シフィットは2019年1月9日、同社が運営しているクレジットカード総合情報サイト「クレカッティ」で全国の100人を対象にWEBアンケートでキャッシュレスに対するアンケート調査とキャッシュレスが進まない原因の考察を発表した。

日本ではデビットカード利用者が約4.2%にすぎず

まず、キャッシュレス決済と現金払いのどちらを選びか聞いたところ、キャッシュレス決済が47人、現金払いが53人だった。

この結果から、「日本も意外とキャッシュレス化に対応しているのでは?」と思えるが、経済産業省の「キャッシュレスの現状と推進」によると、2016年の段階で民間全体の消費支出に対して、キャッシュレス決済の消費割合は20%しかない。

そこで、なぜ結果に差があるのかを確かめるため、どのキャッシュレス決済が多く使われているのかを聞いた。

その結果、クレジットカードが30人、デビットカード/プリペイドカードが2人、電子マネーが15人と回答した。

この結果からみると、キャッシュレス決済をする場合、海外ではキャッシュレス決済の要の一つであるデビットカード/プリペイドカードを利用する人は少なく、約4.2%しかいない。キャッシュレス化率60%を超える中国の銀聯カードは、デビットカードが主流になっているほどである。

また、利用率30%を超える電子マネーは、少額決済に対応したものである。

同社では、決済できる最高金額が数万円程度という大きい買い物には適していないという面も、利用率と消費支出率に差がある要因だと考えられるとしている。

現金主義者の多くはキャッシュレス化の進行に抵抗あり

次に、主に現金を利用すると答えた人に、「今後、キャッシュレス決済をメインにしたいと考えていますか?」と聞いた。

その結果、はいが15人、いいえが38人だった。同社では、現金主義と考えている人の多くは、このままキャッシュレス化に進むことに対して抵抗があるようだとみている。

続いてどうしてキャッシュレス決済に抵抗があるのか、3つのなかから近い項目を選ぶ方法で聞いたところ、災害時に使えなくなるのが怖いが16人、キャッシュレス決済がよく分からないが4人、現金の方がなんとなく安心が33人だった。

現金主義者の多くはキャッシュレス化の進行に抵抗あり

次に、同社では日本のキャッシュレス化が進まない原因を3つ挙げている。

  1. 現金を持ち歩いていても安全
  2. 落とした財布がそのまま帰ってくる、置き忘れたカバンも置かれたままになっているなど、外国人にとっては考えられないようなことが起こるほど、日本の治安については定評がある。

    中国がキャッシュレス化へ踏み出した理由として、偽札が横行しているなど犯罪を抑制するためというのがあるという。日本では偽札の流通は極めて少なく、店舗としても客が出す現金を信用して受け取ることが可能だ。

    気軽に現金を持ち歩き、利用できるからこそ、現金の方が安心だと思う方が多い一つの要因になっているという。

  3. ATMの普及率が高い
  4. 本来であれば、銀行やATMの設置場所を探す必要があり、すぐに現金を引き出せないことが現金決済においてのデメリットでもあったという。

    しかし、今はコンビニやスーパーにATMを設置するなど、簡単にATMが見つかるようになった。こうしたATMの普及率が高いのも、キャッシュレス化の歯止めるかける原因になっているとしている。

  5. 現金払いのみの店が多い
  6. 未だにクレジットカードが使えない店舗が多いという面は、キャッシュレス化にとっては大きな痛手であるという。

    しかし、キャッシュレスに対応していない店舗が悪いわけではないという。キャッシュレス決済サービスを導入するには、当然コストもかかり、決済手数料も支払う必要があるからだ。

    だからといって、手数料をカバーすべく販売価格を上げると、ユーザーは購入してくれないという悪循環が生まれ、店舗側の負担が大きいという。

キャッシュレス決済と現金払いの共存がベスト

現金が消えた国と言われるスウェーデンでは、キャッシュレス化を進めるために、以下2つの強硬策ともいえる方法をとったという。

  • 公共交通機関での現金の取り扱いを中止
  • 多くの金融機関で現金を取り扱わない

しかし、キャッシュレス化を進めるうちに、弊害が出てきているのも事実だという。

高齢者などキャッシュレスに対応しきれず、次の4つのような問題が起きていることが明らかになった。

  • 現金を取り扱う金融機関が見つかりづらい
  • カードなどの利用の仕方がわからない
  • スマホを持っていない
  • サイバーテロが起こった場合の懸念

同社では、日本も今後ますます少子高齢化社会になっていくため、現状では完全なキャッシュレス化は難しいといえると結論づけている。

img:PR TIMES