共感される行動の背景にある理由を明らかにするインタビュー企画。数多くのユーザーに支持されるクリエイターにA(Action)面とB面(Business)の両面から、その行動の原理を探ります。第14回に登場するのは、たむらかえさん。A面では、YouTubeで日常系の動画が人気を生みSNSで活躍の幅を広げるたむらさんのパーソナルな部分をQ&A形式で解剖していきます。

【たむらかえ】
幼少期を海外で過ごし、東京学芸大学附属高校を経て東京大学理科一類に進学。理学部を卒業後、大学院修士課程を修了。在学中にYouTube活動を始め、お菓子作りをエンタメ化したユニークな企画で注目を集める。2023年にはサブチャンネルも立ち上げ、知性とユーモアを活かした発信で幅広い支持を獲得。特技はフルートや書道、趣味は映画や音楽など多彩。

YouTube: https://www.youtube.com/@tamurakae
https://www.youtube.com/@tamurakae2
Instagram: https://www.instagram.com/kaaaa.ae
X: https://x.com/tamurakae_

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「逆にいい」を楽しむノリが流行っている

Q.普段最も使用するSNSはなんですか?

YouTubeとXです。YouTubeは一日中垂れ流していて、特にお笑い芸人の動画をよく見ています。それ以外にも、ひとり語りの動画や人気YouTuberの動画を見ることもあり、基本的にはサムネイルで気になったものを選んでいます。Xは単純に見ていて面白いですし、効率よくニュースもチェックできるので、よく見ています。

Q.訪問先(店)選びの際にはどのように検索し参考にしますか?

外出の時は飲食店に行くことが多いですが、以前、美味しいお店探しにハマった時に、いろいろなサイトを使ってとにかく沢山のお店を調べ、口コミも片っ端から読み込んでいました。そして、気になるお店を見つけては、自分用の保存リストを作っていたんです。
まずはその中から探してみて、場所などの条件に合うお店がなければ、Google Mapで検索します。キーワード検索がしやすいので、「居酒屋 地魚」のような美味しいお店がヒットしそうなワードで探して、予約できそうなところを選ぶことが多いです。

Q.今若者の間でトレンドとなっている商品や、サービスなどはありますか?

高校生の恋愛リアリティーショーの「今日、好きになりました。」です。同世代の人たちは、友達の恋バナを聞いているような感覚で恋愛の過程を見られるのが面白かったり、共感したりするのかなと思います。大学生など、もう少し上の世代になると、「高校生の恋愛で盛り上がる」というある種のノリで楽しんでいるんじゃないかと思っていて。もちろん、コンテンツとして純粋に面白いから、徐々にハマっていくのもあると思いますが、「大人になった今、逆にアンパンマンがいい」みたいな、“逆張り”的なノリで楽しむスタイルが、特にXでは流行っている気がします。

Q.普段何をして過ごしていますか?

朝はアラームをかけずに起きて、朝ごはんを作って食べます。日中は打ち合わせをしたり、予定がない日は友達とご飯を食べに行ったりします。空いた時間には、編集・撮影・企画・メール返信など、その時にやるべきことをこなしています。何も予定がないときは、ゆったりとケーキなどを作って過ごしています。

納得感が優先。でも、信頼している人の意見が一番

Q.尊敬している人、信頼している人がネット上にいますか?

お笑いコンビ・天竺鼠の川原さんです。高校生の時に初めて見て「すごすぎる」と感銘を受けてから、ずっと尊敬しています。感性は理解できるけれど、私の常識から少しだけ外れた人を面白いと感じることが多いのですが、川原さんはまさにそんな方です。新しい価値観に触れて、物事を別の角度から見たり、当たり前だと思っていたことを疑問視したりできるのが面白いですね。価値観の面でかなり影響を受けていると思います。

Q仕事への考え方、何に重きをおいているのかを教えてください。

自分のやりたいことができる環境であることを大切にしています。できる限り、やりたくないことはやらなくていい環境にしたいと思っています。特別意識しているわけではないですが、「やりたくない案件は受けない」「事務所に入らない」など、やりたくないことを未然に防ぐようなことはしているかもしれません。

Q.普段何にお金を費やすことが多いですか?

外食や自炊、お菓子作りなど、食費に使うことが特に多いです。野菜などの食材はスーパーマーケットで買っていますが、お米やパスタなど、こだわりたいものは別の店で選んでいるので、そういったところに特にお金をかけています。

Q.商品購入までのプロセスを教えてください。(まずはどこで商品の存在を知り、どこでその詳細を調べるのか、最終的にどこで購入するのかなど)

私は興味のあるものが多くて、欲に弱いところがあるので、注意しないと際限なくお金を使っちゃうんです。だからこそ、実際に見たり、よく吟味したりしてから買うようにしています。例えば服は、他の買い物のついでに見ることが多いですが、その場で買わずに一旦帰ってネットで見直し、もう一度考えて、必ず試着してから買います。

最近は引っ越しを機に家具をよく買っていて、まずは公式サイトや信頼できる大手通販サイトで調べて、気になったものは一旦お気に入りに入れておきます。そして、楽天市場やAmazonで類似の安いものがあればそれを買って、なければ家具に詳しい母や姉に写真を送って見てもらい、意見を聞いてから決めます。基本的には自分の納得感が優先で口コミはあまり参考にしないのですが、自分よりセンスがあると信頼している人に「それ微妙だよ」と言われたら、買うのをやめちゃいます。

“チラ見せ”だから先が気になる

Q推しの存在はいますか?その人の存在がどう購買行動に影響を与えていますか?

宮本浩次とアリアナ・グランデが好きです。新曲が出たらすぐ聴きますが、グッズやその人が広告塔になっている商品を買うことはないですね。その人が出しているコンテンツが好きなだけなので、モノ自体にはあんまり関心がないですね。

Q.推しの企業や印象に残っている企業はありますか?

ZARAが好きです。ベーシックなものからデザイン性の高いものまでバリエーションはあるけれど、迷うほど選択肢が多くなくて、ピンときやすいところがいいです。私は選択肢が多い中から服を選ぶのが苦手なタイプで。例えば、ジーンズを買いたいと思ってお店に入ったときに、「ストレッチ」「柔らかめ」など、自分が気にしていなかった選択肢まで与えられることがあるじゃないですか。選択肢が多い中から迷うのはとても疲れるので、選びやすいZARAが好きです。

Q.最近気になった広告や企業のPRはありますか?

縦型動画で映画やドラマの一部分を見せる広告です。続きが気になって本編に飛ぶことが多いですね。普段、ドラマや映画は自分から見ようと思うことは少ないですし、友達に勧められてもなかなか見ないのに、縦型動画で流れてくると勝手に気になってしまうというか。例えば、クオリティが一般的な映画には到底及ばないようなものでも、縦でチラ見せされると、つい続きが気になって見ちゃいます。

モノもコトも選択肢に溢れ、他人のレビューも簡単に見られる現代、「自分が本当に欲しいもの」を選ぶことが難しくなってきているのかもしれない。そんな中で、たむらさんは自分の感性や実際に目で見て確かめることを大切にしながら選択している。その背景には、「やりたいこと」「好きなもの」「嫌なもの」「いいと思うもの」がきちんと言語化され、自分の中にしっかりとした感覚を持っていることが関係しているのではないだろうか。

文:安藤 ショウカ
写真:小笠原 大介