2019年6月25日、花王が「環境・SDGsへの意識実態調査」の結果を公表した。

同社の「生活者研究センター」ではSDGsの17の目標を具体的に提示し、関心や貢献意欲などについて調査している。

調査結果のポイントは2つ。

  • SDGsの具体的目標について、関心は高いが貢献意欲には戸惑いも
  • 日常の何気ない体験や気づきが、SDGsへの関心の芽生えに

関心は高くても、何をしたらいいかわからない

調査では、既婚女性に個別に17の目標を具体的に提示した。結果、「関心がある」と答えた割合が50%を超えた目標は12だった。

上位3項目は『(13)気候変動に具体的な対策を(67%)』、『(2)飢餓をゼロに(65%)』、『(14)海の豊かさを守ろう(65%)』となっている。環境や人道的な目標への関心が高い。

一方、『(5)ジェンダー平等を実現しよう(35%)』『(9)産業と技術革新の基盤をつくろう(16%)』、『(17)パートナーシップで目標を達成しよう(16%)』などは関心度が低い。目標によって偏りがみられた。

また、それぞれの目標に「今後貢献したい」と答えた割合は、関心度に比べると全般的に低い傾向がみられた。50%を越えた目標は無かった。

同社によると、目標自体に関心はあっても「自分の負担になるような貢献は無理」、「何をすれば貢献できるかわからない」といった戸惑いの声も聞かれたという。

日常の何気ない体験や気づきが、関心の芽生えに

調査では、「貢献したいと思ったきっかけ」について取り上げている。

たとえば、 『(13)気候変動への具体的な対策を』については、「猛暑や異常気象による災害増加などへの危機感から関心が高まり、これまでも温暖化対策として取り組んでいた節電やごみの分別に、より積極的になった」という声が多く寄せられたという。

また、日本で暮らしていると意識しにくい『(2)飢餓をゼロに』や、関心度があまり高くなかった『(5)ジェンダー平等を実現しよう』などについても、「勤め先の食品廃棄を見てあらためて考えた」、「知人が参加している活動に影響を受けた」などが挙げられている。

同社では、「日常の何気ない体験や気づきから関心が芽生え、『これから自分に何ができるか考えたい』と意識の変化へとつながったというが声が聞かれた」としている。

ほかにも、『(4)質の高い教育をみんなに』では、「子供の頃から教育を受けられれば、貧困や飢餓からも救われると思う。知人が子供食堂でボランティアをやっていると聞き、食材を提供したいと思った」、『(6)安全なトイレを世界中に』については、「会社の支援活動で、トイレはアフリカの発展途上国では深刻な問題になっていると知った。社業を通じて、何か出来ることがあればと考えるようになった」といった意見がみられた。


※調査概要
「環境・SDGsについての意識実態調査」
◎2018年7~8月/郵送調査/首都圏在住20~70代既婚女性/370人

<出典元>
「知る」ことが「きっかけ」につながるSDGsへの関心が、未来を変える第一歩
花王