帝国データバンクは、今夏の猛暑が東京都内の家計支出に与える影響についての調査結果を公表した。
気象庁によると、7月の東京都の平均最高気温は33.2度と平年より3.3度高く、8月も33.9度で平年を2.6度上回る見通しだという。また、猛暑日(最高気温35度以上)は7月と8月を合わせて20日となり、記録的な暑さとなっている。

このような猛暑によって、東京都内の世帯あたりの家計支出は、平年並みの気温だった場合と比較して7月に2,687円、8月に4,337円増加すると試算され、月平均で3,512円の増加となる見込みとしている。東京都全体の支出増加額は約772億2,300万円にのぼると推計された。
支出が増加した主な項目では、「食料」分野で約192億2,800万円の増加が見込まれている。内訳としては、火を使わずに済む弁当などの調理食品や、炭酸飲料(約17億円増)、茶飲料(約15億円増)、チューハイ・カクテル(約10億円増)、発泡酒・ビール(いずれも約9億円増)といった飲料関連が増加する結果に。
菓子類ではアイスクリーム・シャーベットが大きく伸びたほか、喫茶店の利用など外食費も増加したという。
「家具・家事用品」ではエアコンなどの冷房器具の購入、「住居」では設備補修への支出が増加。「教養娯楽」では宿泊料やパック旅行費などによって約197億1,500万円の増加、「保健医療」では、熱中症対策に関連する医療サービスが支出増の要因となった。
一方で、支出が減少した項目もある。気温上昇による漁獲量減少で価格が高騰した魚介類や、生育不良により供給が落ちた生鮮野菜の購入が減少し、調理時のガス使用の抑制によりガス代も減少したという。また、外出機会が減少したことにより女性用シャツ・セーター類や和服など被服費が減少する傾向もみられた。

東京都では、猛暑による電気代増加などへの対策として水道料金の基本料金無償化を実施しているが、実質賃金の低迷は家計の購買力を抑える要因になったとしている。一方で、昨年からの賃上げやボーナスの増加が個人消費の押し上げ要因となっているとのことだ。
【調査概要】
調査名:東京都の気温上昇が家計支出に与える影響調査
使用資料:総務省「家計調査」「国勢調査」、気象庁「地点気象データ」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」等
調査対象:東京都に居住する世帯(試算ベース算出条件:物価変動およびコロナ禍の影響を除外した支出額の試算
<参考>
帝国データバンク「東京の家計支出、猛暑で今夏は世帯当たり月3,512円増加 魚介類や光熱費、被服で減少も、アイスや飲料、エアコン、旅行関連が増加」