産業現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する構えである。