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2019年3月14日、JTBコミュニケーションデザインが、「会社のコミュ力」調査の報告書をリリースした。
近年、若年層を中心に話題になることの多い「コミュ力(コミュニケーション能力)」。本調査では、この概念を会社に当てはめ、社員の目から見た「会社のコミュ力」について明らかにしている。
「会社のコミュ力」の高め方や、今後のあり方を検討する一助となることが目的だ。
調査期間は、2019年1月8日~11日。調査対象は、25歳~59歳の男女。従業員数が100人以上、300人以上、1,000人以上の企業に勤める者をそれぞれ抽出した。有効回答者数は、2,062サンプル。
明らかになったトピックスは、次の5点。
- 「会社のコミュ力は低い」と感じている人の方が多い
- 「発信力」「受信力」「社内コミュ力」の中で、評価がもっとも低いのは「発信力」
- 「現在、力を入れているメディア」と、「今後、力を入れるべきメディア」に乖離。「SNS」「広報活動」を検討
- 自社の宣伝・告知について、3割以上が「内容が地味で目立たない」「内容が他社に比べて見劣りする」と不満
- 「会社のコミュ力」が高いと思う会社は、「消費者ニーズを掴んでいる」「社内外の双方のコミュニケーションに力を入れている」「社員の状況を理解し、効率的な施策や制度を導入している」
「会社のコミュ力は低い」と感じている人の方が多い
調査ではまず、「会社のコミュ力」総合評価についてたずねている。
全体では、「5点(「会社のコミュ力」はとても高い)」と回答した人は2.5%、「4点」と回答した人が13.5%。合計すると、「会社のコミュ力は高い」と評価した人は合計16.0%だった。
一方、「2点(「会社のコミュ力」は低い)と回答した人は29.8%、「1点(「会社のコミュ力」はとても低く、いわば「赤点」)」と回答した人が8.1%。「会社のコミュ力は低い」と感じている人は、合計37.9%。
「会社のコミュ力は低い」と感じている人の方が多いという結果となっている。
評価がもっとも低いのは「発信力」
調査では「会社のコミュ力」を、「発信力」「受信力」「社内コミュ力」の3要素に分け、それぞれについて回答者から評価を聞いている。
「発信力」は、組織として、社外に向かって自社の魅力や主張をアピールする能力。「受信力」は、組織として、世の中の動きやお客様の声などの社外の情報を、的確に受けとめる能力。「社内コミュ力」は、会社が社員とのコミュニケーションを円滑に進める能力だ。
3要素の中では、会社の「受信力」の評価が平均2.96点ともっとも高くなっている。次いで「社内コミュ力」が平均2.78点、会社の「発信力」が平均2.67点。
社外に向けて、自社の魅力や主張をアピールする能力が不足している、と感じている人が多いことがわかるという。
現在と今後で、「力を入れるべきメディア」に乖離
調査では、会社が情報発信を行うメディアについて、「現在、会社が情報発信として力を入れているメディア」・「顧客が自社の情報に関して目にしていると思うメディア」・「今後、力を入れるべきメディア」をたずねている。
「現在、会社が情報発信として力を入れているメディア」では、「自社サイト」が50.1%ともっとも多い。次いで「営業ツールやパンフレット、会社案内」(32.6%)、「テレビCM」(22.1%)、「ビジネスイベントへの出展や、自社イベントの開催」(20.9%)が挙がった。
「顧客が自社の情報に関して目にしていると思うメディア」では、同様の傾向がみられた。「自社サイト」(40.9%)、「営業ツールやパンフレット、会社案内」(27.0%)、「テレビCM」(21.0%)、「ビジネスイベントへの出展や、自社イベントの開催」「新聞広告、雑誌広告」(いずれも16.7%)が上位となっている。
一方、「今後、力を入れるべきメディア」は、「自社サイト」が首位であるものの、次いで力を入れるべきメディアには「SNSによる情報発信」(29.9%)を挙げている。「SNS」は、「自社サイト」と同程度に注力したいメディアであることがわかるという。
また、「広報活動」も「ビジネスイベントへの出展や、自社イベントの開催」と同程度に挙がった。
調査をおこなったJTBコミュニケーションデザインでは、「今後の情報発信は、これまでとは異なるやり方を検討していることがうかがえる」と分析している。
自社の宣伝・告知について、3割以上が不満
調査では、“自社の宣伝・告知に対する評価点、課題点”を聞いた。
もっとも多い意見は「内容が地味で目立たない」(34.4%)だった。以下、「内容が他社に比べて見劣りする」(30.0%)、「内容が古臭い」(27.5%)、「内容が、何を伝えたいのか、わかりにくい」(25.5%)と続いている。
いずれも、自社の宣伝・告知内容に対する不満点だ。顧客に適した宣伝・告知(情報発信)が、行われていないことがわかるという。
この傾向は、従業員数が増えるほど高まる。従業員数別でみると、「内容が他社に比べて見劣りする」「内容が、何を伝えたいのか、わかりにくい」は、従業員数が増えるほどスコアが高まる結果となっている。
一方、「お客様に合った手段を使っている」は、勤務先が従業員数1,000人以上の企業で、34.5%と高い。従業員数が多い企業では、顧客に適した手段で宣伝・告知が行われやすいことがわかるという。
コミュ力が高い会社とは
会社のコミュ力」が高いと思う会社についてきくと、「消費者のニーズをうまく掴んでいる」会社が、43.5%でもっとも多い回答となった。
次いで「社外とのコミュニケーションと社内コミュニケーションの双方に力を入れている」(42.0%)、「会社が社員の状況を理解し、効果的な施策や制度を導入している」(41.2%)、「会社の方針を社員が理解している」(40.8%)が4割以上となっている。
2番目に挙がった「社外とのコミュニケーションと社内コミュニケーションの双方に力を入れている」に注目すると、顧客とのコミュニケーションを重視するだけでなく、社員とのコミュニケーションも重視し、社員の状況を理解している会社は「コミュ力が高い会社」といえるという。
なお、従業員数が少ない企業ほど回答率が高かったのが、「会社が社員の状況を理解し、効果的な施策や制度を導入している」「会社の方針を社員が理解している」といった社内コミュニケーション。
同社では、「従業員数が少ないからこそ、会社、または社員間のコミュニケーションを重視していることがわかる」と分析している。
<参照元>
「『会社のコミュ力』調査発表 」
JTBコミュニケーションデザイン