物流系ITベンチャーYper(イーパー)は2019年2月6日、2018年12月に日本郵便と共同で実施した置き配バッグOKIPPA(オキッパ)の実証実験結果を公表した。
それによると、OKIPPAバッグを活用することで、約61%の再配達の削減に成功したという。
再配達率を最大61%削減することに成功
この実験は2018年12月の1カ月間、東京都杉並区の1,000世帯に置き配バッグOKIPPAを無料配布して、再配達の削減効果を検証。応募はSNSを中心に行い、開始1週間で募集定員の1,000世帯を超え、計1,300以上の応募の中から抽選で1,000世帯を選出した。
OKIPPAとは生活雑貨メーカーマーナとイーパーが共同開発した置き配バッグである。自宅玄関前に設置し、荷物管理アプリ“OKIPPA”をダウンロードすれば準備完了となる。
指定のネット通販サイトで買い物をすると荷物が届くとアプリが配達完了を知らせてくれる。再配達になった場合もアプリから簡単に再配達を依頼することが可能だ。
参加者の住居形態は、集合住宅55.0%、戸建45.0%と集合住宅と戸建住宅の両環境を同時に対象とした個人向け宅配ボックス実証実験としては過去最大規模となった。
また、上の図のとおり、参加者の中心は30代〜40代となり、その半数が共働きの世帯であった。
今回の実証実験期間中にアンケート集計ベースで約6,000個の宅配物が配送され、参加者の初回配送時不在率は51%であった。結果は上の図の通り、OKIPPAを設置したことで期間中の再配達率を最大61%削減することに成功した。
期間中、いたずらや盗難などの問題は発生しなかったという。4割近く再配達が残っている要因としては、お歳暮のシーズンで宅配ボックス預入不可の食料品が多かったことや、年末で大型の荷物が比較的多くなっていたことが挙げられるとしている。
OKIPPAを配布することで効率的な再配達削減を実証
今回の実証実験参での初回配送時不在率51%は、国交省が発表している都内の再配達率16.4%と比較しても非常に高い数字となっているが、これには理由があるという。
上の図は、実証実験参加者の通販サイト(ここでは主に物販)の利用頻度であるが、総務省が調査している利用頻度に比べ、明らかに週1以上利用する通販ヘビーユーザーが多い。
こうした通販ヘビーユーザーは、一般の消費者よりも年間で3~4倍ほど荷物を受け取る機会が多く、宅配ボックスのような受取り環境が整ってない場合、再配達を「量産する」存在となっているという。
今回、OKIPPAではこうした通販ヘビーユーザーにピンポイントでOKIPPAを配布することで、効率的に再配達の削減が行えることを実証できたとしている。
実証実験終了後にユーザー(N=700)と配送員(N=50)にOKIPPA利用の満足度調査を実施した。上図のとおり、ユーザーには0〜100点で評価してもらったところ、過半数から80点以上と高い評価を得たという。
90点を付けた参加者の50代女性は「再配達を待たずに欲しいものが受け取れるのはとても便利です。」と回答した。
一方、50点を付けた30代女性は「認知度・所有率が高まった時は盗難などが発生するリスクが高まると思う。アイデアはとても良いと思うのでセキュリティ面の強化に今後期待したい。」と、今後の改善点も確認できる機会となった。
また、配達を担当した社員の94%がOKIPPAの普及を望む結果となった。とても利用してほしいと回答した社員は「ご不在の頻度が高いお客さまに再配達のことを気にせず荷物を届けることができた。
配達途中にOKIPPAの配布を知ったユーザーから「自分も欲しい」というご要望がとても多かった。」と、OKIPPAの利用が配送の効率化、業務負担の軽減につながることを確認できたという。
同社は、今回の取り組みから、配送員視点での製品改善の余地もみつかり、今後の製品・サービスの改良に繋げるとしている。
また、今回の1,000世帯実証実験においても再配達率を大幅に削減できることを確認できたことから、今年1年間で100万個のOKIPPA設置を目指す方針だ。100万個の設置によって、短期間で、国内の再配達率を現状の半分以下に削減できると見込んでいるという。
img:PR TIMES