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近年、様々な情報を伝達し合えるITツールが進化し、経済のグローバル化が急速に進んだことで、英語学習の重要性はこれまで以上に高まってきている。特に日本は少子高齢化を背景に、あらゆる業界で人材不足が叫ばれている。
もはや外国人と同じ職場で働くのが当たり前になりつつある今、キャリアを作っていく上で英語を学ぶ意義とはなにか。また、この時代を生き抜いていくために必要な能力とはどのようなものなのか。
今回は、英語を使った大学教育に力を入れている龍谷大学国際学部教授の清水耕介氏とイスラエル女子部などの活躍が注目されている三木アリッサ氏が「英語と女性のキャリア」というテーマについて語り合った。
英語を学ぶしか生きる道がなかった
三木アリッサ氏(以下敬称略、三木):清水先生はいつ頃から英語を本格的に学ばれましたか?
清水耕介氏(以下敬称略、清水):私が英語を猛烈に勉強したのは、ドクターを取るためにニュージーランドへ留学した時でしたね。
画像:龍谷大学教授 清水耕介氏
- 清水耕介
- 龍谷大学国際学部グローバルスタディーズ学科教授。関西外国語大学国際言語学部講師・助教授を経て、現職。専門は国際政治経済理論やジェンダー論、ポストコロニアル理論、ポスト構造主義。Ph.D.(国際関係)
大学院までは日本の大学で学んでいたのですが、そこで実現できることの幅の狭さや価値観のギャップが大きくて、自分で推薦状を書いてまで海外に飛び出しました。
もちろん留学する前から英語が必要なことはわかっていましたが、ニュージーランドでやっていけなければ専門である国際政治の研究を続けられないと思っていたので、「それしかない」という感じでまさに死活問題でしたね。
本音を言ってしまうと、僕は英語を勉強したいなんて一度も思ったことがないんですよ。とはいえ、英語をマスターしないと生活も研究もできなかったので、もうやむなしと(笑)。
でも、英語が使えるようになると自分の世界も広がるし、ストレートに相手と平等に向き合えるようになったので、僕にとっては生きるのがとても楽になりました。
三木:たしかに英語を使うと自分の気持ちをストレートに伝えられるというのは、ありますよね。
清水:そうなんです。日本語って自分を表す言葉は色々な種類がありますが、英語だと基本的にI(アイ)で済んでしまうじゃないですか。
相手に対してもYOU(ユー)で済んでしまうから、自分が言いたいことと話す言葉がすごくイコールで、社会的な立ち位置によって言葉を変えずに、伝えたいことがスムーズに届く感じがします。
三木:私が本格的に英語を「勉強しないといけないな」と思ったのは、イスラエルの専門商社に就職してからでしたね。
父の仕事の都合でアメリカに住んでいたこともありましたが、日本に来たのは3歳の時です。
それからはずっと日本の教育を受けていて、英語を本当に話せるようになったのは社会人になってからでした。
職場では隣の席が韓国人でしたし、上司は日本人でしたが頭の中は外国人、そしてもっと上の上司はロシア人という、もはや「英語をしゃべれなきゃしょうがない!」といった環境で勉強し始めたのがきっかけでした。
清水:僕と似てますね(笑)
英語を学ぶとキャリアの可能性と人脈が広がる
三木:そう、まさに必要に迫られてですね(笑)
画像:イスラエル女子部代表 三木アリッサ氏
- 三木アリッサ
- Forbes JAPAN「地球で耀く女性 100 人」最年少で選抜。1992 年生まれ。早大在籍中に、プリザーブドフラワー専門ブランド立ち上げに参画。楽天 No.1に育てる。卒業後外資系メーカーにてその企業初・学卒女性マーケターとして採用。その後ベンチャー数社を経て、前職でのイスラエル専門商社で新規事業開 発マネージャーとしてHealthTech、EdTech、コネクテッドカー製品を担当。また、イスラエル女子部立ち上げ、延べ1000名に「イスラエル × 教育・起業」などテーマに講演。Newspicks「テクノロジーの未来」おすすめピッカー。FNNプライムニュースなどでも執筆。現在のイスラエルで培ったグローバル戦略を元に、ライフイズテック(株)にて米国進出に立ち上げメンバーに。
私はいま、中高生にプログラミング教育を行う事業をしている企業で働いているのですが、今年の5月にアメリカ法人を立ち上げることにより、その立ち上げメンバーとして現地に移住することが決まりました。
