KDDIら、長野県天龍村にてドローンで物資を配送する実証を実施　災害発生時の孤立集落を想定

KDDI、KDDIスマートドローン、イオンリテール、長野県、天龍村の5者は、長野県天龍村にて、災害発生時の孤立集落を想定してドローンで物資を配送する実証を実施したと発表した。

同実証では、旧天龍中学校を災害発生時の孤立集落と見立て、モバイル通信を利用したドローンの遠隔自律飛行で食料品や医薬品などの物資をドローンで配送。

また、衛星ブロードバンドStarlinkを搭載した車載型基地局を活用し、山間部の電波が届きにくいエリアにおいてモバイル通信環境を確保してドローンの運航を行ったという。

同実証により、Starlinkを活用して災害発生時に電波が届きにくいエリアが孤立集落となった際も、迅速にドローンで物資が配送できることを確認したとのことだ。

同実証を踏まえ、災害時の孤立集落対策や平常時の地域課題の解消に向けて、ドローンによる物資配送体制の構築を官民連携で目指すとしている。

■実証の背景

長野県は、土砂災害警戒区域の総区数が26,950カ所と全国で4位の多さ。さらに、地震や大雨などにより孤立の可能性がある集落数が全国最多となる1,163カ所もある深刻な課題を抱えているという。

同実証の実施場所である天龍村は、2023年6月に発生した大雨の影響で実際に孤立集落が発生。孤立集落では道路が復旧するまでの最低でも3日間、可能な限り1週間分の食料が必要で、備蓄の食料がなくなった際には食料の配送が必要となるとのことだ。

また、長野県は多くの山々に囲まれた山間部地形が特徴で、その影響で電波が届きにくいエリアが存在するという。

■実証について

概要
同実証では、旧天龍中学校を孤立集落と見立て、約4.2km先の和知野川キャンプ場から、約15kgの食料品や医薬品をドローンで配送。

使用したドローンは、モバイル通信を利用した遠隔自律飛行（レベル3.5飛行）を実施。実証場所は山間部で電波が届きにくいエリアが含まれているため、同実証では衛星ブロードバンドStarlinkを搭載した車載型基地局を活用し、モバイル通信環境を確保してドローンの運航を行ったとのことだ。

使用したドローン機体とStarlinkを搭載した車載型基地局
メーカー：DJI
機体特徴：重量物の長距離配送が可能で、貨物モードとウインチモードに対応
大きさ：2,800×3,085x947mm（長さx幅x高さ）（アーム＆プロペラ展開時）
最大積載量：30kg（デュアルバッテリーモード）
最長飛行時間：18分（重量負荷30kg、デュアルバッテリーモード）
最大航続距離：6km（重量負荷30kg、デュアルバッテリーモード）
機体重量：65kg（DB2000バッテリー2個搭載時）

各者の役割
KDDI：実証全体の企画・統括、Starlinkを搭載した車載型基地局の運用
KDDIスマートドローン：ドローン運航
イオンリテール：配送物資の提供
長野県・天龍村：飛行フィールドの提供、地域住民および関係者への説明