共感される行動の背景にある理由を明らかにするインタビュー企画。数多くのユーザーに支持されるクリエイターにA(Action)面とB面(Business)の両面から、その行動の原理を探ります。第5回に登場するのは、ありしゃんさん。A面では、人気YouTubeチャンネル ヘラヘラ三銃士のリーダーとしてだけでなく、ネイル・アイラッシュサロン Raviy(ラビィ)の経営者としても活躍の幅を広げるありしゃんさんのパーソナルな部分をQ&A形式で解剖していきます。

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好きの熱量の高さが成功のカギ|ありしゃんのB面

コミュニケーションはスピード感を重視

Q.普段最も利用するSNSはなんですか?

Instagram、TikTok、LINEです。Instagramは知人や友人と連絡を取り合うときに1番使いますね。TikTokは情報収集、LINEは返信を急がないときに使います。

Q.普段はどんなツールをどのように使って友人・知人とコミュニケーションを取りますか?

家族と連絡を取るときはLINEで、仕事仲間やYouTuberの友達と連絡を取り合うときはInstagramのDMを使うことがほとんどです。ストーリーズを更新しているのにDMを返してくれないと気まずいじゃないですか。コミュニケーションにはスピード感が大切だと考えているので、必ず返信がほしいときやすぐに返信が必要なときはインスタのDMが便利です。

友達と情報をシェアしたいときは、インスタで見つけた投稿をそのままDMで送信して、「インスタのDMに送ったよ」とLINEにもメッセージを入れます。インスタのDMで投稿を送ると相手に画像が表示されるので、すぐにクリックしてもらいやすいんです。LINEにメッセージを送るとURLが表示されるためか、すぐにクリックしてもらえない場合があるのであまり使いません。

一般の方が撮った動画が一番リアルで信頼できる

Q.訪問先(店)選びの際にはどのように検索し、参考にしますか?

最初は友人の口コミを参考にします。口コミで気になったお店や施設は、TikTokで検索するようにしています。SNSに投稿される写真、特にインスタグラムに投稿される写真は、実際よりきれいに撮られていたり、編集されていたりすることが多いので、一般の方が撮影した動画の投稿が一番信頼できます。

Instagramのリール動画は、バズりを狙う人もいるため、気軽に投稿するというよりかは、美しく撮って編集されているものが多いんですよね。リール動画と比べるとTikTokの動画は、気軽に投稿する人が多く、盛られていないリアルな情報をキャッチできるので情報収集の際によく使います。

以前はネットで検索して、公式サイトやグルメサイトから情報を得ていました。今も使いますが、決め手になるのは、一般の方が口コミ投稿に寄せた写真です。よりリアルな情報を得てから訪問するかどうかを決めるようにしています。

Q.そんな失敗をなくすために気をつけていることはありますか?

気になったTikTokの投稿は、コメント欄までチェックするようにしています。コメント欄には、リアルな口コミが載っていて参考になりますし、ワードから飛べるようになっているので、その先の情報まで深くリサーチすることができて便利です。

例えば「8,000円で飲み食べ放題!」などのキャッチーなフレーズで紹介されているお店も、実際にはチャージ料金が加わって10,000円を超えるというのは、行った人にしかわからない真実ですよね。コメント欄まで見る、と切り取られた情報にだまされずに済むので、失敗が少なくなりました。

「共感」と「没入」が興味を持てるかどうかのポイント

Q.普段何にお金を費やすことが多いですか?

ものに消費をするというよりは、体験にお金を費やすことが多く、ヴィラやグランピング施設によく行きます。その際も、TikTokで検索して行くことが多いですね。

Q.実際にどの施設を訪れるか、決め手となる要素はありますか?

実際の広さや開放感がわかると、ここにしようと決める理由になります。施設の平米数でよく記載されていることがありますが、数字だけではイメージがつかないことが多いので、何かわかりやすいもので例えて表示してくれると嬉しいですね。宿泊施設などの空間や体験の決め手になるのは、やっぱり検索してその空間がわかる動画を見つけたときです。大きさやリアルな雰囲気などがわかりやすいと、「行ってみよう」と興味を持てます。

Q.どのような風に紹介されていると、施設や体験がどんなものかが伝わりやすいと思いますか?

施設側が伝えたい情報をSNS上に点で投稿するよりも、お客さん目線の動画で伝えると、わかりやすく行きたいと思うような情報になるのではないかと思います。

お客さんが扉を開けて部屋の中へ進み、ルームツアーをする動画をまわすと、見た人が一度そこに行った気分になれると思っていて…。行ったことのない場所へ行くのは誰でも不安なので、その動画を見た人が興味を持てる、没入できるコンテンツかどうかがポイントだと思います。

Qその中で最近気になった宣伝方法や広告などはありますか?

最近特に気になった広告はありませんが、見せ方がいいものや映えているものよりも、今はいかにリアルであるかがいい広告と感じるかどうかに直結するように感じています。先ほど例に挙げた宿泊施設のルームツアーをする動画のように、伝えたい情報が導線で紹介されていると、見たときに「私、こういう場面ある!」と思えるCMになると思います。このような広告にはとても惹かれるので、いかに共感させられるかが重要だと思います。

ありしゃんさんは、SNSを使い分けることで、リアルな情報を巧みにキャッチしている。今回のインタビューを通して、企業の発信に細かく目を配り、それを吸収する彼女の探究心の高さが明らかになった。今後も、共感と没入を軸に情報をインプットし、素早くアウトプットするありしゃんさんの発信に注目したい。

文:岩井なな
写真:小笠原 大介