ライドシェアサービスを提供するUberが新たな領域に進出した。運送会社や個人トラック運転手とパートナーシップを組み、貨物運送を簡単に利用できるようにする新サービス「Uber Freight(ウーバーフレイト)」をリリースした。
これまでユーザーがトラックに荷物を預けようとすると、ドライバーや窓口と電話でやりとりし、交渉に数時間がかかっていた。Uber FreightのアプリのUIは、通常のUberアプリとよく似ており、有資格のドライバーたちが登録している荷物の種類や目的地、距離、料金などを確認して、条件が合えば依頼する。簡単なワークフローにすることで、業務の受付と支払いが数秒で終わるようになっている。
ドライバーにとって悩みの種であった支払いに関してもUber Freightは解決している。これまでは支払いを受け取るまで30日以上待たなければならなかったが、Uber Freightは配送から数日以内に、手数料なしで、どんな配達についても支払いが行われる。
米国には、荷主と運送事業者に対して輸送仲介事業を提供する業者が数多く存在しており、市場規模も大きい。仲介業者が入ることで時間とコストがかかっていた部分をテクノロジーでリプレイスしていくべく、サンフランシスコ拠点の「Trucker Path(トラッカーパス)」や、ロサンゼルス拠点の「Cargomatic(カーゴマティック)」、シアトル拠点の「Convoy(コンボイ)」など、複数のプレイヤーもすでに存在している。
トラック版Uberは2015年頃から注目されていたが、UberがUber Freightをリリースしたことでいよいよ本命が乗り込んできた状態だ。
Uberは2016年に自動運転トラック運送サービスの「Otto(オットー)」を買収している。Ottoとの連携については明らかにされていないが、Uber Freightが利用されることで膨大な長距離の運行データが収集可能になる。このデータは、Ottoのサービスをブラッシュアップしていく上では役に立つはずだ。
Uberはこれまでにもライドシェア以外のサービスを展開してきた。「Uber EATs(ウーバーイーツ)」などは日本にも上陸しているので知っている人も多いだろう。Uberはユーザーに対して、さまざまな切り口からサービスを提供していくことで、技術やオペレーション力を水平展開しつつ、ユーザーをUberのサービスを利用することに慣れさせている。
積み上げてきた価値を有効に利用することに長けているUberだが、一貫して配送領域に特化していることは変わらない。この領域はAmazonも取り組む姿勢を見せている領域だ。この先、競争が激化していく領域でどうUberが攻めていくのか、注目したい。
img:Uber Freight