2025年大阪・関西万博に向けたアクセス輸送は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会(以下、万博協会)が設置する「2025年日本国際博覧会来場者輸送対策協議会」において、同社グループも交通事業者の一員として参画し計画検討しており、2022年10月17日には万博協会より、来場者の安全かつ円滑な来場を実現するための「万博来場者輸送具体方針(アクションプラン)」が公表された。

アクションプランでは、夢洲まで直通予定の「Osaka Metro中央線」を筆頭に、同社グループでは「JR桜島線(鉄道+シャトルバス)」(以下、JRゆめ咲線ルート)が主要ルートの1つとして位置づけられており、アクセス輸送を支える交通事業者として、来場者を中心とした利用するユーザーの安全確保を最優先に、鉄道ネットワークを活かしたアクセス向上、多様な鉄道サービスによる利便性向上等に取り組んでいくとともに、アクションプランの具現化に向けて万博協会と連携して検討を進めていくとしている。

JR西日本、「2025年大阪・関西万博」に向けた取り組みを発表

万博アクセス輸送の取り組み

(1)「JRゆめ咲線ルート」における取り組み
JRゆめ咲線ルートにおいて以下の取り組みを推進。
①JRゆめ咲線(桜島線)
(a)増発
・万博来場者数を踏まえた輸送力を設定(1時間あたり最大12本)
(b)新大阪駅~桜島駅間の直通臨時列車の設定
・新大阪駅からうめきた(大阪)駅を経由し、桜島駅まで直通する臨時列車を設定
②桜島駅
・桜島駅からシャトルバスへの乗換安全性を向上するため、万博開催期間限定で駅改良を実施
③西九条駅
・ホームの安全性を向上するため、万博開催までにホーム柵を整備
④桜島駅からのシャトルバス輸送
・桜島駅から万博会場までのシャトルバス輸送を、西日本ジェイアールバスと連携を図り、関西バス事業者の協力を得ながら運行予定

(2)「Osaka Metro中央線」への乗換結節点となる大阪環状線「弁天町駅」の改良
来場者輸送における乗換安全性を向上するほか、既存施設の老朽化やバリアフリー課題の解消を実現。万博開催前の2025年春の工事完成を目指し、2022年内に工事着手。
①新駅舎の整備
・既存の南北改札の間に位置する場所に新駅舎を整備し、新改札口(仮称:新南口・新北口)を設置
→万博開催期間中は、既存の南北改札口を活用することで安全性を向上し、万博終了後には既存の南北改札口は、新駅舎に設置する改札口に機能を集約
・昇降設備(エレベーター・エスカレーター)のほかバリアフリートイレの設置によるバリアフリー機能の向上
 ②Osaka Metroとの乗換円滑化
・Osaka Metro弁天町駅東口改札との乗換を、段差なくフラットに乗換可能とする「連絡通路」の整備(Osaka Metroとの共同事業)
・連絡通路と接続する、JR弁天町駅内回りホーム改札の新設(仮称:内回りホーム口)
③ホーム柵の整備
・ホームの安全性を向上するため、万博開催までにホーム柵を整備

持続可能な万博開催に向けた取り組み

持続可能な万博開催を目指し万博協会が取り組む「カーボンニュートラル」の実現に向けて、以下の脱炭素に資する取り組みを推進。
(1)JRゆめ咲線の列車と駅ならびに直通臨時列車のカーボンニュートラル化
・再生可能エネルギー由来の電力の活用等により、JRゆめ咲線の列車と駅で使用する電力に相当するCO2排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とする(2022年下期~)
・加えて、万博開催期間に新大阪駅~桜島駅間で運行する直通臨時列車についても、運行の使用電力に相当するCO2排出を実質ゼロとします(万博開催期間中)
※特定の路線全体のカーボンニュートラル化は、JR西日本管内で初めての取り組み
(2)脱炭素に資するシャトルバスの運行
・桜島駅から万博会場までのシャトルバス輸送には、EVバス等脱炭素に資するバスでの運行を目指します。

→(1)(2)により、「JRゆめ咲線ルート」を脱炭素に資する「ゆめ咲グリーンルート」としての運行を目指すとのことだ。