東京商工リサーチは、「2018年 全国社長の年齢調査」を実施、2019年2月14日にその結果を発表した。

それによると、2018年の全国社長の平均年齢は、前年より0.28歳伸びて61.73歳だった。調査を開始した2009年以降、最高年齢を更新したという。

年とともに高齢化が進む。70代以上も最高を記録

この調査は、東京商工リサーチの339万社の企業データベースから代表者の年齢データを抽出、分析した。前回の調査は2018年2月。ここでいう「社長」は、代表取締役社長のほか、個人事業主や理事長などを含む。

それによると、2018年の全国社長の平均年齢は、前年より0.28歳伸びて61.73歳だった。調査を開始した2009年以降、最高年齢を更新した。企業業績と社長年齢は一定の相関性がみられ、年齢上昇に伴い減収企業と赤字企業が増える傾向があるという。社長の高齢化や後継者難を背景に、ビジネスモデルの革新や生産性向上への投資抑制が業績悪化に拍車をかけていると分析している。


また、2018年の社長の年齢分布は年とともに高齢化が進み、構成比は60代が30.35%で最高だった。70代以上は前年比1.95ポイントアップし、28.13%と調査を開始以来、最高を記録した。60代は2013年以降、年々構成比を下げて30.35%。一方、30代以下は2.99%まで構成比を下げているという。

都道府県別では、30都道県が全国平均の61.73歳以上となった。社長の平均年齢のトップは、高知県の63.95歳で、前年の63.54歳から0.41歳上昇した。次いで、秋田県の63.71歳(前年63.36歳)、岩手県の63.35歳(同63.17歳)の順だった。

年齢上位の県は、総務省統計局の人口推計(2017年10月1日現在)の「都道府県別人口増減率」の減少率上位に近い顔ぶれとなったという。人口減少による新規開業の低迷や事業承継の難しさを反映していると同社ではみている。

一方、平均年齢が低いのは大阪府の60.41歳(前年は60.20歳)。大阪府は2016年が59.92歳だったが、2017年に60歳の大台を突破しているという。

小・零細企業ほど高齢化し事業承継が進んでいない


産業別の平均年齢は、最高が不動産業の63.42歳。次いで、卸売業の62.91歳、小売業の62.76歳と続く。最低は情報通信業の56.86歳。

年代別の年齢分布は、60代以上の比率は不動産業の62.20%で最高。30代以下でみると、情報通信業が6.85%と突出して高かったという。

一方、製造業は2.17%と全産業で最低だった。また、人手不足が深刻な運輸業は2.42%、建設業は2.55%で、産業により新陳代謝や起業の状況に差が出ているとのことだ。


業種別の社長(理事長などを含む)の平均年齢は、信用金庫、信用協同組合など「協同組織金融業」が最高の66.99歳。2019年も代替わりが停滞した場合、全業種で唯一、平均年齢が70歳を超える可能性があるという。

70代以上の構成比ランキングでは、「学校教育」が45.19%でトップ、次いで「織物・衣服・身の回り品小売業」の41.00%、「協同組合」の39.37%だった。60代では、「銀行業」がトップで68.46%を占めた。ただ、「銀行業」は70代以上ではトップ10外となっており、東京商工リサーチでは平均年齢は高いものの後継者の不足感はないようだとみている。

30代以下と40代では、「インターネット付随サービス業」、「無店舗小売業」、「通信業」がともにトップ3を占めた。比較的、初期投資が少なく参入障壁が低い業種は若年社長が多いことがわかった。

また、2018年に休廃業・解散した企業の社長の平均年齢は69.61歳で、前年よりも0.80歳上昇した。生存企業の平均年齢(61.73歳)との差は7.88歳で、前年(7.36歳)よりも0.52歳広がったという。

生存企業の売上高と社長の年齢の関係を調べると、1億円未満の平均は61.92歳で小・零細企業ほど、高齢化し事業承継が進んでいないことがわかった。

この結果について、東京商工リサーチでは以下のようにまとめている。

「社長年齢と業績の関係は、70代以上は「減収」、「最新期の赤字(当期純損失)」、「前期の赤字」、「連続赤字」が年代別でいずれもワーストだった。2018年に休廃業・解散した企業の社長の平均年齢は69.61歳で、現在のペースで推移すると休廃業・解散する社長の平均年齢は2019年に70歳の大台に乗せる可能性も出ている。

生存企業で、売上高1億円未満の平均年齢は61.92歳と他のレンジより高い。小・零細企業の事業承継は難しく、それだけにM&Aや転業支援などが急がれる。」

<参照元>
「2018年 全国社長の年齢調査」
東京商工リサーチ