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エブリイと東芝テック、アララ、日立製作所の4社は、指静脈認証を活用したキャッシュレス決済の実証実験を2019年5月7日から7月19日まで、実施することを発表した。
同実証実験では、中国・四国地方でスーパーマーケットを運営するエブリイの鮮Do!エブリイ蔵王店において、エブリイの本部社員を対象に、指静脈認証によるユーザー登録・本人認証を行った上で、カードやQRコードなどを使わずに指静脈の生体認証のみで決済を行う一連の流れを検証。
これにより、指静脈認証による手ぶらでの決済の有効性や消費者の利便性などを検証するとともに、課題の洗い出しを行うという。
カード決済における「紛失・忘れ」、「他人の不正利用」などの課題
近年、キャッシュレス社会の実現に向けて、スマートデバイスや電子マネーの活用などさまざまな取り組みが推進され、経済産業省では、昨年10月に「キャッシュレス・ビジョン」を策定。
全国平均約20%のキャッシュレス決済比率を、2025年に向けて、40%まで引き上げる目標を掲げている。
その一方で、キャッシュレス決済の手段として、小売店などの自社店舗でのみで利用できるプリペイド式カードを用いた決済の導入が進んでいるものの、カードを用いた決済では、カードの紛失・忘れや、他人が利用できてしまうという課題があると同社らは述べる。
また、そのような中、カードの代わりとなり、より利便性が高く安全な認証手段として、生体認証への期待が高まっているとしている。
実証実験の仕組み
東芝テックのPOSシステムと、そのPOSに標準採用されているアララの電子マネーシステム、日立の指静脈認証システムを組み合わせて決済システムを構築し、現在アララの電子マネーシステムを導入しているエブリイの店舗でその有効性を検証。
具体的には、エブリイのプリペイド式ハウスカード「エブリカ」と指静脈による生体情報を紐付け、認証を実施するという。
汎用的に活用できるキャッシュレス決済へ
同実証実験では、キャッシュレス決済利用率で高い実績を有しているエブリイの取り組みをベースにした指静脈認証決済の有効性や消費者の利便性の検証を行うことにより、エブリイにとどまらず、汎用的に活用できるキャッシュレス決済の課題の洗い出しを行うという。
なお、商用化にあたっては、日立の独自技術であるPBIを活用予定としている。PBIは、従来の生体認証技術と異なり、指静脈などの生体情報自体を保存する必要がないため、漏えいリスクを最小化。
これにより、ユーザーは認証基盤に登録した指をかざすだけで本人認証ができるため、カードやスマートデバイスを持ち歩くことなく、より安全に決済を行うことが可能となり、利便性の向上とともに、他人利用による決済を防止するという。
エブリイと東芝テック、アララ、日立の4社は、同実証実験の結果を踏まえ、今後も高い利便性と安全性を実現する決済サービスの提供について共同で検討を進め、キャッシュレス化の推進を加速させる方針だ。
img:HITACHI