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Sensor Towerは、好調を記録するモバイル市場に関して、「2025年版モバイル市場年鑑」レポートを発表した。
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■モバイル市場の成熟に伴い、アプリ収益が急増
AppleのApp Store開設から15年以上が経過し、モバイル市場は世界中で安定しつつある傾向に。
iOSおよびGoogle Playのダウンロード数は1,360億となり、前年比でほぼ横。新規スマートフォンユーザーの流入が鈍化したほか、多くの消費者はすでにお気に入りのアプリのほとんどを入手していることから、ダウンロード数は2020年以降、年間1,350億~1,400億程度で推移している。
一方、スマートフォンを使用する時間は増加し続け、消費者がアプリを使用する時間はiOSとGoogle Playのアプリを合わせて4兆2,000億時間で、これはモバイルユーザー1人あたり約3.5時間/日に相当。
しかし、一部の国では消費者が「デジタル疲れ」を起こしており、モバイルの使用時間が減速している兆しも見られた。
世界全体では、総使用時間の伸びは前年比5.8%増で、2023年の同7.7%増をやや下回り、アメリカ、日本、韓国、中国を含むいくつかの主要市場では実際に使用時間が横ばいとなっている。
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ダウンロード数と使用時間の伸びは多くの既存市場で鈍化しているが、収益成長の可能性はほとんど衰えていないという。
IAPと有料アプリおよびゲームによる収益は、2024年にiOSとGoogle Playを合わせて1,500億ドルに達し、前年比13%増という驚異的な伸びを見せた。この成長の大部分は前年比23%増の非ゲームが牽引しており、一方のゲームは2年連続の減少を経て同4%増と見事に回復。
モバイルにおけるマネタイズの最大の機会はどこにあるのか。2024年のIAP収益では、アメリカが世界全体の3分の1以上の520億ドルを記録し、トップを維持。前年比16%増という数字は世界全体の平均を上回っており、この市場にまだ成長の余地が十分にあることを示していると同社は考察。
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一方、ヨーロッパは2024年の収益成長率ではアメリカを上回り、ヨーロッパ全体のIAP収益は前年比24%増で世界全体の約2倍増加となった。その要因の1つは、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアなど、この地域のトップ市場で力強い成長が見られたことにあるとのことだ。
■モバイルゲームの回復力の強さ
2024年、モバイルゲームのIAP収益は前年比4%増の810億ドルまで成長し、モバイルゲーム市場の回復力が示された。
その前年までは、主にこの分野におけるインフレと規制強化によって、2年連続で減少が続く。2024年にはAMERとEMEAのほとんどの市場で力強い伸びが戻ってきたものの、この伸びは日本、中国、韓国といったAPACの最大市場における減速によって相殺されている。
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ダウンロード数は前年比6%減の496億であり、全体としては2019年以降で最低を記録し、モバイルゲーム市場は落ち着いている状況に。とはいえ、ゲーム体験の強化やマネタイズ戦略の向上が追い風となり、消費者がモバイルデバイスを使用する時間は伸びており、購買機会も増えている。
■AIはあらゆるモバイルアプリに
AIアプリはすでに10億ドル規模の産業となっており、2024年のAI ChatbotsアプリやAI Art GeneratorsアプリのIAP収益は13億ドルに迫る勢いに。
2024年における生成AIアプリのトップ市場は明らかにアメリカであり、世界収益の45%を占めている。収益全体の約4%を占めたイギリスが2位で、以下ドイツ(4%)、日本(3%)、カナダ(3%)と続く。
生成AIのジャンルはブラジルでも大いに人気があり、ブラジルは7位にランクインとなった(モバイルIAP収益全体では市場としてトップ10圏外)。
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AI技術の利用も、チャットボットアプリや画像生成アプリにとどまらず、はるかに広範囲に及んでいる。
過去2年間だけでも、15の異なるカテゴリーで100以上のアプリがアプリ名または説明文にAI関連のキーワードを追加しており、さまざまな分野のアプリに新たにAI機能が組み込まれていることを示唆。
これには、生産性、写真&動画、教育などの予想されているカテゴリーの他に、ライフスタイル、金融、音楽、ショッピングなど、モバイル分野におけるさまざまなカテゴリーが含まれる。
『Duolingo』や『Strava』といったモバイルリーダーは、ユーザーエクスペリエンスを向上させるべく創造的な新しいAI機能を次々と展開しており、2025年にはさらに多くのアプリに新機能が実装される見込みとのことだ。
<参考>
Sensor Tower『「2025年版モバイル市場年鑑」レポート』