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- 本コラムは、企業・団体などから寄稿された記事となります。掲載している取り組みやサービスの内容・品質、企業・団体などをAMPが推奨・保証するものではありません。

若年層向けに企業が実施したプロジェクトへと焦点を当てる企画「新世代攻略ガイド」。施策の戦略、視点、そして、どのように訴求したか具体的な手法をコラム形式で共有することにより、若年層にどうアプローチすべきなのか、彼・彼女らの考え方にどう寄り添うべきなのか、その理解を深めていく。
今回はLINEヤフー株式会社の取り組みを紹介する。
実施プロジェクト:「世界で一つだけの卒業記念スタンプをつくろう!SNSコミュニケーション〜違いを意識することから始めよう〜 」
目的・テーマ | 楽しく参加できる「スタンプ制作体験」を入り口に、SNSリテラシーや著作権意識などの社会的に重要な学びを自然に体感させること。同時に、LINEスタンプのプロダクト利用を促進し、ライフイベントにおける記念スタンプ制作という新たな文化・ムーブメントの創出を図る。 |
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戦略・手法 | 生徒に「創作の楽しさ」「取材体験」「SNSリテラシー」を提供する特別授業を実施。「卒業記念オリジナルスタンプ作り」の様子を、自社の公式YouTubeアカウントで発信することで、ライフイベントの節目に“記念スタンプを作る”というムーブメントの創出を図る。 |
プロジェクトの概要
神奈川県の私立学校アレセイア湘南高等学校の3年生と共に卒業記念イベント「世界で一つだけの卒業記念スタンプをつくろう!SNSコミュニケーション〜違いを意識することから始めよう〜」を開催しました。卒業式直前の登校日2月21日午後に実施された今回のイベントは、LINEヤフーが「自らの情熱をもとに学びを深める力を育む」という同校の教育方針に共感し実現。2015年から中高生を対象にプログラム提供している「IT人材育成プロジェクト」の一環として授業を提案しました。

このイベントは、SNSリテラシー・コミュニケーションを学びながら、クラスメートとの絆をLINEスタンプの形で表現し、卒業記念として残すものです。高校卒業後、交流する人のタイプや年代が急にひろがったり、関係性が多様になることを想定し、SNSリテラシー・コミュニケーションを改めて学んでもらうことで、新生活のより良いスタートにつながることを願い企画しました。
イベント前半では、コミュニケーションにおいて普遍的に大切な「違いを知る」に焦点を当てたアクティブラーニングを実施。誰もが馴染みのある童話の主人公を題材にSNS発信の際に気をつけたいポイントを学びました。同じものを見ても感じ方は人により異なること、SNSには様々な人がいて発信者の思い通りに届くとは限らないこと、発信前に一度立ち止まり見た人の反応を想像してチューニングすることの大切さを実感してもらいました。
後半は、LINEスタンプメーカーのワークショップに移行し、卒業記念になり日常でも使いやすいスタンプ作りのコツを学びました。また、同プロダクトの利用でクリエイターデビューやスタンプ販売による収入獲得が可能なこと、著作権等クリエイターの権利保護の大切さなどを紹介し、SNSの主体的な活用にも視野を広げてもらう機会となりました。イベント終盤では、制作したスタンプをクラスメート同士で送りあい反応を楽しむ場面が見られました。

