帝国データバンクは、「リーダー人材不足に関する企業の意識調査」の結果を発表した。それによると、企業の将来を担う管理職相当以上の「リーダー人材」が不足していると感じている企業の割合は67.8%にのぼることが明らかになった。

リーダー人材不足に関する企業の意識調査

同社は、少子高齢化が進む国内において、企業が深刻な人手不足に直面している現状を背景に、今回の調査を実施した。2025年2月時点での正社員の人手不足を感じている企業の割合は53.0%であり、リーダー人材の不足感はこれを大きく上回る結果となった。

(左)リーダー人材の不足感について(右)正社員・非正社員の人手不足割合 月次推移

リーダー人材の育成に関しては、「リーダー職への意欲の不足」が59.8%で最も多く、次いで「リーダーシップの不足」(57.5%)、「部下の育成能力の不足」(55.6%)が課題として挙げられた。企業の多くが、個人のパフォーマンスだけでなく組織全体の力を向上させる必要があると認識している。

リーダー人材の育成における課題

調査結果では、企業から「30代以下の社員の中には、責任のある立場になりたくないという人も増えており、どのように意欲を持たせたらいいのか」といった声が寄せられていることが示された。

また、「人員が少ないと優秀な人材はリーダーになる前に実務をこなす能力が高くなってしまい、管理職になっても自分が動かなくてはならず、次のリーダー育成まで行き届かない」といった、現リーダー層の多忙による育成時間の不足を指摘する意見や、「過去の採用抑制によって、育成の前にそもそものリーダー人材不足が最も深刻な課題」といった声も紹介されている。

帝国データバンクは、労働者のうち約8割が「管理職になりたくない」と回答している別の調査結果(日本能率協会マネジメントセンター「管理職の実態に関するアンケート調査」2023年4月実施)にも触れ、リーダー職のモチベーション向上が喫緊の課題であると指摘。リーダー職のやりがいや存在価値、給与などの魅力を明確に示すことで、意欲の醸成につなげる必要があるとしている。

さらに、人手不足により管理職も現場業務を担う必要があり、リーダー育成に手が回らないケースが多い現状を踏まえ、同社は未来を見据えた教育体制を整備し、中長期的な視点に立った育成に取り組むことが求められると結論づけている。

<参考>
帝国データバンク『リーダー人材不足に関する企業の意識調査