英語を学ぶと、自分のキャリアの可能性がものすごく広がりますよね。
清水:本当にその通りだと思います。僕がニュージーランドの大学で入ったのは政治学のドクターコースで、もはや扱いが学生さんではなく研究者として見られるんですね。
そこで学び始めて半年くらい経った頃に、当時の指導教官から「お前はドクターになるから、授業を持て」って言われて、「はい?」みたいな(笑)。
イギリス型の大学ってメインのレクチャーが二つあって、その間にチュートリアルといわれる入門講義があるんです。そして、そのチュートリアルのクラスはだいたいドクターコースの人が受け持つというわけです。
その講義をこなすためにはもちろん、クラスの学生さんが話している内容を100%理解しないといけないわけですよね。
その時はニュージーランドに来てから半年くらいで、TOEFL®の600点程度は持っていましたが、どんなにテストで良い点数を取れていても現場での英語がわかるかと言われると、絶対にわからないんですよ(笑)。
しかも、ニュージーランドって結構訛りが激しいので、試験に出るような綺麗なブリティッシュ英語じゃない。
なので最初の頃は、相手の話している内容が全く理解できなくて何度も聞き返していました。
それを繰り返して段々慣れていって。その時が多分、僕の人生の中で一番勉強した時だと思いますね。
そうしてものすごい量の英語の本を読んだり、会話を聞いた結果実感できたのは、研究に必要な文献や資料が読めるようになってきたということでした。
日本語の本はもちろん読めるじゃないですか。英語でも読めるようになると、世界中の文献や資料にアクセスできるので、とにかく学べる情報の範囲が一気に広がりました。
本当にしんどい英語漬けの半年間でしたけど、仕事の面でいうと、ものすごくプラスになりましたね。
三木:英語でコミュニケーションができるようになると、学べることだけじゃなくて、人脈も広がりますよね。
清水:まさにそうですね。日本はコネがどうこうとか言いますが、海外のほうがずっとコネ社会ですからね。
例えば学会に行ってそこにいるメンバーと直接会って英語で話をすると、その後にすぐ連絡が来て、「お前これやる気ないか?」みたいなかたちで、どんどん仕事にも繋がっていきます。
ここも日本と大きく違うところだと思いますが、相手は僕がどこの大学出身であるとか、どの大学でドクターを取っているのかとか、そういう情報には全く興味がない。聞いても「へー」みたいな感じです。
本当に見ているのは僕の「実力」で、向こうがそれを認めてくれると、どんどんコネクション広がっていく。
どんなにいい論文を書いたり発表しても、夜にみんなでウラ話をするといった繋がっていくチャンスを逃すと、「誰こいつ?」みたいになるので、チャンスがあったら積極的に応えていくことが重要ですね。
18歳の時の実力で評価されてしまう日本社会に違和感
三木:向こうの人たちは特にウワサ話が大好きですからね(笑)。
清水:そうです(笑)。そういう話をすると相手も気を許してくれるので、海外に行ったら一流大学を出ているというのは、全く意味を持たないと思いますね。
それに、よい大学を出ているかなんて、18歳の時の試験の結果に過ぎないじゃないですか。
僕は高校3年間野球しかやっておらず、大学受験の勉強をほとんどしていない状態だったので、その結果で実力を測られることに違和感がありますね。
僕自身はそこからどんどん勉強してきたし、苦労もしたし、本当に見て欲しいのは「今の僕」なんだけどって思うんですよ。
日本の社会って18歳の時点の力をその人の実力として認識しがちだけど、海外に行くと「今を見られている」という感覚があります。
なので、コミュニケーションをしっかり取るし、ちゃんと勉強もする、それが海外で勝負をするポイントじゃないかと思います。
女性でも評価される自分に自信を持たせてくれた“英語”
三木:私の場合も、英語を勉強して本当によかったと思うのは、実力がちゃんと評価されて、自分に自信を持つことができたということですね。
日本で女性として働いていると、周囲から心にもないことを言われたり、認められなかったり、やっぱりまだまだ大変な部分があると思うんです。
例えば、私は大学生の頃にお花屋さんを立ち上げて、楽天ナンバーワンのブランドに育てた経験があるのですが、周りからは「女子大生だったからだよ」と言われたこともありました。
