日本もったいない食品センターは、2024年3月~2025年2月まで同団体に寄せられた支援要請3,503件を集計し、結果としてレポートを公表した。

同レポートでは「生活困窮世帯がどのような収支で生活しているか」を焦点に、単身世帯・ひとり親世帯・障がいや介護を伴う世帯のそれぞれの収支状況をまとめている。

■生活困窮世帯の収入

同団体のアンケートでは、収入の有無と、収入が有る場合は手取りの金額を調査。単身世帯・ひとり親世帯・障がいや介護を伴う世帯ではそれぞれ次のような結果に。

単身世帯:収入は平均116,584円
単身の生活困窮世帯では5万円~13万円の収入であるケースが多く、1,084世帯中719世帯、66.3%の世帯が5万円~13万円の収入で生活していることが判明。

ひとり親家庭:収入は平均173,798円
ひとり親家庭の生活困窮世帯では20万円以下の収入であるケースが多く、655世帯中477世帯、72%の世帯が20万円以下の収入で生活していることがわかった。

障がいや介護を伴う世帯:収入は平均146,835円
障がいや介護を伴う世帯では5万円~16万円の収入であるケースが多く、512世帯中324世帯、63.2%の世帯が5万円~16万円の収入で生活している結果に。

生活困窮世帯の収入

■等価可処分所得

厚生労働省の2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況によると、等価可処分所得の中央値は254万円で貧困線は127万円。ひとり親家庭については等価可処分所得の平均は貧困線を超えない数値となっている。同団体へ支援要請した生活困窮世帯の等価可処分所得は次のような結果に。

・単身世帯:等価可処分所得は平均1,399,009円
単身世帯1,084世帯中520世帯が等価可処分所得127万円以下の世帯。48.5%が相対的貧困に該当。

・ひとり親家庭:等価可処分所得は平均1,233,634円ひとり親家庭655世帯中356世帯が等価可処分所得127万円以下の世帯。54.3%が相対的貧困に該当。

・障がいや介護を伴う世帯:等価可処分所得は平均1,289,948円
ひとり親家庭511世帯中270世帯が等価可処分所得127万円以下の世帯。52.8%が相対的貧困に該当。

生活困窮世帯全体としては2,171世帯中1,098世帯が等価可処分所得127万円以下の世帯となり、50.5%が相対的貧困世帯に該当する結果となった。

等価可処分所得

■支出

同団体のアンケートでは生活の基礎支出として住居費、通信費、光熱費、食費の金額を調査。

単身世帯・ひとり親家庭世帯・障がいや介護を伴う世帯ではそれぞれ住居費は大きな乖離は無いものの、光熱費、通信費、食費は単身世帯に比べてひとり親家庭世帯・障がいや介護を伴う世帯では高い傾向が見られた。

なお、合計支出としては単身世帯とひとり親家庭世帯では25,000円以上の差があることがわかった。

世帯別の平均的支出内訳

●エンゲル係数
エンゲル係数は家計の消費支出にしめる食料費の比率を表すもので、総務省の「家計調査」では生活の基礎支出である住居費・通信費・光熱費・食費の他、教育費・教養娯楽費・被服費・保健医療費の合計を消費支出としている。

一般にエンゲル係数が低いほど生活水準が高いとされている。同団体では教育費・教養娯楽費・被服費・保健医療費を集計せず、エンゲル係数そのものではないものの、それに類する係数として生活困窮世帯における生活の基礎支出から食費の比率を集計。ここでは「食費割合」と表現。

総務省統計のエンゲル係数と生活困窮世帯の平均的な食費割合を比較したところ、大きな差異は見られなかったものの、生活困窮世帯の食費割合はエンゲル係数が低い世帯と高い世帯に大きく分かれることが判明。

住居費や光熱費に家計が圧迫され食費が不足し支援を要請する家庭と、食費への支出が多く家計が厳しくなり支援を要請する家庭に二極化しているような状況となっている。

エンゲル係数

●光熱費版 エンゲル係数
エンゲル係数が消費支出にしめる食費の割合を示すものであることに対し、光熱費の割合を表すものは今のところ存在しないため「光熱費版 エンゲル係数」と表現。

それに類似する係数として同団体が生活困窮世帯における生活の基礎支出から光熱費の比率を集計したものを「光熱費割合」と表現する。

光熱費においては総務省家計調査上の金額と生活困窮世帯に大きな差異は無いが、生活困窮世帯では支出に占める割合が大きく、家計の負担となっていると言える結果に。

光熱費版 エンゲル係数

●通信費版 エンゲル係数
エンゲル係数が消費支出に占める食費の割合を示すものであることに対し、通信費の割合を表すものも今のところ存在しないため、同じく「通信費版 エンゲル係数」と表現。

それに類似する係数として同団体が生活困窮世帯における生活の基礎支出から通信費の比率を集計したものを「通信費割合」と表現した。

総務省統計の通信費版 エンゲル係数と生活困窮世帯の平均的な通信費割合を比較したところ、10%近い大きな差異がみられ、生活困窮世帯3,094世帯中1,112世帯、35.9%の世帯が生活の基礎支出の内、14%以上を通信費が占めることがわかったとしている。

通信費版 エンゲル係数

通信費
総務省家計調査2023単身世帯、総務省家計調査2023二人以上の世帯によると、単身世帯の通信費の支出は6,610円、二人以上の世帯の通信費の支出は12,195円。

単身世帯においては総務省家計調査の平均より5,000円高くなっており、生活困窮世帯の方が高い金額を支払っている結果に。

今後は、生活困窮世帯への自立支援は通信費の抑制、平準化が大切になってくるものと同社は推考している。

世帯当たりの通信費

<参考>
日本もったいない食品センター『「生活困窮世帯がどのような収支で生活しているか」レポート