大和ハウス工業は、九州工場(福岡県鞍手郡鞍手町)のテニスコート跡地に、同社初となる蓄電所「DREAM Storage Battery福岡鞍手系統用蓄電所」を着工し、系統用蓄電所事業の実用化に向けた実証実験を開始すると発表した。
2025年12月に系統用蓄電池(※1)4台(出力1.9MW/蓄電容量9.8MWh)を設置し、電力会社による工事を経て、2026年7月頃の稼働を予定しているとのことだ。

日本電機工業会によれば、2024年度の国内における系統用蓄電所向け蓄電池の出荷容量は、過去10年で約83倍の約8GWhに拡大。再生可能エネルギー普及の進展とともに、蓄電池の重要性が高まっているという。
こうした背景を踏まえ、同社は蓄電池ビジネスに参入するために、九州工場内に系統用蓄電所を設け、運用方法や事業性の実証実験を開始するという。
稼働後は九州エリアの電力系統に接続し、電力市場等を通じて、電力エリア内の電力余剰時には充電し、不足時には放電することで、電力需給の安定化を図るとのことだ。

なお同事業は、経済産業省・資源エネルギー庁が主管する「令和6年度 再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」の採択を受けている。
今回、同社が展開している発電所の設計・施工(EPC(※3))、発電(IPP(※4))、売電(PPS(※5))に加え、蓄電池ビジネスに参入することで、新しいエネルギーソリューションを提供し、環境と調和した暮らしの実現に貢献するとのことだ。
(※1)電気を各地へ送る「電力系統」(送電網・配電網)に接続し、電力需給のバランスを調整するために、蓄電と放電を行う大型蓄電池。
(※2)一般社団法人日本電機工業会 蓄電システム自主統計2024年度出荷実績より。
(※3)「Engineering,Procurement and Construction」の略で、「設計・調達・建設」のこと。
(※4)「Independent Power Producer」の略で「独立系発電事業者」と呼ばれ、発電設備を持ち、売電する事業者。
(※5)「Power Producer and Supplier」の略で、「特定規模電気事業者」という意味であるが、一般的には新電力を指す。