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【ゆめみの成長支援制度】
◯「10%ルール」
【制度内容】
業務時間の10%(週4時間以内)であれば、どんなことでも自分の好きな研究に時間を費やすことができるという制度。
「10%ルール」は、自ら成長し、IT業界をリードするための「先行投資」
ゆめみの制度の一つである10%ルール。具体的にどのようなものなのだろうか?マーケティング担当の工藤 元気氏(以下、敬称略)に、制度化にいたった経緯を伺ってみた。
マーケティング担当 執行役員の工藤 氏
ー10%ルールはどのような背景で生まれた制度なのでしょうか?
工藤:現在、弊社は主に事業会社のコンシューマー向けデジタルマーケティングのサポートを行っています。エンジニアとクリエイターの在籍が多い会社なのですが、事業者はもちろん、大手SIer企業などとも直接折衝しながらプロジェクト推進できるPM、ディレクターも多くおり、品質とアジリティの高さを特長としています。
特に、最近は顧客企業と共に、コンシューマーにより良い体験を提案していくために、AIや最新のマーケティング理論やデザインツール活用技術など、ITに限らない知見必要とされています。そのため、ますます技術が多様化していくIT分野において顧客企業にも遅れをとらないよう、先んじて研究するための投資として10%ルールを導入しています。
ーでは、具体的に10%ルールはどのようなものに使われているのでしょうか?
工藤:特に会社側で適用範囲を設けているわけではないので、何をするかは個人にゆだねています。必ず事後にアウトプットすることが条件となりますが、事前申請も不要です。
例えば、デザイナーが美術館に行く場合、それが趣味であっても、自身の成長や仕事のインプットにもなり得るのであれば、仕事の一環とみなして構いません。
また、一人で技術研究に没頭するのも構いませんが、現在のITの技術は複合的に成り立っているので、他のメンバーに声を掛け合って社内で”協学”することも推奨しています。具体的にはIoTに関しては、特にエンジニア複数人で研究するのが継続化されています。
研究する文化こそ「ゆめみ」の原点
日々目まぐるしく変化していくIT業界に先立つための、先行投資として制度化された10%ルール。実は、この研究を重視する風潮は制度化される以前から社内にあったものだという。
工藤:成長するためには学びが必要です。その学びを最大限化させるためのものの一つとして10%ルールがあるんですが、この制度に関してはほぼ創業時からあったんです。10%ルールとして明文化されたものではありませんでしたが、基本的には研究やり放題でした。
弊社はもともと京都大学の研究室から生まれた学生ベンチャー企業ということもあり、そもそも先んじた研究投資を積極的に行う文化が根付いていたんです。
加えて、モバイルインターネット技術が日々発展し続けているという流れの中で、やはりある程度の投資をしてでも研究し成長していかないと、スキルが育っていかないという危機感が常にあったことも、このルールができた背景と言えますね。
あくなき探求心を存分に発揮。10%ルールの具体的な活用方法とは?
次に、実際に10%ルールを活用しているWEBフロントエンジニアの内藤氏、そして企画担当の有泉氏にもお話を伺ってみた。
ー具体的にどのようなことに10%ルールを活用しましたか?
フロントエンジニア・ディレクター 内藤 氏
内藤:基本的に私はフロントエンジニアなので基本的に分野外ではありますが、AIを使って何かをやりたいと思い、その研究に充てたりしました。10%ルールに加えて、社内外の研修費用をサポートしてくれる「勉強し放題制度」も活用し、セミナーに行ったり、IBMのWatsonでプラットフォームを借りて、実際にSlackからBotに話しかけてオフィスのエアコンが操作できる仕組みを作ったりしました。
他にも、IoT化を見据えて社内メンバーが作っていたIoT機器の「スマートボタン」プロジェクトに参加させてもらって3D CADでボタンケースを作ってみたり、予定表のホワイトボードをデジタル化した「スマートシェアボード」プロジェクトにも参加させてもらって先程のWatsonと連携させて操作できるようにもしましたね。
有泉:企画担当ということもあって、変化のめまぐるしいIT業界に対応していくために、先を見据えたリサーチに費やすことが多いですね。直接業務に関係があるなしにかかわらず、展示会やイベントに行ったりしています。つい先日も、海外へ行って最先端の情報をインプットするためにSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)視察に行きました。
ー実際に10%ルールで研究したものはどのようにアウトプットしていますか?
内藤:AIについては今のところ具体的に業務化はされていませんが、その前にやっていたハイブリッドアプリというフロントエンドの技術を使ってアプリを作るという研究については、今の業務にも繋がっていますね。研究してそれが案件となっていくという事例は都度都度発生しています。
ーこのような制度があることについてどう思いますか?
内藤:ありがたいです。10%ルールのおかげでできたことがたくさんあります。うれしいし、存在意義も感じるので、より学びへの意欲が高まりますね。
マーケティングソリューション事業部 有泉 氏
有泉:みんなにもっと積極的に使ってほしいと思ってます。私も10%の中で、様々な実験や研究を行ってきました。作ってみてうまくいきそうと思えば、事業化して次のステージに進めていくようなこともできます。そして未来研究委員会(R&D)も立ち上げたので、10%以上事業化未満の仕組みも選ぶことができます。様々な制度と組み合わせながらみんなと研究をしていきたいですね。
ーありがとうございました。
<今回取材させていただいた会社>
株式会社ゆめみ。2000年設立。モバイルサービスの受託開発・制作・コンサルティング、企業のデジタル新規事業、O2Oオムニチャネル、公式スマホアプリ開発などに従事。クライアントの現状の業務にコミットできる、長期的かつ包括的な設計力を得意とし、大手ファストフードチェーンやメーカーなど、数多くの大手企業と取引をしている。
取材・文:志田智恵
写真:西村克也