もちろん自分が頑張って勝ち取った成果でしたが、当時の自分は「そうなんだ…」と真に受けてしまっていました。
でもイスラエルに行って、英語を通して色々な方とお話するなかで、当たり前だと思っていたことが日本の独特なガラパゴス文化だということがわかると、自分の自己肯定感がスパークする感覚を覚えました。
最近では、スパークし過ぎて夫に不思議がられていますが(笑)、それほどアグレッシブというか、人間的に強くなることができました。
そのせいなのか、2年前の自分のプロフィール写真と今のものと比べると、みんながびっくりするくらい全然表情や雰囲気が違うんですよね。
私は英語をしゃべれるようになって、日本の良いところだけではなく、悪いところも客観的に見られるようになりました。
それが自分の可能性をものすごく広げてくれたのかな、と思いますね。
清水:自分の感覚を“相対化”できますよね。それまでは日本での考え方が絶対だったものが相対化されて、「それも一つの考え方ですけど、僕は違います」と言えるようになるから。
三木:ある意味逃げ道というか、学校に行かなきゃいけないとか、会社に3年は勤めなきゃいけないとか、そういった色々なルールを守れてない自分がダメだと思っていたんですけど、そうじゃないなって。
日本の文化は文化として存在するけれど、私は私なので。もしこの考え方で日本でやっていけないのであれば、海外に行けばいいやと思っています。
清水:そうそう。そういった考え方を持てることで楽になる部分は大きいですよね。
なので、若い世代にはもっと色々な価値観に触れてもらいたいと思います。
英語翻訳サービスが発達したいま、大学に行って英語で世界を学ぶ意味
三木:若い世代といえば、今の10代や20代は英語の勉強のやり方もどんどん変わっていっているのかなって思います。
例えば、Google翻訳や瞬時に外国語に変換してくれる機械も出てきていますよね。
私も仕事で使うための短いフレーズや言い回しを探すときは、Google翻訳を使ったりしています。
先生はそのあたり、今の若い世代が英語を学ぶ意味ってどのようなところにあると思いますか?
清水:たしかにGoogle翻訳自体はとても便利ですよね。僕も使うことはありますよ。
でもやっぱり、それだけで英語を使いこなせるかといえば、難しいと思いますね。
去年の夏休みに、私の高校2年生の娘が一人で1ヶ月ニューヨークに行ったんですよ。英語は全然話せないんですが。
英語を使う場面では基本的にGoogle翻訳を使って単語を見せながら話していたらしいんですけど、最終的に彼女の一番の武器になったのは、「笑顔」だったようです。
やっぱり真摯に相手と話そうという姿勢が一番大切で、実際に話し出すと彼女自身もGoogle翻訳に頼りきりでは、本当に相手と繋がることは無理だと言っていました。
その学びから、今、彼女は一生懸命英語を勉強していますね。
先ほども言いましたが、そういった便利なサービスは私も使いますし、否定もしません。ですが、最後は自分が決めるし、その場で“相手と向き合って話すという瞬間を共有していく”ということに意味があるのではないでしょうか。
三木:先生がおっしゃったように、日本での学歴や肩書きが海外では通用しない以上、個と個が持つコミュニケーションのパワーが必要ということですよね。
本当にグローバルに活躍したいのであれば、もう英語が話せないというのはかなり厳しいのではないかと思います。
ただ、こういうことを言うとよく誤解されてしまうのですが、100%ネイティブな英語でないといけないかといえば、全然そんなことはないと思っています。
もちろん英語のレベルが高いに越したことはありませんが、拙い英語や不完全な文法でも伝わっていれば問題ない、という場面もたくさんありますよね。
なので、私たちの次の世代に言いたいことは、自分の英語のレベル上げは当然やっていただく、だけど、しゃべれない自分を必要以上に卑下しないで、どこかで楽しい!って思えるような方向に変換してもらいたい、ということですね。
大丈夫、グローバルに見たらみんなちゃんとはしゃべれていないから、って思うことが大事です(笑)
大学の役割は学生さんに「勇気」を持つきっかけを提供すること
清水:海外で正確な英語に出会うことのほうが少ないくらいですからね(笑)
そうした拙い英語でも、「相手に伝えたい」という強い想いを持つきっかけを提供することが大学の役割だと思っています。
三木:と、いいますと?
