アクセンチュアは、グローバル銀行、大企業、中小規模企業の経営幹部750人超を対象にグローバル調査を実施、2019年2月7日にその結果を発表した。
それによると、ほとんどの大手銀行は法人向けオープンバンキング・サービスの提供を自行のデジタル変革プログラムにおける重要な戦略的取り組みと位置付けており、その多くがオープンバンキング・サービスの提供によって収益の2桁成長を見込んでいることが明らかになったという。
この調査は、オーストラリア、カナダ、中国(香港を含む)、フランス、ドイツ、イタリア、シンガポール、スウェーデン、タイ、英国、米国の11カ国でグローバル銀行100行、大企業330社、中小規模企業330社を対象に、オープンバンキングの導入に対する期待値および導入計画の有無について調べたものだ。
大手銀行の90%が法人向けにオープンバンキング・サービスを提供予定
オープンバンキングの仕組みを活用することで、銀行の法人顧客は、自社の財務データを銀行や第三者企業と安全に共有できるという。これにより、資金の移動、金融商品の比較、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を使った口座管理が容易に行えるようになるからだ。
調査では、大手銀行の90%は、法人顧客向けにオープンバンキング・サービスを提供する予定であると回答したという。また、大手銀行の54%は、オープンバンキングによって最大10%の収益増を見込んでおり、大手銀行の35%は、最大20%の収益増を期待しているという。
加えて、法人顧客の多くは、リテール顧客と同様のサービスを望んでいると回答しており、オープンバンキング・サービスの提供によって、より革新的な処理や顧客体験の向上などが期待されているという。
また、オープンバンキングのエコシステムプラットフォームを活用する最大のメリットとしては、利便性が高く革新的なバンキングサービスへのアクセスが可能になる点が最も多く挙げられている(大企業の経営幹部の30%、中小規模企業の経営幹部の23%)。
さらに、法人顧客がオープンバンキング・サービスによって期待することとして、「より多くの顧客やパートナーにアプローチできる」(大企業の19%、中小規模企業の25%)や「プロセスの最適化」(大企業の17%、中小規模企業の20%)といった点が挙げられている。
オープンバンキング・サービスを通じて、取引銀行との連携が最も強化できる業務範囲については、大企業も中小規模企業も「決済」「融資」「キャッシュマネジメント」と答えている。
銀行の法人顧客の35%がすでにオープンバンキング・プラットフォームに参加
大手銀行の90%は、法人顧客向けのオープンバンキング・サービスへの投資をすでに開始しているか、2019年中の開始を予定しているという。
投資規模については、このうち71%の大手銀行は最大2,000万ドル、24%の大手銀行は2,000万ドル以上と回答しており、オープンなプラットフォームの構築、第三者企業によるサービスの提供、オープンバンキング活用方法の模索などを進めている。
今回の調査ではまた、銀行の法人顧客の35%が、すでにオープンバンキング・プラットフォームに参加しており、さらに42%が2019年中に参加予定であることも明らかになっているという。
なお、オープンバンキングにおいて好ましい提携相手として、大企業では72%、中小規模企業では65%が現在の取引銀行を挙げており、ノンバンクのデジタル企業を選ぶと回答した法人顧客は15%に過ぎなかったという。
<参照元>
「アクセンチュア最新調査――大半の銀行は、法人向けオープンバンキング・サービスを計画、うち多数が収益の2桁成長を予想」
アクセンチュア