エイチ・アイ・エス(以下、HIS)は、今年の年末年始(2022年12月24日~2023年1月3日)の予約状況から、海外旅行動向についてまとめ発表した。
■HIS年末年始 海外旅行予約者数ランキング
<総観>
前年同日比で予約者数は1,914.1%(約19倍)と大きく伸びているものの、コロナ前の2019年比では2割程度という結果に。
世界の定期便航空総座席数の推移と比較すると、2022年12月の日本における国際線航空座席供給数はコロナ前の45.6%(約5割減)となっており、座席数そのものが戻しきれていないことがわかる。
<ランキングのレビュー>
年末年始の海外旅行予約者数ランキングは、1位がソウル、昨年1位だったホノルルが2位となった。1位の交替ならびにソウルが1位となるのは2011年以来、11年ぶり。韓国は今年8月以降、日本を含む査証免除での入国が再開し、規制緩和に伴い予約者数が増加している。
ソウル行きの約7割が女性で、10代後半~20代の若年層が約4割と牽引。ドラマや音楽などポップカルチャーの人気が引き続き高く、さらに訪日観光客の個人旅行解禁に伴い、日韓路線の増便やコロナ禍により運休していた地方空港を含む路線・LCCの再開などにより、行きやすく且つ手頃な価格で行くことができる旅先として選ばれているとのことだ。
なお、4位にプサンもランクインし、韓国全体でみればコロナ前の2019年比で約5割となっており、他国と比較しても回復の速度が速いことが特徴となっている。
また、2位にはホノルルがランクインし、家族旅行が多い年末年始の旅行先として、引き続き高い人気を誇っている。
3位には昨年同様バンコクがランクイン。コロナ禍で動画配信サービスの視聴が増加した時期よりタイドラマのファンが増加しており、夢中になると抜け出せないことから「タイ沼」という造語も誕生。寺院などの伝統的な観光と新しいエンタメ要素も楽しめる旅先となっている。
平均旅行日数は6.3日間で、コロナ前の2019年は6.1日間であったことから、日数は若干ではあるものの伸びている。出国ピークは2022年12月29日、帰国ピークは2023年1月3日となっており、この動向は2019年と比較しても同様で、旅行のニーズがコロナ前に戻っているとのことだ。
2022年は各国の入国制限が緩和され、海外渡航における需要回復フェーズに突入。
しかしながら、数年におよぶコロナ禍がもたらした移動や健康への不安、急激な円安や燃油サーチャージの高騰など、海外旅行に対する心理的ハードルと経済的ハードルと共に、国際線航空座席供給数の減少などもあり、グローバル市場の急激な速度とは違い、緩やかなペースでの回復に。
足元では、2022年10月における訪日外客数は前月の2倍以上となる49万8,600人となっており、日本人出国者数の34万9,600人を超えている。(出典:日本政府観光局)
個人旅行の解禁と査証免除の再開は訪日旅行の後押しとなっており、需要増加に伴い国際線が取りづらくなることや価格上昇なども予想され、コロナ前同様、予約のタイミングは今後も早まる傾向になるとHISは想定している。
なお、2023年の動向としては、入国規制緩和により急激に動いた韓国に続き、コロナ前に需要の高かった台湾の戻りが期待されるとし、今後、入国に対する水際対策が緩和されれば韓国同様、急激な回復も見込まれると想定しているとのことだ。
【調査概要】
調査日:2022年11月15日(前年同日比)
調査対象:HISにて対象出発日(2022年12月24日~2023年1月3日)の旅行申込者
対象商品:パッケージツアー、ダイナミックパッケージ、国際線航空券
<参考>
エイチ・アイ・エス『年末年始 海外旅行予約動向』