清水:学校の試験でいい点数を取れることはもちろん大事なことです。でも、それ以上に、僕は学生さんに「勇気」の大切さを伝えたいと考えています。
つまり、とりあえずしゃべっとけ、という。だから留学させているという面もあります。
基本的に1セメスター(約15週程度)ですが、2年生の時にグローバルスタディーズ学科の全員を留学させているんです。
そこでなにを覚えてもらうかというと、トラブルの対処法です。実際に英語ができないことで起こる不都合に対して、自分で解決できるような能力を身に付けてもらいます。
荒療治ではありますが、それができないと怖くて外の世界になかなか出ていけないですよね。僕自身何度もトラブルと交渉を繰り返しているから、なにがあってもどうにかなる、という感覚があります。
英語にしても同じ事で、何回も間違えるとよくなっていく。でも結局のところ、一歩目がみんな出ないんですよ。だからその一歩目を踏み出せるように、後ろから背中を押してあげる、そんなイメージです。
三木:たしかにそう思います。交渉する力があるだけで、その時の結果は大きく変わりますもんね。
清水:そう、だから綺麗にやる必要はない。でもやったという結果を残すには、まず一歩を踏み出すことが大事だから、とにかくそのサポートをすることが重要。
僕らの仕事ってそこだと思います。これを言うと怒られるかもしれないけど、あまり教育とは思ってなくて、どちらかというと、崖から我が子を突き落として這い上がらせるライオンの親の気持ちです(笑)
英語を身に付けている日本人女性はビジネスで圧倒的に有利
三木:たしかにハードですけど、確実に勇気と実力は付きそうですね。留学の男女比率はどれくらいなんですか?
清水:留学を前向きに捉えながら行く学生さんの割合を見てみると、明らかに女性の方が多いんですよ。逆に男の子らは、若干「ほんまに行かなきゃいけないんですか」と言ったりしています(笑)。
でもそれは、女性が英語を学ぶことのメリットが、この日本社会において大きいということを表しているのではないかと思います。そして彼女らもそれを感じていると。
つまり、先ほど三木さんもおっしゃったように、せっかく日本で頑張って仕事の成果を上げたとしても“性別や年齢を理由に正当な評価が得られない”ということも起こりうるじゃないですか。
自分が生きにくいと感じている場所以外で、生きる選択肢を得られる「英語」という手段は、生きにくさを感じている人にとって、できるできないによって本当に死活問題になりえるんですよね。だから一所懸命になる。
三木:そうだと思います。もう一つ言えるのは、私の世代で英語をバリバリ使って海外で活躍している女性って、本当にまだ少ないんです。
これはすごいアドバンテージで、私のような20代でも英語ができることによって、重要な仕事を任せてもらえたり、思いもよらないチャンスが転がり込んでくることもあるわけです。
特にビジネス業界でもテクノロジー分野は、まだまだ男性が多いので、女性がAIなどの技術的な話題について知見があると、本当に重宝されますね。
そういった意味で次の世代の人たちにとって、英語を使える人材が活躍する場所はブルーオーシャンなので、ぜひ皆さんにはどんどん海外に行ってほしいし、仕事も家庭もなんだって手に入れたいと言える女性が増えてきてほしいと思っています。
昔と違って、清水先生のように、行け行けと背中を押してくれる人も増えているし、安心して行ってくればいいと思います(笑)。
清水:私も自分の留学前は、周りにいたほぼ全員に「留学してもプラスにならない」「行く必要はない」と言われていました。
でもその中でも、あるアメリカ人女性の先生だけは、「ぜひ行きなさい」と、僕の背中を押してくれました。
それで結局留学に行ったわけですが、結果としては、行って本当によかったと思っています。
おそらく、留学に反対した人たちはその経験がないため、僕が留学に行ってしまうと彼らのアイデンティティが否定されると考えたのかもしれません。
ただ、なにか新しいことに挑戦しようとする時は必ず否定する人が出てくるので、それは仕方のないことです。
しかし、自分の道は自分で決める。あとは、その一歩を踏み出せるかどうか、ということが重要だと思います。
9割超の学生さんが卒業条件TOEIC®L&R730点以上をパスできる理由
三木:あえて自分のために相手に無関心になることも時には大切ですよね。日本人は一度他人を見るスイッチを意図的に消してみることが大事かもしれません。
ちなみに清水先生が所属する学科では、TOEIC®L&R 730点以上を取らないと大学を卒業できないと伺っているのですが、どのくらいの学生さんがその点数を取れているんですか?