施策の戦略とアプローチ手法
LINEヤフーでは、SNSを運営する企業の責任として合併前の旧LINE時代からLINEみらい財団を通じSNSリテラシー・コミュニケーションの大切さを小中高生に伝えてきました。また旧ヤフー時代から10数年続くIT人材育成プロジェクトは、テクノロジーや社員のチカラを活用したプログラムを通して中高生が新しい挑戦を始めるきっかけを提供し、自分の未来を自分で創るよう応援し続けています。
スマートフォンでLINEスタンプの作成・申請・販売ができる専用アプリ「LINEスタンプメーカー」は、10代から20代の若年層に広く認知・利用いただき、2025年4月には累計2,500万ダウンロードを突破しました。
本プロダクトはあらゆる方の人生に寄り添いながら、誕生・入学・卒業・就職・結婚・出産・子育てなどのライフイベントにおいて記念となるLINEスタンプの作成と利用を促進し、人と人とのコミュニケーションをより豊かにしたいというビジョンがあります。若年層に対しては、著作権や肖像権に対する正しい理解を促進しながら、クリエイターとしてのより創造的な活動を支援したいと考えています。
こうした試みを広く社会に働きかけたいという熱意から、企画が始まりました。本企画では高校生活最後の一大イベントである卒業を記念し、クラスメート同士で最高の思い出を作るエモーショナルな要素を取り入れながら学びを誘発するため、学校関係者・生徒・LINEヤフーのスタッフが一丸となりました。
日々利用しているLINEアプリでできる創作活動は、インターネットだからできる自由で手軽な自己表現の一つです。楽しく制作した自分だけのオリジナルスタンプを発信したらどうなるか、を体験的に学ぶことで、リスクを正しく理解し、「やってみたい!」と「気をつけてみよう!」を両立して行動できるプログラムにしました。

また、スタンプ制作の様子を取材形式で撮影した映像を自社公式YouTubeに掲載し、スタンプによるより豊かなコミュニケーションを広く楽しんでいただくムーブメント創出にも役立てました。
参加協力いただいた生徒・教員の方々にとって思い出作りだけでなくメディア取材体験と作品制作の過程がYouTubeに残る、特別な卒業記念イベントとなりました。
施策から得られた成果
開催校は1校のみと限定的な実施でありながら、社会的意義がある「学び」と「卒業記念スタンプ作り」の2点で戦略的に打ち出すことで、メディアの協力を得て広く配信。結果として、SNSリテラシーやオンライン上でのコミュニケーションの重要性、さらにはライフイベントの記念としてスタンプを制作するという新たなムーブメントの拡散に成功しました。
LINEスタンプメーカーでは本イベントを記事化し、アプリ内外でのプロモーションの実施によって新規ユーザーの獲得や卒業・入学シーズンの利用者拡大にも貢献しています。
神奈川新聞、湘南経済新聞にてSNSコミュニケーションの大切さを丁寧に取り上げていただき、ヤフーニュース含む多数のニュースサイトへも転載。楽しいニュースでも本イベントについて記事化いただきました。
カナロコ:2025年2月25日「高校生活の思い出、LINEのスタンプに アレセイア湘南高校で特別授業」
湘南経済新聞:2025年3月5日「卒業記念にLINEスタンプ制作 アレセイア湘南高で特別授業」
また、オウンドメディアにて動画を配信した結果、多くの方に視聴いただき利用者も増加。卒業生や学校関係者の皆様からは、高校生活の素敵な思い出になった、作成したLINEスタンプを家族や友だちと送り合いながら会話を楽しんでいる、などの嬉しい声をいただきました。
企画に参加いただいた1人1人に価値と学びを提供でき、私たちにとってもこの上ない喜びとかけがえのない財産になりました。
今後に向けて
LINEヤフーは、「Wowなライフプラットフォームを作り、日常に!を届ける」ビジョンのもと、多様なプロダクトで日常をさらに楽しくするよう邁進しています。
今回のイベントは、Z世代に広くご利用いただいているLINEプロダクトの「あ!楽しそう!」をきっかけに学びを構築したいと考え企画しました。テーマが「SNSリテラシー・コミュニケーション」だけではZ世代の前向きな参加が期待できず、LINEスタンプ創作体験だけでは制作ワークショップに留まってしまう、それぞれのペインポイントがありました。しかし、両者の掛け合わせによって、Z世代が興味を持って参加でき、最後まで楽しく、社会的意義のある学びも得られるイベントに仕上げられたと感じます。
今後も、人々の日常をより豊かにするプロダクト開発を土台に、社会を良くすることにつながる学びを伝え続けます。Z世代が、自分のために、社会のために未来を創り出そうとするその時に、ITのチカラを味方につけて大きく飛躍していくことを願っています。