凸版印刷は2019年2月1日、これまでのプラスチックボトルからの代替が可能な新しい紙パック「キューブパック™」を開発したと発表した。
これは、独自構造により、従来の紙パックでは不可能だった洗面所やバスルームなど濡れた場所での常時使用が可能な新しい容器であるという。まずはトイレタリー業界などに向け2019年2月よりサンプル出荷を開始する。
石化由来材料を約75%削減
2020年以降の温室効果ガス排出削減などの新たな国際的枠組みであるパリ協定の発効や、SDGs(持続可能な開発目標)など、世界規模で環境配慮や省資源化推進の機運が高まっている。また、凸版印刷によると、近年、世界的に社会課題となっている廃棄プラスチックによる海洋汚染問題を受け、環境負荷を低減するパッケージにも注目が集まっているという。
同社はこれらの課題に対し、再生プラスチックを用いた包装材、単一素材でリサイクル可能な包装材、紙やバイオマスプラスチックなど再生可能な植物由来材料を用いた包装材の開発を推進している。
その一環として今回、紙容器では難しいとされていた水回りでの常時使用が可能な耐水性の高い紙パック「キューブパック」を開発した。特殊形状により口栓を中央につけられる構造を実現したことにより、ポンプの付け替えや広口容器としての利用も可能だという。
この製品を採用することにより、プラスチックボトルと比較して、石化由来材料を約75%削減できるという。また、既存のプラスチックボトルの充填機を流用しながら、かつ、組み立て式で折りたためる納入形態にすることより、充填前の輸送や保管費の削減が可能であるとしている。
紙パックとして初めて濡れた場所にも常時設置可能に
「キューブパック」の具体的な特長は以下のとおり
- 水回りでの使用が可能
- プラスチックボトルと比較して、石化由来材料を約75%削減
- 付け替え容器や、広口の口栓が必要な固形物やゲル状商品にも対応可能
- 内容物の鮮度保持や風味保持にも対応
- 折りたたんでの納品が可能なため輸送・保管コストを削減
- 既存の充填機の流用が可能
独自の容器構造と材料設計により、従来のプラスチックボトルとほぼ同等の強度・性能を実現。紙パックとして業界で初めて、濡れた場所にも常時設置が可能。
同製品を採用することで、従来のプラスチックボトルと比較して石化由来材料を約75%削減できる。また、基材となる紙素材には森林認証紙の使用も可能である。
独自の容器構造により、口栓を中央につけられる特殊形状とした。使い終えたらポンプだけを新しい容器に付け替える「付け替え」容器としての使用が可能だ。
またボトル上部に大型のキャップを取り付けられるため、液体向けポンプ製品はもちろん、粉体、固体などを入れるプラスチックボトルの代替としての活用も可能である。
紙パック内部に凸版印刷が独自開発した透明バリアフィルム「GL FILM」をラミネートすることにより高い鮮度保持性を有している。
また、容器と内容物の接触層に低吸着性能により風味を保持できる内装フィルムを使用することで、医薬品や酒類など、容器への成分吸着が気になる内容物にも使用できる。
本製品は平らに折りたたんだ状態で納入し、充填直前にボックス型に組み立てる「組み立て式」を採用。
平坦な状態で輸送・保管できるため占有容積を従来の同容量のプラスチックボトルと比較して80%以上削減できるため、積載効率の向上や保管スペースの大幅な削減が可能である。
双製品への充填には、既存のプラスチック容器の充填機の流用が可能なため、大型の設備投資が不要である。
凸版印刷は同製品をトイレタリー業界はもちろん、食品業界などプラスチックボトルを使用する企業に向け拡販、2020年度に約10億円の売上を目指す。また今後、キャップやポンプなどで使用するプラスチックのバイオプラスチックへの置き換えなどさらなる開発を進める方針だ。
img:TOPPAN