ストロボが運営する日本唯一の自動運転専門ニュースメディア「自動運転ラボ」は、カテゴリごとに自動運転業界を可視化した「自動運転業界マップ『2019年春 最新版』」を公開した。
具体的なカテゴリは「自動運転開発を進める自動車メーカー」「ソフトウェア・プラットフォーム系」「センサー・部品系」「サービス系」「インフラ系」「ファンド系」「大学・研究機関系」の7つ。
所在国がわかるように、それぞれマークも添えている。前回の「2018年夏」版と比べると、掲載数は44増加し、全182企業・基幹・ファンドにのぼっている。
今回の業界マップの主なポイントは以下の7つとなっている。
- 【自動車メーカー】ほぼ全てのメーカーが自動運転技術もしくは運転支援技術の開発をすすめる
- 【ソフトウェア・プラットフォーム系】IT系企業が自動運転システム開発で存在感をみせる
- 【センサー・部品系】「自動運転の目」とされるLiDAR(ライダー)の低価格化・量産化に各社が取り組む
- 【サービス系】人手不足が深刻化する日本では、自動運転への期待が高い
- 【インフラ系】5Gサービス提供を前に、通信事業者が実証実験に取り組む
- 【ファンド系】「未来創生ファンド」「Apollo Fund」の存在感が大きくなっている
- 【大学・研究機関系】日本では複数の大学が自動運転領域で存在感を増している
同社によれば、自動運転技術を軽視する自動車メーカーはもはやないと言ってよい状況だという。日本のトヨタ、米国のGMやテスラ、欧州のフォルクス・ワーゲン(VW)を筆頭として、ほぼ全ての自動車メーカーが自動運転技術や運転支援技術の開発をなんらかのかたちですすめているとのことだ。さらに自動車メーカー同士の提携も多くみられるという。同社はそれが「一人負け」を回避したいという思惑もみえるものの、開発費を抑制する意味もあるとしている。
同社は、自動運転の開発ではIT系企業の存在感が増しているとしている。米グーグル(ウェイモ)や中国・百度をはじめ、最近ではロシアの検索大手ヤンデックスの取り組みも注目を集めている。Aurora・Zooxといった自動運転システム開発を手掛けるスタートアップ・ベンチャー企業もまた存在感を強め、今まで以上に自動運転業界における台風の目となっているとのことだ。
各社は、「自動運転の目」と言われるLiDAR(ライダー)の低価格化・量産化に取り組んでいるという。2020年代には自動運転機能搭載の車両が市販されるため、同社ではメーカー側からの値下げ要求が今後強くなると推測している。パイオニアや東芝、リコー、京セラなども、LiDAR開発に関する情報発信を積極化しており、その最新技術を展示会でみることも多くなったと話している。
人事不足が深刻化する日本では、「ラストワンマイル」と「自動運転」の相性は抜群だという。すでにZMPは無人配送ロボットを発表。堀江貴文氏がアドバイザーとして参加しているHakobotの開発にも期待が高まっている。海外ではアメリカなどでスーパーの商品をロボットに届けさせる取り組みがいち早く試験的に開始されているとのことだ。
新しい5Gの通信サービスは転送スピードをはじめ、超低遅延性や同時接続性などにも優れており、自動運転車やコネクテッドカー実現の構成要素として以前より注目されているという。世界的に5Gサービスの提供が開始される前に、日本ではソフトバンクなどの通信関連各社が、自動運転領域でのビジネスチャンスをつかむため実証実験などに取り組んでいる。同社ではダイナミックマップに関連したビジネスが今後も増えていくだろうと推測している。
「未来創生ファンド」(『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』とトヨタが出資)と「Apollo Fund」(中国・百度系)が自動運転領域で存在感を強めているとのことだ。ビジョンファンドは第2号ファンドが年内に立ち上がる可能性が生じていて、同社では既存の投資先企業への一層の資金拠出、世界のスタートアップ企業に対する新規投資に関する話題が2019年後半に続々と登場しそうだとの予測を示している。
日本では名古屋大学・東京大学・群馬大学などが、自動運転領域で存在感を強めているという。たとえば名古屋大学発のベンチャー企業「ティアフォー」は、オープンソースの自動運転OS(基本ソフト)「Autoware」を世界で展開している関係で、自動運転の実証実験でたびたび名前が登場しているとのことだ。
img:自動運転LAB