2019年3月7日、生命保険と金融サービスの専門家による国際的かつ独立した組織「Million Dollar Round Table(MDRT)」は、2,000名以上の米国成人を対象として、金融サービスで消費者がテクノロジーについてどう考えているか検証するための調査(※)を実施し、結果を公表した。主な結果は以下の通りとなった。

  • ファイナンシャル・プランニングで人とテクノロジー両方の活用が必要と考える米国人は全体の71%
  • 米国人の85%はロボより人のアドバイザーにファイナンシャル・プランニングを任せたいと考える
  • 人間のアドバイザーのメリットは「信頼関係の構築」「高いレベルでのやり取り」、ロボのメリットは「人的ミスのリスクを最小限に抑えられること」など
  • ミレニアム世代の約半数は、ファイナンシャル・プランニングの効果的な管理をロボ・アドバイザーに任せられると回答
  • ミレニアム世代と比べるとより上の世代はロボ・アドバイザーに対する信用度が断然低い

※調査概要
委託先:The Harris Poll
調査対象:18歳以上の米国成人2,008名
※うち人間のファイナンシャル・アドバイザーを利用中の人は771名
調査期間:2018年11月1日~5日

71%の米国人はファイナンシャル・プランニングで人とテクノロジー両方の活用が必要と考える

71%の米国人は、ファイナンシャル・プランニングでは、人とテクノロジー両方を活用すべきと回答。また88%の米国人は、テクノロジーがファイナンシャル・アドバイザーを補完してくれるものの、人間に置き換えることはないと回答した。テクノロジーを活用したツールのみでファイナンシャル・プランニングができると考える米国人は5%にとどまった。

この結果を受け同社では、大多数の米国人が、テクノロジーは人間のファイナンシャル・アドバイザーにとってかわれるわけではなく、人間を補完するものであるものであってほしいと考えていることが明らかになったとコメントしている。

ロボより人のアドバイザーにファイナンシャル・プランニングを任せたい米国人は85%

米国人の83%は人間のファイナンシャル・アドバイザーを信頼し、ファイナンシャル・プランの効率的な管理を任せられると回答。同じような仕事をロボ・アドバイザーに任せられると回答した人の割合は36%にとどまった。

さらに85%は、ロボ・アドバイザーより人間のファイナンシャル・アドバイザーとやり取りした方がよいと回答。ファイナンシャル・プランニングで、ロボ・アドバイザーが人間と完全に取って代われるかという問いでは、「全くそう思わない」と回答した人は36%だった。

人間のアドバイザーのメリットは「信頼関係の構築」「高いレベルでのやり取り」、ロボのメリットは「人的ミスのリスクを最小限に抑えられること」など

この調査では、ファイナンシャル・プランニングにおいて、人間とロボを使うことのメリット、懸念事項は何か聞いた。

まず人間を利用するメリットとしては、「信頼関係を構築する機会(65%)」がトップとなり、「人との高いレベルのやりとり」(58%)、「コミュニケーションのしやすさ」(52%)と続いた。一方、懸念事項のトップは「コスト(47%)」で、そのほか「回答までの時間(32%)、「評価の正確性」(31%)が続いた。

一方、ロボ・アドバイザーとやり取りする主なメリットとしては「人的ミスのリスクを最小限に抑えられること(49%)」がトップとなり、「人と関わらないですむ(31%)」「コミュニケーションをとりやすい(19%)」が続いた。

懸念事項としては「双方向の会話的意思疎通ができない(58%)」がトップとなり、ほかに「人とのやり取りが少ない(48%)」「個人データの漏えい(46%)」「ファイナンシャル・データの漏えい(44%)」との回答が多かった。

ミレニアム世代の約半数は、ファイナンシャル・プランニングの効果的な管理をロボ・アドバイザーに任せられると回答

金融プロフェショナルの雇用やテクノロジーの使用について、ミレニアム世代(18~34歳)の意見は二分している。約半数(52%)がファイナンシャル・プランの効果的な管理をロボット・アドバイザーに任せられると回答したのに対し、残り48%は「任せられない」と回答した。

ミレニアム世代と比較してより上の世代はロボ・アドバイザーに対する信用度がはるかに低い

ファイナンシャル・プランニングにおいて、ロボ・アドバイザーが人間に完全に取って代わることができると考える割合は、ミレニアム世代では38%だったのに対し45歳以上では17%と倍以上の差がついた。

またファイナンシャル・プランニングの効果的な管理をロボ・アドバイザーに任せられると考える人の割合は、ミレニアム世代では52%だったのに対し、上の世代(45歳以上の世代)では24%とこちらも倍以上の差がついた。

さらに65歳以上の米国人のうち44%は、人間のアドバイザーを使わずに、ロボ・アドバイザーとやり取りすることにメリットはないと回答した。

一方で人間のアドバイザーを使う高い年齢層の米国人(55歳~64歳)の4人中3人以上は、アドバイザーがさまざまな最新テクノロジーベースのツールを使い資金管理を行うことが重要であると考えていることもわかっている。

クライアントプランの保管、アクセス用のクラウド・テクノロジー(80%)、アポイントメントのスケジュール管理を行うインターネット上のプラットフォーム(77%)を、アドバイザーが導入すべき重要なツールと考えているとの結果がでた。

今回の調査結果を受けMDRTの次席副会長であるRegina Bedoya, CLU, ChFC(レジーナ・ベドヤ)は、今回の調査で米国人が人間のアドバイザーから脱却していないものの、最先端テクノロジーとアドバイザーの人間的な部分、信頼性との組み合わせを好むという結果が示された、と語っている。

img:PR TIMES