NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下、NTTコム オンライン)は、NTTデータ経営研究所と共同で、「マイナス金利解除が与える消費者影響に関する意識調査」を実施し、結果を公表した。

同調査では、2024年3月の日本銀行による金融政策決定会合でのマイナス金利解除を背景に、預け替えを検討する金利水準や住宅ローンの支払いに対する影響について調査したとのことだ。

マイナス金利解除が与える消費者影響に関する意識調査

1.預金金利の高さは、取引金融機関を選ぶ重要な基準の一つであると認識されている

普段利用している金融機関から他の銀行に預貯金の預け替えを検討する際、最も重視する点を問うアンケートを行った結果、2割以上の回答者が「預金金利の高さ」を挙げた。同選択肢は「自宅・職場に近い」に次いで2番目に多い回答となっている。

年齢別に見ても、18~29歳を除いた、いずれの年齢層でも約2割前後の回答を得ており、年代を問わず預金金利が金融機関選択の重要要素であることが明らかになった。

18~29歳では、同選択肢は3番目に多い回答だが、その回答者割合は他年代比でやや低くなっている。同年代の特徴として「経営が安定している」という選択肢を選んだ回答者が半数近くに達しており、経営の安定性を重視する傾向が見られた。

他の銀行に預貯金の預け替えを検討する際に重視する点(世代別)

若い世代は資産形成の途上にあり、相対的に金利のメリットを享受しにくいことなども影響していること、また、海外での金融機関の破綻や国内での金融機関の合併が進む中、若い世代は金融機関選びに対して慎重になっている可能性があると同社は考察している。

また、その他の傾向として、若い世代は「ATMや振込手数料の安さ」を、高齢になるほど「自宅・職場からの近さ」を重視する傾向が見られたとのことだ。

2.普通預金金利が0.25%の場合、2割を超える預金者が預貯金の預け替えを検討する

「普段利用する金融機関から他の銀行への預貯金の預け替えを検討する際に、預金金利の高さを重視する」と回答した人(343人)を対象に、「他行の普通預金金利が何%であれば預貯金の預け替えを検討するか」を調査。

その結果、他の金融機関の普通預金金利が1.0%以上であれば、65.0%の人が「他の金融機関への預貯金の預け替えを検討する」と回答。また、他の金融機関の普通預金金利が0.25%であっても、21.0%の人が預貯金の預け替えを検討すると回答した。

預貯金の預け替えを検討する普通預金金利

預貯金を預け替える金額に関しても併せて調査したところ、「普通預金金利が0.1%~0.5%未満の金融機関があれば預貯金の預け替えを検討する」と回答した人の預け替え平均額は579万円以上。

「普通預金金利が2.0%以上の金融機関があれば預貯金の預け替えを検討する」と回答した人の預け替え平均額は403万円以上となった。

預貯金の預け替えを検討する普通預金金利が低い人ほど、預け替えを行う金額も大きい傾向が見られ、金利感応度が高い人は金融リテラシーも高く、預け替えの検討対象となる金融資産を多く保有していると同社は考察している。

預貯金の預け替えを検討する金額

3.住宅ローン返済額が2割増加すると、2割の人が返済できなくなる可能性がある

「住宅ローンの残高がある」と回答した人(95人)を対象に、「毎月の住宅ローン返済額が何%程度増加した場合、家計を見直したとしても住宅ローンの返済ができなくなるか」を調査。

その結果、返済額の増加により「返済できなくなる」と回答した割合の合計は52.6%、「返済できなくなることはない」と回答した割合は47.4%となった。

住宅ローンの返済が困難になる返済増額水準

返済できなくなる増加額を水準別に見ると、現行の返済額から30%~100%程度返済額が増加すると、32.6%の人が返済できなくなると回答。

ただし、多くの人が選択している変動金利型の住宅ローン[1]には、一般的に「5年ルール」[2]や「125%ルール」[3]が適用される。そのため、毎月の住宅ローン返済額がこの水準まで増加することは少ないと同社は考察している。

一方、住宅ローン返済額が20%以下の水準で増額(125%ルールの対象にならない)にとどまった場合、返済できなくなると回答した割合は20.1%となり、家計状況によっては、返済額増加の負担が大きいことが示唆される結果に。

特に、最近住宅ローンを借り入れた人や物件価格や地価の高い都市部に住む人は、住宅ローン残高が多く、金利上昇により返済が難しくなる可能性が高くなると同社は推察している。

<参考>
NTTコム オンライン『マイナス金利解除が与える消費者影響に関する意識調査』