インテージは、全国の15〜79歳の男女5,000人を対象に、猛暑および暑さ対策に関する意識調査を実施し、結果を公表した。

調査によると、2025年の家庭の暑さ対策にかける平均予算は28,497円となり、2024年の26,250円から約9%増加したという。これは、電気代の高騰や暑さ対策グッズの価格上昇、猛暑が数年続いていることによる「備え」への意識の高まりが背景にあると見られるという。

また、「夏の生活費に対する不安」については、世帯年収によって回答に差が見られた。年収1,000万円未満の層では不安を感じる人が多く、生活費への圧迫感が強く出ている一方、1,000万円以上の層では不安は相対的に低かったとされる。

(左)夏の暑さ対策費用(平均)(右)今年の夏の生活費(光熱費含む)不安<年代別>

暑さ対策の中心はエアコン使用、日傘や扇風機も上位に

今年の暑さ対策として最も多く挙げられたのは「エアコン(冷房)」で、全体の64.8%が使用予定と回答した。次いで「水分・塩分補給」が51.0%、「扇風機」が47.2%、「冷感グッズの使用」が23.1%、「涼しい時間帯の外出・買い物」が27.5%などの回答が続いた。

性別による差も現れており、女性の方が男性よりも暑さ対策を積極的に行っている傾向が見られた。「日傘をさす」と回答した割合は、女性では過半数を超えた一方、男性でも約1割近くが使用予定と答えたという。

今年の暑さ対策

高齢層のエアコン使用率が上昇、不使用理由は「電気代」や「暑さを感じない」

昨年夏のエアコン使用状況を年代別に見ると、高齢になるほど使用率が高まる傾向があったという。これは、メディアや行政による啓発活動の成果である可能性が指摘されている。

昨年夏 暑さ対策としてのエアコン使用状況<年代別>

一方で、エアコンを使用しなかった人、または使用頻度が低かった人に理由を尋ねたところ、「電気代が気になる」が28.5%で最多だった。続いて「冷えすぎて体調が悪くなる」が18.7%、「窓を開けたり扇風機で十分」が16.9%という結果であった。高齢層の中には「暑さを感じない」という回答も見られ、体感の違いや価値観の違いが利用傾向に影響していることがうかがえるとしている。

昨年夏自宅でエアコンを使わなかった/あまり使わなかった理由

熱中症関連用語の認知度は依然として低水準

調査では、熱中症関連の用語についての認知度も確認されている。「熱中症警戒アラート」や「熱中症特別警戒アラート」の認知度は比較的高かったが、それ以外の用語は「意味まで知っている」と答えた割合がいずれも2割未満にとどまったという。

「暑さ指数(WBGT)」を理解している人は17.5%、「暑熱順化」が17.0%、「クールシェア」が11.1%、「クーリングシェルター」は12.0%となった。これらの結果から、行動としての暑さ対策は進んでいる一方で、科学的・生理的な理解や関連情報の浸透が追いついていない現状が明らかになったとしている。

「暑さ関連の言葉・用語」を知っているか

<参考>
出典:インテージ『2025年 猛暑と暑さ対策に関する調査