清水:おっしゃる通り、私が所属するグローバルスタディーズ学科では卒業要件のひとつとしてTOEIC®L&Rのスコアを730点以上取れなければ卒業ができないという要件があるのですが、現在のところ約9割を超える学生さんがパスしています。
三木:9割はすごいですね!学科には何名くらいいらっしゃるのでしょうか?
清水:卒業判定の対象となる学生さんが119人いて、そのうち101人が卒業します。
三木:TOEIC®L&Rの専門的な対策クラスなどをやられているんですか?
清水:いえ、実はパスした多くの人はTOEIC®L&Rのコースを受けていないんですよ。
で、なにをやらせているのかというと、ひたらすら英語の文献を読んでもらっています。
僕らは、だいたい一つの科目に対して週20ページくらいのアサインメント(宿題)を出して、しっかりと読み込んでいないと、理解するのが難しいような授業をするんです。
英語の論文・資料を読み、理解している前提なので、「もちろん読んでるよね、じゃあここから始めよう」といった授業イメージです。
だから、読まないとついていけない。
三木:超即戦力になれそうな授業ですね!
清水:正直なところ、僕の授業についてこられるのは半分以下です。最初の講義で30%は「もう無理」とドロップアウトします。
でも3年生、4年生の授業ではそれを徹底してやるんですよ。
なので、本人たちにしてみればTOEIC®L&Rの勉強をする暇なんてないんです。でも、ひたすらそうした生活を続けて、いざ英語のテストを受けてみると点数が取れちゃうんですよ。
三木:特別な対策をしていないのにそれはすごいですね。
清水:本当に毎日英語漬けになると、必然的にTOEIC®L&R 730点は取れるっていう、それだけの話なんですよ。
英語だけでなく本当のコミュニケーション能力が身につく場所
三木:要するに、テストのための対策ではなく、英語の基礎体力を付ける環境があるからこそ生きている英語が身につくということですね。
清水:そうですね。最初から最後まで英語でやる授業も多くあります。
以前は龍谷大生に助け舟を出すことも多かったのですが、最近ではサポートをしてあげないと単位が取れない交換留学生も出てきて、という逆転現象が起きるくらいの授業をしています。
もちろん厳しい授業を続けていれば英語の能力がアップすることは予見していましたが、今の4年生は人間的にも、ものすごく成長していると感じています。
数年前までは、僕と話していてもきちんとこちらを向いて話してくれる学生さんは多くなかったのですが、今の4年生はしっかりと向き合ってコミュニケーションのキャッチボールができるようになっているんです。
特別に教えたわけではないですが、結果的に、英語だけではない本当のコミュニケーション能力が身に付いているんだと思います。
今なら自信を持って、「よし、海外に行ってこい!」と言えますね。
三木:考えてみれば、学生時代って同世代以外とコミュニケーションを取るチャンスを大人からもらえていなかった気がします。
これまでの学生さんが幼かったというよりは、大人たちが学生さんを幼くさせていたのかもしれませんね。
厳しくてもちゃんとコミュニケーションの方法や言葉の表現力を学ぶ場さえ提供できれば、海外の学生さんにも負けない実力がつくと。
清水:学生さんたちのこれほどの成長ぶりは、僕自身そこまで予想していませんでした。
龍谷大学で英語を使って世界をしっかりと学べば、キャリアを切り拓いていく上で最も大切なコミュニケーション能力も同時に身につけることができる、ということをぜひみなさんに伝えていきたいですね。
●龍谷大学HP
https://www.ryukoku.ac.jp/
●国際学部グローバルスタディーズ学科
https://www.world.ryukoku.ac.jp/department/glstudies.html
●龍谷大学のいま
https://www.ryukoku.ac.jp/activity/index.html
取材・文:花岡郁
撮影:佐野まなみ